学校の先生

教育相談の大切なこと!小中学校で信頼される担任は「傾聴力」を身につけている

教育相談って自信がないな。どういうふうにやるのだろう? もっともっと子どもを理解したいし、あたたかな人間関係を築きたい!子どもや保護者から信頼される先生になりたい!だれか、教育相談のポイントを教えてほしい。

この記事は、このような願いをもつ先生方に向けて書いた記事です。

この記事では、信頼される担任像のキーワードとして教育相談の基本技術「傾聴力・聞く力」について解説します。傾聴力とはどのような力か、実際の身につけ方と、なぜ教師の必須の能力なのか、教育相談のポイントが理解できます。

さらにこの記事を読むと、どのような「考え方」が大切なのか、教育相談的な対応が理解できます。担任の先生方が、自信をもって子どもや保護者の面談に向き合えることができることを願いまとめました。

私は、元公立中学校校長です。40年余りの経験を活かして先生方や親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。

教育相談活動の大切な「考え方のツボ」を参考にしていただけたら嬉しいです。

教育相談の大切なこと!小中学校担任の「傾聴力」のポイントとは?

教師力の根幹は、信頼関係を築く力 だと思いませんか?

教師には、言動一致の誠実な人柄とともに、自ら進んで相手と良好なコミュニケーションを図っていく能力が欠かせません。

その大事な能力の鍵になるのもの、それが「聞く力」です。

教育相談の基本、聴きぬく姿勢「傾聴力」について解説していきます。

教育相談のポイント1 傾聴力とは何か

「傾聴力」とは、読んで字のごとく傾聴力は、耳と心を「傾けて」「聴く力」のことです。普通の話を「聞く」よりも話す相手の話を「きちんと理解したい」と願い、積極的に耳を傾けていくことです。

目の前の相手の悩みや想いを第一に考え、「話し手の話を理解したい」と真剣に「聴くことに徹する」これが傾聴の姿です。では、どうしてその力が信頼関係に大きく影響していくかについて考えます。

教育相談のポイント2 傾聴力がなぜ必要か

悩み苦しみを抱えている時、目の前に自分の話に温かく丁寧に耳を傾けてくれる方がいたなら・・・嬉しいですよね。

きっと誰でも、そのような相手には心を許し、安心感を感じるのではないでしょうか。傾聴力には二つの効果が期待できます。

一つ目は、

傾聴力を活かし聴いていると、話し手の緊張がだんだん解けてきて、「自分の悩みを目の前の先生に話していいんだ」と、心を寄せてくるものです。

傾聴力には、互いに心を寄せ合うあたたかな人間関係をつくり、信頼関係の基盤を形成する力があります。

さらに、次第につながっていく信頼関係の下で、教師は教育相談的な対応で愛情ある正確な生徒理解や保護者理解が可能になります。

「話す」は、「離す」に通じます。

二つ目の効果は、

自分の心にため込んだ「悩みや課題」を、信頼ある方に吐き出すことができれば、それは「話すは(悩みや課題を自分から)離す」ことに通じます。

つまり、話すことができるだけで生徒は「悩みが整理され、心が軽くなったり」することができます。みなさんも話を聞いてもらったら、スッキリした経験があるのではないでしょうか。

傾聴力には「相手の自己理解を促進させ、再び意欲を引き出す力」もあります。

教育相談のポイント3 傾聴力とは

傾聴とは、こちら側が「(自分が)聞きたいことを聞く」のではなく、「話し手が言いたいこと、わかってほしいこと」を受容的、共感的に「聴く力」のことです。

医者は、患者を「問診」します。問診で「適切に病状を判断できる」から「その患者の病状に適した治療が可能」になり処置しているのです。医者の正確な問診ができなければ、医者の技術は患者には届かず、いわゆるやぶ医者になることでしょう。

教師も医者も、その専門性を発揮するには「相手の抱える悩みや課題の本質の見抜く力」が求められているのです。これって、よく聴いて、観察して、調べないと…始まりませんよね。

傾聴力により深く愛情ある正確な生徒理解がなされるなら、

  • 「相手の悩みや課題に対して、どんな提案ができるか」
  • 「どうすれば改善につながるか」について語れることに繋がります。
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教育相談のポイント「傾聴力」!生徒や保護者が信頼する教師像

教師が生徒への傾聴力を発揮した聴き方は?この考え方をマスターしてください。

先生が発揮する傾聴力とは「話し手側の生徒」へのアプローチですから、

話し手側の生徒が「先生が・・・・こうやって聴いていただけたら、最高にうれしい」と、こんな心情になる先生の聴き方のことです。

生徒側の受け取り方から考える!「教師の聴き方」が、生徒側にどのように届いているのか!ポイントはこの視点です

傾聴力5選:信頼される教師像

  1. 先生は、私の話を黙って最後まで、真剣によく聴いてくれた
  2. 先生は、ニコニコ優しい表情で、私の話を楽しそうに聴いてくれた
  3. 先生は、私が話しずらくなって黙ってしまった時、私をせかすことなく静かに話しはじめるのを待ってくれた
  4. 先生は、私が話しがうまくまとまらない時、“こんなことはなかったかな?”等と、私の心の中の声を引き出してくれた
  5. 先生は、話しを聞きながら、私の話す内容が整理させ例ない時は、“〇〇については…な感じかな?”と、話しを埋めながら聴いてくれた

