繰り返し問題行動を起こす生徒に
「真剣に向き合って教育に取り組む熱心な先生」ほど、生徒の行動が全く改善されない実態を目の当たりにすると‥‥悩みはますます深くなり…感情レベルでは
と、こんな感じになったことありませんか?どっと疲労感とともにため息がでますよね。
この記事は、日頃情熱を傾け実践に打ち込まれる先生方に、生徒指導の考え方のパターンを広げてもらうことをねらいとしています。
今回は、「問題行動を解決に導く三つの留意点」を解説します。深い教育愛にくわえて「生徒理解の専門性を高めることができる」記事です。
私は公立中学校元校長です。多くの経験を伝えることで先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。先生方の「生徒指導の力量アップ」に関われたら幸せです。
生徒理解の仕方で生徒指導の力量がアップ!視点 行動パターンを観察する
まずはじめに、問題行動とは何でしょう。
問題行動とは、自分自身や家族、友達等まわりの人に対し迷惑や不快な言動等、不幸にする形でしか自分自身の欲求を表現できない状態のことです。
先生に悪態をつく、人に暴力する、いじめたり嘘をついたり、そういった形でしか自分自身を表現できない状態のことです。
このままでは、その子も周りも不幸のまま。そこで次に三つの留意点から生徒理解を進めてみます。
問題行動を解決に導く留意点1.「問題行動のパターンを観察し見抜く」
行動のパターン、言動のパターンを分析的に観察してみてください。
授業中私語が多く、すぐに集中が切れてしまう多動な生徒を例に挙げて説明します。
- よくよく観察すると、○○の教科(先生)の時は集中している時間が多い。〇〇の教科(先生)の時は特に行動がひどくなる。
- よくよく観察すると、生徒●●が先に“小さなきっかけ”を与えていることがある。
- よくよく観察すると、日によって問題行動の内容に差が大きいことがある。比較的集中している時と朝からひどく落ち着かない日がある。
「よくよく観察すると…」こんな姿勢で、今一度「決まった行動パターンはないか」の観点から生徒理解を深めてください。
ちなみに上記のパターンを整理して推測すると
- もしかして、授業以外の「先生」との関係性で多動が抑えられているのかもしれない‥‥そうだとしたら
- もしかして、授業中の○○活動の時を○○がきっかけにして問題行動がおきやすい。‥‥・そうだとしたら
- もしかして、問題行動を引き起こすきっかけを、まわりの生徒や○○の雰囲気の時、一気に引き起こしているのかもしれない。‥‥・そうだとしたら
- もしかして、登校前の家庭環境の中での「出来事」によって、問題行動の頻度と大きさに関連しているのかもしれない。‥‥・そうだとしたら
今度は「もしかして…●●かもしれない」こんな姿勢で、生徒理解を練り直していくのです。新しい一面が、すっと目の前に広がるかもしれません。
この「もしかして…」は、次のようにつながっていきます。例えば、次に「‥‥・そうだとしたら‥‥授業以外での会話でつながりを作れるかもしれない」と思考が続いていきます。
生徒理解の仕方で生徒指導の力量がアップ! 問題行動の意味に気づく
問題行動の理解の二つ目は、「もしかして…」をさらに発展させて、「行動の意味に気づく」ことです。
問題行動を解決に導く留意点2.「問題行動の意味に気づく」
例えば、こんな思考の流れですすめていきます。
- 最近欠席が多いのは、・・・・学校に登校するのが嫌ではなく、○○と顔を合わせるのが嫌なのかもしれない。
- 最近欠席が多いけど特に○○曜日に集中している、・・・・これは学校が嫌ではなく、〇〇の授業に出ることに抵抗があるのかもしれない。
最近の行動パターンには、こんな意味があるのかもしれない。
こんな生徒理解を進めて策を考えていくのです。教師は生徒の一挙手一投足の「意味」を考える習慣が生徒指導の力量をアップさせていきます。
生徒指導レベルアップのカギ
「なぜ、こんな行動をするのか?」その行動のわけ、その行動の意味を考えるクセをつけてください。
そんな「自問自答」の形で思考が生まれると、生徒の問題行動に対し「瞬間的に、カっとなる」自身の悪い癖を修正できるようになります。
生徒理解の仕方で生徒指導の力量がアップ!問題行動の原因を考える
問題行動を解決に導く留意点3.「問題行動の原因を考える」
問題行動理解の三つ目の観点は、その行動をとらざるを得なかった「原因」に気づくことです。
○○がいつも無口な(活躍の場面に出たがらない)のは、
複雑な家庭環境の影響で、幼少期から「沈黙して黙っていること」が一番自分の身を守る方法と考えていたから…
こんな感じで、原因に気づくことを心掛けてみてください。
では、原因を考える道筋に触れてみます。子どもの発達が過去のどの段階にとどまっているのか等の「家庭環境」「成育歴」に注目してみてください。
ネグレクト等の児童虐待、最近は「ヤングケアラー」の実業も明らかになってきて注目されていますね。子どもなのに介護や幼い妹弟の世話をしているケースも、先生方の受け持つ生徒の中には、「いる」ものと考えてみてください。
少なくても「乱暴な子」「悪態をつく子」「だらしない子」「無気力な子」「嘘をつく子」「冷たい子」等々…簡単な言葉ですぐに見極めて「○○な子」とレッテルを貼る表現は失礼なことです。
問題行動の背景には、これまで解説してきたとおり様々な要因があるはずです。「なぜ、だろう?」という感覚はプロの教師としての誇りです。先生方には「自問自答する姿勢」を強く持ってほしいです。
- 本当は「自分の問題行動を自覚」していて…
- 本当は「こうしたい」と葛藤しているのかもしれません
こんな観点で、今は問題行動をしているけど「本人なりに葛藤もあるはず」と考えれば、その対応(指導・支援)はおのずと温かく的確な指導ができると考えています。

生徒理解の仕方で生徒指導の力量がアップ!問題行動を解決する3留意点 まとめ
今回は「生徒指導の力量がアップする生徒理解の視点!問題行動を解明する3観点」でまとめてみました。
- 手に負えない問題校でも「子どもの言動をよく観察して、その子なりの行動パターンを見つけること
- 行動パターンがわかったら、その問題行動は何をねらいにした言動なのか、どのような欲求(何を求めているのだどう)なのだろうと考えてみる
- 「その子なりの決まった〇〇な問題行動の仕方を身につけてしまった過去の生い立ち」を考えてみる
教師側から見れば、30人学級なら数字的には「30分の1」一人の生徒ではありますが、生徒側から見れば、「たった一人の私の学級担任の先生」です。
親から預かっている「子ども」の良さを見出し「活躍の機会を創造し工夫し」「励まし認め」成長させたいものです。そんな尊い素敵な職業が教師です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。また、「ワダチブログ」でお力になれれば幸いです。