4月は、怒涛の1か月です。次から次へ「〇日までに○○を決めておいてください」と指示が飛び交い、次々と仕事に追われる4月です。4月は、先生だって緊張するし不安にもなるし、余裕もなくなりますよね。
この記事では学級目標をタダのお飾り物にしないために、学級目標の決め方と学級経営のシンプルな考え方をお伝えしていきます。
4月の学級開きのおける大切な考え方と具体的な手法がわかります。
特長は「先生方から直接、子どもたちに語りかけてほしい「講話例」も用意しましたので参考にしてください。
学級目標の作り方や生徒指導の進め方について納得していただけるようにまとめました。先生方のお力になれたら嬉しいです。
「先生方のお力になりたい」との想いで開設した中学校教育を中心にした「ワダチブログ」です。元校長から実践的・基本的なノウハウをお伝えしています。
マニュアルや小手先だけのテクニックではないので、中学校を想定しながらも「小学校から高校の先生方」まで、学級経営や生徒指導の考え方は通用します。
では、さっそく「教師としての大事な根っこのお話」からはじめますね。
学級目標とは?中学校の決め方とシンプルな考え方!…生徒一人ひとり
学級経営のシンプルな考え方1~「生徒一人ひとり」が基本中の基本
私たちは公教育に携わる教育のプロです。私たち教師は「一人一人の生徒」の将来の幸せを願い「成長」させることを仕事としています。
教師の仕事は、先生方の前に坐っている「一人ひとり」の生徒には、我が子の幸せと成長を願う親の存在を意識することが大前提です。
学校は生徒の集団ですが、私たちの仕事は「生徒一人ひとり」へ関心を寄せることが大変大切なことなのです。
このシンプルな考え方から導くと「理想の学級目標は、一人ひとりの生徒の成長につながっている言葉」と言えます。
学級経営のシンプルな考え方2~よき人間関係の中で人は成長していく
先生方の職場は、雰囲気がいいですか?
先生方の激務も「よき先輩、よき理解者、よき仲間」と一緒に働けたら「自分自身も幸せだし教師として成長」もできますよね。
もし、雰囲気が悪いと、とたんに仕事が苦痛になります。大人ですらそうですから、環境を整えることが子どもたちの成長には欠かせません。
そこで、学級担任が話す具体的な内容を紹介します
この「シンプルな考え方」から導くと先生のこんな講話はどうでしょうか。
4月の講話例!学級目標の作り方と言葉を大切にする学級経営
実際のお話を私の実践例から紹介します。
価値観のキーワードは、太字にしました。
こんな価値観「学級担任」としてて4月の出会いから、繰り返しお話して伝え続ける工夫をしてください。
学級目標をつくる仕事は、それだけが「独立」した仕事ではありません。一年間の学級経営・生徒指導の柱になる言葉を決めておくことが大切です。一例です!
