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1学期始業式の式辞例文!中学校校長の「生徒と教員の意欲を引き出す挨拶」の伝え方を解説

4月1日から学校の先生方は、始業式・入学式・学級開きにむけて全力疾走で走っています。校長もまた、「自身の教育理念と目指す学校像への熱い想いをどのように語るか」考えを練っています。

校長の式辞(話)は、10分程度でしょうか?

短い時間であっても、年度の始まりに全生徒と全職員の前で「学校の方向性や、大切にしたい価値観を語る校長の言葉の意義」は大きいものがあります。

この記事では、実際に読まれた式辞:校長講話の全文を例示しています。その具体例を通して、自分の目指す学校像、目指す生徒像を意識したポイントをまとめました。

私は元中学校校長です。校長先生はじめ学級担任の先生方にも「学級経営の中心に何を据えるか」「どんな話を学級開きにするか」の参考にしていただけるように書いた記事です。

先生方の悩みに答えたり、親御さんへの子育て応援ブログ、「ワダチブログ」を運営しています。少しでもお力になれたら幸いです。

1学期始業式の式辞例文!中学校校長の「生徒と教員の意欲を引き出す挨拶」のポイント

1学期始業式で語った校長式辞の例文の前に次の3点から解説します。

  1. 始業式式辞の意義
  2. 学校経営の基本方針
  3. 目指す学校像

「どんな教育理念を抱く校長が考えた式辞」かも参考になると思い、はじめにまとめてみました。

1.始業式の校長式辞の意義

校長が「全生徒と全職員がともにいる場面」での第一声になります。たかが数分でも、これからの一年間継続して伝えていきたい「価値:生き方」について語ることができます。

どんなに素晴らしい教育理念の下、学校経営方針が作成されても、教職員、保護者、生徒に伝わらないと絵に描いた餅になってしまいます。

校長(先生方)には「伝える力」が求められます。500人の生徒と教職員一人一人に語り掛ける心なら、500人×8分の式辞で、実に「4000分の価値」に等しい試みです。

始業式、終業式、保護者会、学校運営協議会をはじめ、区長や民生委員等地域の方々との会合の際の校長挨拶等々は「校長の想いを語る」絶好の機会としてとらえることができます。

念入りに原稿を作り、想いのたけを平易な言葉で、わかりやすく、ていねいに伝えることを心掛けていきたいものです。今回の式辞例では、選んだキーワードは4つ。

  • 「私のなかの日本一」…競争中で見方ではない、自分自身の価値観を築く大切さ、自分の学校という意識、自分が主体となって学校づくりに参画する大切さ
  • 「オンリー1のよさ」…競争で勝つか負けるかではない、自分自身を見つめ、自分なりのよさや輝き方に気づく大切さ
  • 「切磋琢磨」…仲間と学び合う磨き合う、よき人間関係づくりの大切さ
  • 「未見の我」…まだ見ぬ未来の自分自身の力や可能性を信じる前向きな心の大切さ

 

  • すべて自分自身の生き方、あり方に係るキャリア教育の視点を意識した内容です。子どもたちが将来を生き抜くために欠かせない資質能力の育みを意識しています。
  • 子どもたちにも、先生方にも、長い時間軸での自己理解・生徒理解が大切に考えています。

キーワードは、繰り返し講話等に出てきます。

2.1学期始業式校長挨拶の背景~学校づくりの伝え方

参考程度に、わたくしの現役当時の学校経営方針の一部をご紹介します。こういう考え方から式辞の内容(例)が考えられたわけです。式辞の内容を語る背景があるわけです。

  1. 学校は集団生活のなかで「認め合い学び合う」場である。
  2. 学校は「安心安全」で「生徒一人一人の居場所」がある。
  3. 学校は出会いを大切に切磋琢磨する中で「成長し合える」場である。
  4. 学校は誰もが学校に行きたいと思える「楽しい場」である。

その目指す学校像の実現には、「自分の生き方あり方」を考えるキャリア教育を推進してきました。

生徒指導の基本方針は「言葉を大切にした積極的な生徒指導」です。教師と生徒の言語環境を整え「生徒一人一人の良さを見つけ、認め伸ばす教育の実現」を目指しました。

教師の話す言葉、生徒の話す言葉の大切さを重視しています。

3.目指す学校像

  • 生徒が○○中学校でともに学べてよかった
  • 教職員が○○中学校でともに働けてよかった
  • 保護者が○○中学校に通わせることができてよかった
  • 地域の方々が○○中学校が地域にあってよかった

そう思える学校づくりをみんなで作り上げる学校を理想像としました。

このような想いの下、目指す学校像の実現を目指して、言葉を丁寧に伝えることを心掛けています。ここで実際に語った始業式式辞例をご紹介します。

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1学期始業式の式辞例文!中学校校長の「生徒と教員の意欲を引き出す挨拶」の伝え方を解説

