学校の先生

学校経営の大切なことは何か!校長のリーダーシップで明確な方針と目指す生徒像を

せっかく校長になったのだから、自分らしく、理想の学校像を追及して実現したい!

学校経営とは、「校長の自分がすべての責任を負う」という自覚の下で「リーダーシップを発揮」して行われます。校長が果たすべき責任とは、大きく集約すると4つの視点があると私は考えます。

  • 一番目は、全校児童生徒の命を預かっている責任、命を守る観点で失敗は許されない、安心安全な学校づくり
  • 二番目は、基礎基本の学力を身につけさせること、「学力向上の実現」と「激動の未来をしなやかに生き抜く力」を育む豊かな教育活動の実践
  • 三番目は、一人一人の先生方の幸せ追及と人材育成と心身の健康を増進・維持する働き方改革。さらに教職員事故を起こさせない研修と人間教育
  • 四番目は、保護者と地域からの信頼される学校づくり、多様な教育資源の集約と活用するチーム学校の実現

私は、公立学校の元校長です。これまでの経験を活かして、先生方と親御さんの子育て支援を支える教育関連を中心に~みんなのスマイル応援ブログ「ワダチブログ」を運営しています。

この記事では、2校8年間の校長としての実際の実践的手法を中心に述べていきます。ささやかな実践と私見ですが、少しでも参考にしていただけたら幸せです。

  1. 具体的にどのような「考え方」で学校づくりを進めてきたかその「実践例」が理解できます。
  2. さらに、児童生徒への伝え方、教職員への伝え方、保護者と地域社会との信頼づくりの実践例がわかります。

学校経営の大切なこと!校長のリーダーシップで明確な方針と目指す生徒像

初日からプラスワンの発想で

新任校長を拝命して、4月1日着任した翌日から職員会議をリードします。子どもの実態どころか、職員の顔と名前も一致しない、保護者や地域もわからない状況の中でのスタートです。そのような実態の把握不足の中で先輩校長の「学校教育目標」を変更できるわけがありません。

「例年通り」が現実的です。

しかし、これでは受け身すぎると私は考えていました。ですから、初日から「自分の教育理念」を職員におろしていきました。具体的にはこんな言葉で説明しました。

校長の○○です。一年間よろしくお願いいたします。

学校経営とは実態の把握なくしてできません。4月は必死に子どもたちの良さや特長は何だろうと実態の把握に努めてまいります。そして先生方と話し合う中で先生方お一人お一人の強みを理解していきたいと考えております。

従って、4月当初は伝統とこれまでの教育実践尊重し、学校教育を大切にして守ってい行きます。そのような理由から「例年通り」を基本とします。

しかし、私も教育理念をもって校長になりました。一歩一歩、教育の理想を追求してまいります。そこで、「例年通りの基本方針」に「プラスワン」して新しい風を入れていきます。

以下、校長の想いの伝え方を紹介します。

1.目指す学校像の プラスワン

目指す学校像の合言葉は「笑顔あふれる○○中」でした。そこで、既存の目指す学校像にプラスワンしました。

「みんなでつくる 笑顔あふれる○○中」

「みんなでつくる」の「みんな」とは、4つの視点で考えます。

  1. みんなとは、生徒自身のことです。生徒自身が学校づくりに参画すること、みんなとは生徒のことです。
  2. みんなとは、保護者のことです。保護者も学校教育に参画していただきます。そのためには学校教育の情報発信を活発にして学校を正しく理解してもらいます。
  3. みんなとは、地域の方々です。地域には豊富な経験を積んできた人材はたくさんいます。豊かな教育人材を活用してこそ、豊かな教育が可能となります。
  4. みんなとは、教職員です。教員が自分の学校の教育活動に誇りなくして離農の学校など築けません。教師の研修と質の高い指導力が欠かせません。

ここで「チーム○○中」の考え方を明確にします。「〇〇な学校」の表現は目指すGoal像だけを示していますが、「みんなでつくる」をプラスワンすることで、校長が学校づくりの方針を示せると考えました。