- 誰もが、楽しい学級
- 自分たちの手で自分たちが最高と言えるクラスを創る 自治の力
- 人のせいにしない生き方、
- 自分の人生は自分が切り開く
- 大人の考え方を身につけよう
では、基本を押さえたところで、「学級目標の具体的な言葉」を考えていきます。
「できるようになってほしい価値観」を丁寧に!繰り返し繰り返し
おもしろい実践例を紹介します。小学校低学年の実践例です。中学校の先生方から見て、小学校1年生を指導する先生の「プロフェッショナルな技」をお伝えしますね。
キーワードは「梅干しマン」です。
言葉を大切にする学級経営「梅干しマン」
梅干しって、酸っぱいですよね。(梅干を食べた小学1年生の)酸っぱい顔してみてください。イメージですが、顔がクチャって小さくなりますよね。
この技は、そのイメージを活用して「内側に向かう心・行動を、梅干しマン」としたのです。
学級担任の望ましくない行動を「梅干しマン」で表現し、子どもたちとイメージを完全に共有した点が秀逸です。
例えば、「内側に向かう心・行動」を「自分勝手な行動ではなくて、●●をきちんと最後までしましょうね」とか「おともだちが、嫌だなあということを言わないようにしましょうね」という「できるようになってほしい価値観」を丁寧に丁寧に、繰り返し繰り返し「梅干しマン」の言葉で指導していくのです。
小学校低学年に、先生がどんなに正しことを指導しようと思っても「毎回、長~いお説教しても効果は低いです」よね。
生徒指導のうまい先生は「梅干しマン」と言っただけで、先生が何を大切にしてほしいのか、それを生徒がきちんと理解している状態にすることです。これが指導力です。
指導とは、先生の守ってほしい想い・事柄を、正確に子どもに語り伝えることです。
先生の想いが梅干しマンのキーワードで生徒が完全に理解すると…小学校1年生同志でも
このような言葉が教室内におこるのです。
学級担任になったら、「梅干しマン」に当たる言葉を決めてください。「できるようになってほしい価値観を丁寧に丁寧に、繰り返し繰り返し」伝えていく、これが学級目標の候補でもあります。これが言葉を大切にする生徒指導です。
中学校学級目標の決め方と「言葉を大切にする学級経営の実際」
学級目標の決め方ですが、そもそも「言葉そのもの」は、どんな言葉でもいいのです。ポイントは3つだけです。
- 大事なことは先生自身が「できるようになってほしい価値観をもつ」こと
- 日常の中で「丁寧に丁寧に、繰り返し繰り返し」言葉大切に伝えていく
- 「生徒が先生の大切にしていることを、納得して自分自身で理解している」状態をめざす
- 先生の大切にしている想い「A」と
- 生徒が理解している「A」が
- 「先生のA=生徒のA」で完全に一致している状態にするのです。
この作業がないと、どんなきれいな言葉、どんな有名な言葉でも「お飾りな学級目標」になります。まず、学級担任自身に、自分のクラスも学級目標の言葉に「特別な思い入れ」がないのですから。
この実現には、生徒指導とは「生徒に自分の想いを伝える、届ける工夫」をしなければなりません。
指導とは「する」ことではありません。指導した「結果」、生徒に届いているか、伝わっているかが勝負です。すべて自分事として考えるものです。
学級目標とは?決め方と考え方「よくまなぶ子 すなおな子 たくましい子」を中学校版学級目標に!
小学校にはよく学校教育目標に「よくまなぶ子 すなおな子 たくましい子」ってありますよね。大事なポイントは1点です。それは先生と学級の生徒全員が同じ価値観をイメージすることです。
例えば「たくましい子」とは「〇〇ができる子」というように言えることです。
なぜなら、「“たくましい子”って、何を目指せばいいのですか?」と問えば学級の35人がいろいろな理解の仕方でイメージしていることでしょう。
それでは、生徒一人ひとりの想いがバラバラでは「たくましい子」は学級目標にはなりません。明確にするのです。これくらいに…
このように伝え続けていけば、先生の考える大切なこと(ここでは、たくましさ=大人の発信力を身につける)を生徒も同じレベルで理解できるようになります。この時点で「たくましい子」は立派な学級目標になりました。
「すなおな子」は「自分自身の未熟さ、至らなさにも目を向けられる心」に置き換えると、ぐっと中学生らしくなりますね。この場合、
「すなおな子」の反対の人間像を表現する言葉は「人のせいにする子、反省のできない子」になります。
中学校学級目標の実際の決め方!手順を紹介