1 1学期始業式の導入部

おはようございます。新しい学年が今日からスタートです。今日は、学校の1月1日です。

これからの1年間が、みなさんの素晴らしい成長の年にできるように、私がみなさんに「一番伝えたい・大切な考え方」についてお話しします。

式辞:講話の内容とは、自分自身の「考え方」です。「私は、こんな考え方を私は大切にしていきます」の表明です。

2 1学期始業式式辞の柱 意欲を引き出すキーワードの提示

もし、皆さんは先生が「日本一の学校」にしたいなあと言うと、どう感じますか。日本一なんていうと、「大げさな言い方だなあ」と感じる人もいると思います。
「無理・無理」と感じるかもしれません。

私達の頭の中は、いつも何かと比べているようです。何かと比べて自分の位置を上か下かとみる癖は、誰にでもあるようです。

しかし、今日、話した「日本一の学校にしたい」という言葉の「日本一」とは、正確に言い換えると、「私のなかの日本一」です。

「私の中の最高と思える、私だけの日本一」という考え方です。

つまり、「他の中学校と比較して勝った、負けた」「上か、下か」等の考え方(価値観)ではないのです。他と比較して自分自身を見るのではないのです。

どっちが優れているとか、どっちが劣っているとかという見方ではなく、自分が精一杯努力して達成できたか、できなかったかに注目します。

判断基準は「自分の中になるのです」

自分の中で日本一と言えるぐらい、努力をして、この学校をこの仲間を誰よりも大切に想い、自分の中で最高だったと思えるか。

「この〇〇中学校の生徒で本当によかった」「心から楽しかったと言えて、この学校が私の母校で幸せだった」と素直に振り返られる学校生活をおくれたなら、「私にとって、日本一の学校だったと言っていいのかな」と私は思います。

つまり、日本一かどうかは自分で決めるのです。そんな日本一に挑戦してほしいです。

これからの一年間、何事にも「自分から」の自分を大切に積極的に行動してください。いやいやの行動、言われたからやるような行動ではない、自分が自分に誇れる行動を目指しましょう。

「私のなかの日本一」等の「生き方」価値観の紹介

ところで、

自分自身に判断基準を置くということは、何事も、自分に甘ければ目標はすぐ達成されてしまいます。自分に厳しければ、目標は簡単には達成されません。

自分が成長したければ、自分がレベルの高い目標に近づくためには、「自分はこのままでいいのだろうか」と自分と向き合わなければなりません

 

話しは変わりますが、皆さんの可能性は限りないものがあります。

しかし、自分の可能性を他の人との「比較」で判断し、「アイツには敵わない」見切ってしまっては、自分の良さには気づきにくくなってしまいます。これって将来の自分に失礼です。

どんな自分になりたいのか、このテーマには人との比較は意識しないことです。

自分の成りたい自分に向かって努力していきましょう。自分自身の成長には、自分にきちんと向き合わなければなりません。

皆さん一人ひとりのよさは、比較ではなく「オンリー1のよさ」なのです。皆さんはオンリー1を存在であり、この〇〇中学校でオンリー1を見つけて、育てていくのです

こんな考え方にぴったりの言葉に「未見の我」という言葉があります。

「未見の我」とは、「現在の自分は自分のすべてではなく、自分の中にはまだ見ぬ未来の成長した自分が潜んでいるんだ!」という言葉です。

人は誰でも無限に変わっていける限りない可能性を持っていることを表現した言葉です。

最後にお話するのは、みなさんのまわりにいる仲間のことです。

成長には、誰かとの「競争」も必要かもしれません。

友と張り合って競い合って努力することもいいですね。しかし、競争には「勝った、負けた」の結果がつきますが、結果だけにこだわるのでなく、自分の成長にこだわってください。今日は、切磋琢磨という言葉を紹介します。

この言葉には、勝ち、負けはありません。何故かというと、切磋琢磨には互いに認め合い、努力をし合って、お互いに磨き合うのです。自分を仲間と共に高め合っていくことへの価値が含まれています。

みなさんに大切にしてほしい言葉の一つですね。切磋琢磨、是非心がけてみて下さい。

最後にまとめの言葉を添えて締めくくります。

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1学期始業式の式辞例文!中学校校長の「生徒と教員の意欲を引き出す挨拶」の伝え方を解説 まとめ

今回の記事は「1学期始業式の式辞例文!中学校校長の「生徒と教員の意欲を引き出す挨拶」の伝え方を解説」についてまとめてみました。

  • 「私のなかの日本一」
  • 「オンリー1のよさ」
  • 「切磋琢磨」
  • 「未見の我」

をキーワードにしていますが、実際のメッセージはそれだけではありません。

自分はもう子供ではない…でも大人でもなく、自信もない…つい周りと比べながら自分をみつめてしまう。それでは、自分の良さには気づかない。

どんな自分になりたいのか、そのために自分は努力しているのか、自分自身の成長には、自分にきちんと向き合わなければなりません。

ここに焦点をあてて、よき考え方を身につけて努力を重ねて成長していってほしいという願いを込めて話しました。中学生の成長を、少し長い時間軸で成長に思いをはせることを大切にしています。

各校長先生が大切する想いを、思いきり語り続けてください。ここまでお読みいただき感謝申し上げます。