2.目指す生徒像の プラスワン

目指す生徒像についても、3視点ですでに存在しています。そこで、その理想にプラスワンして4視点で説明しました。

それは「感謝できる力」です。

そもそも、「感謝する、感謝しない」とは、人が判断すること。感謝されるような人間にならなくてもイイ。人の判断に一喜一憂しないことです。

それよりも「どんな自分になりたいか」が重要です。

子供たちの成長に意義あることは「感謝できる心」を育むことと考えました。感謝とは、日常生活の場面で実はたくさんあるのです。

「友だちがいてくれてありがたい。一緒に遊んでくれる先生がいてくれて嬉しい」「親がいるありがたさ」「勉強ができるありがたさ」色々なありがたさに気づくとは、

〇良好な人間関係を築き上げていくこと 〇謙虚に努力を積み上げていくこと に繋がると考えています。是非「ありがとう」という感謝の言葉を教室中、学校中に広げてください。

心からの「ありがとう」は

言われた相手を笑顔にします。言った人も笑顔です。そんな素敵な言葉を広げましょう。

日常の当たり前に、有り難く感じる謙虚さは、人の成長に欠かせません。その趣旨を丁寧に伝え「ありがとう」の言葉と共に伝え、指導の柱の一つにしました。

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学校経営の大切な教育方針!校長への信頼は「背中と考え方」

今までの校長経験から、「校長の心構えとして大切にしてきたこと」をまとめてみます。実際の2校で実践した校長の学校経営の考え方です。

学校経営の大切なこと視点1 みんなでつくる学校づくり

チーム学校が叫ばれる中、学校づくりに参画する人材は誰でしょう。私はシンプルに学校づくり参画する方々を先程「みんな」で表現したことを述べました。

さらに「みんな」の学校づくりを進めたGoal像も言葉にしました。

  1. 児童生徒自身です。「卒業する時に○○中学校の生徒で本当に良かった。○○中が私の母校で誇らしい」こんな言葉で卒業してもらいたい。そうなるには、自分たちの手で創意工夫ある学校づくりに参画する視点が欠かせません。つまり、自治の力です。
  2. 先生方です。先生方の教育力を高めていくしかありません。先生には「この○○中の先生方と出会い、ともに働けれよかった。」こんな気持ちになれたら最高です。校長が頼りにする学校づくりの本丸です。
  3. 保護者です。「○○中に子どもを預けてよかった。子どもの成長が感じることができる」保護者の学校教育実践への理解と信頼が学校づくりの学校を支える原動力になります。
  4. 地域の方々です。コミュニティ・スクールの視点は欠かせません。「○○中が地元の学校でよかった。近くに合ってよかった」と言っていただける学校を目指したい。地域の教育資源は21世紀型の目指す学校像に欠かせない視点です。

画国経営の大切な視点2 校長が誰にでも「敬の心」と積極的コミュニケーション

すべての人に「敬の心」で接する。穏やかで自然な笑顔で丁寧な言葉で関係づくりを図る。(人とは、児童生徒・先生方すべての学校職員・保護者・地域住民)

校長は、どんなときでも絶えず穏やかな笑顔で、丁寧な言葉遣いが必須。言葉と態度を変えないことを心掛けました。なぜなら、校長とは見られている(すべて方々から判断され評価される)存在だからです。

自分をよく見せようとしたり、相手に媚びを売ったりするような姿勢では見透かされます。変わらぬ笑顔とは、変わらね教育理念であり、教育信条です。

これは、常に心身を整える、自己と向き合う姿勢が欠かせません。

信頼は、笑顔の非言語的なコミュニケーション力と「優しい言葉」で「深い教育理念」を語る「話し方」が信頼関係を育てます。私は、言葉の力を信じています。

自分からの姿勢で「地域の方々と直接会って話す」「教職員とも、短い数分でも声をかけ二人で話す」この対話の繰り返しを基本姿勢としました。

学校経営の大切なこと!校長のリーダーシップとはよき影響力:校風づくり

リーダーシップは(子どもたちへ、教職員へ、保護者地域へ)よき影響力を与えること。指導の前に、周りの人のどんな話にも耳を傾け、聴く耳をもつ、関心を持って話しかける構えを意識していました。

校長のリーダーシップ:意図的な働きかけ

リーダーシップ論は手短に4つ。

  1. 校長としての「聴く構え:聴く力」が信頼の条件、校長自ら、親身に相談する姿勢は信頼を勝ち取ります。
  2. 目指す学校像、児童生徒像、経営方針等が、具体的でわかりやすく発信し提示できる。子どもたち、先生方、保護者地域の方々への語り。
  3. 挨拶がうまい。平易な言葉で、親しみやすい話し方で、役立つ情報を発信する。「朝会での講話、保護者会挨拶、地域行事への訪問、挨拶、学校だよりの記事等)よき考え方を啓発する。
  4. ポジティブシンキングができる人柄。悲観的な人はリーダーに向かない。よき情報、前向きな意見を述べる。