学級経営の1年間のテーマは「成長」です。「成長とは、自分自身がよりよく変わることです」成長という言葉も学級経営の柱になる言葉です。成長とは…
- 〇〇ができるようになること。
- ○○が気づけるようになったこと
- ○○と考えられるようになったこと
- ○○を続けることができていること等々
目指す学級像は、みんなが楽しく生活できるクラスではなくて、その先にある「みんなで成長できるクラス」です。みんなで成長を実感出来たら、楽しいクラスに間違いないですよね。楽しいレベルが、中学生レベルになるのです。
この学級経営の中心にそって「学級目標」を考えて作ればいいのです。特に、誰もが楽しい学級!そして、みんなで成長して生きる学級!その実現が学級担任の仕事です。
第1段階 学級担任の理想の学級像への熱い想いを「具体的」に伝え続けます。
上記の講話例で示したように「自分たちの力で自分たちが考える理想のクラスを創り、学級みんなで成長する一年にする。そのために学級目標を自分たちでつくる。
この考え方、価値観を浸透させます。
第2段階 生徒一人ひとりは「自分自身の成長への想い」と「どんなクラスにしたいか」を書き出す。1段階2段階の段階までは、始業式以降随時進めていきます。
第3段階 教室でグループ内で「伝えあう」キーワードの選定を広く候補をあげていく。
決定までの流れを学級に伝えていく
第4段階 班長等、リーダーの自覚と育成の観点で6名程度の班長会で原案をまとめる。結果については、そう考えた過程をしっかりと話せるように練習し立派に表現させる。
第5段階 原案に対しクラスで検討する。各班でみんなの想いや意見を聞き取る。その状況によって、その場で決定してもいいし、再度班長が持ち寄り検討してもよい。
第6段階 学級一人ひとりの総意として発表する。
学級経営は「生徒指導の3つの留意点」を重視する
生徒指導の3留意点を知っていますか?
- 自己存在感を考えて与える…活躍の機会がある…意図的に創り出す
- 共感的な理解を図る…自分と違いを「変」とかんじるのではなく「互いに認め合い」ともに成長できるか
- 自己決定場面を大切にする…何事も受け身に進めるのではなく「自分で決めること」その主体性を育む指導の重視。
生徒の「成長」を促進させるには、この3つの原則を常に意識して進めてください。
第4段階 班長等、リーダーの自覚と育成の観点で6名程度の班長会で原案をまとめる。結果については、そう考えた過程をしっかりと話せるように練習し立派に表現させる。
さらっと書いてありますが、これをどう考えどう指導していくかがとても大切です。
生徒指導の3留意点で考えてみますね。
- 班長にはクラス全員の前でカッコよく発表させたい(自己存在感を与える機会の創造)
- なかにはそんな経験がなく不安に思っていることだろう(生徒の立場からの共感的理解)
- 発表への練習をしよう。声の調子、話し方、ハキハキと。声の大きさ
- ただ発表の機会を設けるだけでなく、発表するという経験が生徒本人にとって「大変だったけど、緊張したけど、うまくできた、少し自信になった。できたホット下」そんな満足感。充実感、達成感のある活動を意図的に創り出すのです。
- 初期の段階では発表する内容は「先生が支援した内容」でもいいです。例えば、「初めの言葉、終わりの言葉を決まり文句でしっかりと言えるようにします」でもそれだけでは、満足感が少なくなりますので、「…この部分は自分で考えてみようね」とします。これば「自己決定場面」です。自己決定は生徒指導の核です。
そして、成功体験後はすかさず「よく頑張ったね。最高の発表だったよ。一つ「成長」したね」と承認の言葉かけをしてください。これが言葉を大切にした生徒指導です。
【学級づくりに役立つ記事です!】
学級目標とは?中学校の決め方とシンプルな考え方!4月の講話例 まとめ
今回の記事では「学級目標とは?中学校の決め方とシンプルな考え方!4月の学級経営の講話例」についてまとめてみました。
学級目標が4月の忙しさの中で、つくることが目的になることが学校にはよく起こります。
学級目標が一つの独立した取り組みではありません。
学級目標は「言葉」で成り立ってます。4月8日の始業式以来の学級担任の先生からの「言葉」の継続性の中に「学級目標の柱」があります。
生徒が自ら作り上げた学級目標は、その後も、継続して学級の大切な(価値観を表現した)言葉にしてほしいのです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。参考になりましたら、ブックマークしていただき、またワダチブログにお立ち寄りください。