教師の思考転換で教育相談の力量アップ 傾聴する力とは、

教師自身が、「自分は普段から生徒の話を丁寧にしっかりと耳を傾けて傾聴して聴いています!」と、いう話ではないのです。教師の目の前の生徒を大切にする“想いが生徒につたわっているか”の視点がすべてなのです。

こんな聴き方で教育相談で支えてくれる先生に、親しみと感謝の情を抱くのは自然ではないでしょうか。生徒指導も教育相談もポイントは、教師の言動の真意を生徒に「伝える・届ける」、こんな表現がピッタリです。

こんな傾聴力の発揮が互いの信頼関係を築くおおもとになるのです。

「傾聴力」の実際を解説!信頼される教師像の聴き方テクニック

「傾聴力」を発揮する考え方と心構えを押さえたところで、次はテクニックをご紹介します。

教育相談は自然な形からが一番です…生徒が緊張して構えないような配慮が必要です。

面談が始まる初期段階 自然に…

  1. いきなり本題にから始めるのではなく、いくつか心をほぐす簡単な言葉で話を始めます。
  2. 「〇〇さん、いつも部活頑張っているよね、走っているのよく見かけるよ。ご苦労様!調子はいいの?」「この間の○○とてもよかったね。」「おッ 待ってたよ!」「え、緊張しているの?大丈夫、大丈夫…だんだん話すの楽しくなるといいなあ」
  3. 相手の話に、うなずき、視線を交差させたり、笑顔や明るい声の調子など話しやすい雰囲気をつくります。アイコンタクトは欠かせません。
  4. 足を組んだり、手を組んだりするのはいけません。席も真正面より、ずらすといいですね。場合によっては、隣に座って同じ方向を見ながら話すのも、一般的には緊張感を緩める効果があります。(斜め、横並び、L字)
  5. 受容とは、どんな声にも「否定したり、批判したり」することなく、そう思い気持ちは脇に置いて、「そうせざるを得なかった」生徒の心情を視野の広く慮る配慮が必要です。

共感と同感の違い

共感とは、自身の価値観や先入観にとらわれることなく、相手の体験や価値観を理解しようすることです。

共感は‥‥あなたは、そう感じるのね。主語は「あなた」。あなたと私は違っていていい。個々の存在感

同感は、私もそう感じる。主語が「私」

次第に打ち解けてきましたら、いよいよ本題に少しづつ入っていきます。

子どもと保護者に信頼される「話しを深めていく聴き方」

  1. 繰り返し…生徒がかすかに呟いた言葉でも、教師だ同じ言葉で繰り返すと、自分の言葉がしっかりと先生に届いているという実感が生まれてきます。つまり、次第に話しやすくなっていきます。
    生徒…「もう少し強くなりたい…」先生「そう、強くなりたいと思っているんだね」
  2. 感情を伝え返す…自分の感情は少し隠しておきたくないですか?不適応に陥る場合には、自分の感情をうまく表現できない場合もあります。少しでも感情表現が出てきたときには、同じ言葉を生徒に返し、感情表現を応援します。
    生徒「一人ぼっちで、さみしかった…」先生「そうか…さみしかったんだね」
  3. 悩みや課題を明確にして整理する…うまく表現できないものを教師がピンポイントで「言語化」して心の整理を手伝います。
    ○○さんは、こんなふうに思ってきたんだね
  4. 話しを明確化するとき、意味が定かでない時に確認する場合、より積極的に聴いているよということを伝える場合に「質問」を行います
    「こんな時は、いつもどうしているの?(開かれた質問)こんな時は、いつもAなの、それともBかな?(閉ざされた質問、AかBか、ハイかイイエで答えられる)
  5. 自己解決を促す…生徒本人に自己解決を促してもいいと判断すれば、質問によって確認していきます。
    ○○さんとしては、これからどうしようと考えているの?今度また同じようなことがおきた時、どうしようかなと思うの?

自分自身を振り返り、このような観点を心掛け、ほんの少し「意識」してみるだけで、次第に傾聴力はアップしていくものです。「気を付け丁寧に聴こう!」その意識だけです。

教育相談の大切なこと!小中学校で信頼される担任の「傾聴力」 まとめ

今回の記事では「教育相談の大切なこと!小中学校で信頼される担任は「傾聴力」を身につけている」についてまとめました。

話すほうの「口下手、話し下手」は自覚している人はいるでしょう。しかし、聞くほうは、「聞き上手」の表現はよく使いますが、「私、聴き下手だから」と表現する人は少数派ですよね。

人前で話すのはかなり大変ですが、同じように人の話を誠実に聴く力も、大きなエネルギーを使う大変な作業です。そもそも「聞き下手」を自覚している人は、もう大丈夫かもしれませんね。「聞き下手」は自分で自覚しずらいものかもしれませんから‥‥。

聴く力が発揮されているかどうかの視点は、生徒や保護者の方にゆだねられています。自分自身(先生)の聴き方によって「生徒にどのようなよき影響が生まれたか」ここを意識してご自身の対応を振り返ってみることをお勧めします。

すべて、ご自身の傾聴力の心構えが、生徒や保護者に届いているかという視点です。この観点から自己点検するだけで、プロ教師の先生方なら修正できると信じています。

先生方の参考の一助になれましたら幸いです。教育や子育て関連で頑張るみなさんを応援する「ワダチブログ」にまた来てください。