何よりも豊かな教育実践の実現のおおもとは、学校が安心安全の大原則が成り立ってのことです。

命を守る視点に校長の影響力を発揮することが一番ではないでしょうか。派手な教育パフォーマンスより、地道な「もしかしたら」と危険を察知する教職員が育たなければなりません。

親御さんから、命を預かっていることを強烈に意識する

特に頭部の怪我、熱中症や雷等、正しい判断で救急要請、救急処置等、日頃より教職員研修と意識化

「正しい判断と的確な救急車の要請」…教員である自分が生徒の命を守るという意識を持つことを指導していました。特に突発の校内事故と熱中症については、多くの事例を学ばせました。

事故発生場面では、管理職への連絡が鉄則ですが、緊急を要する場合は「自分で判断して救急を要請して良い」と伝えてあります。校長を「探しまわって」「救急要請が遅れては一大事」です。教職員がいざという時の覚悟なくして他人任せは危険です。

私が駆けつけたときには、現場の教諭の判断で救急要請後のケースも数例ありました。どのケースも私の判断と同じであり、教職員の的確な行動を認めました。

救急で搬送された場合は、病院まで校長が駆けつけ、発生当時の事情とご心配をかけたことへの謝罪を直接親御さんに伝えました。

校長がいなくても、学校がうまく機能するような学校づくりを行う意識が校長には必要です。それぞれの教職員のよさや強みを見い出し、認め、信頼し、任せることで、職員がよい提案を自らしてくるようになります。

学年主任に読ませたい記事です!

学年主任の仕事とは?役割とリーダーシップを解説!やりがいのチーム論 生徒指導や授業には自信がある先生方でも、「学年リーダーの学年主任」を任されると、どのような意識で仕事を進めていくのか例年とは違う...

チーム力を高める「報連相」の徹底に向けた管理職の心構えの参考記事です

これからの学校経営「チーム学校」

2015年の中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方針について」

では、これからの学校管理職には

「多様な専門性を持った職員を有機的に結びつけ、共通の目標に向かって動かす能力や、学校内に協働の文化を作り出すことができる能力などの資質」

が求められるとしています。学校の教育活動の質を高めるためには、教育指導等の点で教職員の力を伸ばしていくことができる教育的リーダーシップが重要であるとしています。

学校経営を自分らしく進めるのは、理想の校長像を高めるしかないと思います。

学び続ける自己研鑽の姿勢

人は、第一印象で相手のかなりの部分を読みとり勝手に判断するようです。

意識的にか無意識にか、相手の値踏みするのです。校長として、学校への支援者を増やすためには、来校者や学校関係者等とのコミュニケーションがうまくとれるようになっておくことが絶対条件の資質となります。

相手の特性やニーズに合わした質の高い話題と会話力を鍛えたいものです。来校者や出会った人との会話に自然と引き込む魅力を自身に身につけたいものです。

このことは、校長の力量の重要な要素だと思います。

話を傾聴すると、「相手がさすが」と思う教育に関する理念、専門的な知識、指導技術を身に付けており、相手が納得する助言ができる

そのためには、校長は最後の砦として、教育の専門家として読書心がけ学びました。尊敬できる師を持つことです。

校長の話す言葉にどのような価値があるのか、そこに信頼がうまれます、相手に話に耳を傾け共感し、そのうえで質の高い助言・指導ができることが校長の役割です。

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チーム力を高める報連相について記事にしました。

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学校経営の大切なことは何か!校長のリーダーシップ まとめ

今回の記事では「学校経営の大切なことは何か!校長のリーダーシップで明確な方針と目指す生徒像を」をテーマでまとめてきました。

「人事を尽くして天命を待つ」精神で物事に当たり、その後はいい意味で「物事はなるようにしかならない」です。

心配しだしたらあらゆることが心配だらけだった日々を思い出します。細心の注意をしているつもりでも、あと一歩で死亡事故もあったかもしれないことが1度や2度ではありません。最後は、自分の運頼みだったように感じます。

しかし、打つ手は打ち、心配し過ぎるまで最悪を考え続けることです。こんな地道な作業の先に、創造性ある校長しかできない学校づくりの先頭にたてるのではないでしょうか。

全くの私見の学校経営論ですが参考にしていただけたら有難い限りです。「ワダチブログ」では教育関連の記事を発信しています。教職員や保護者の皆様にもご紹介していただけるとありがたいです。

お体を大切ななさってご活躍ください。