このような想いの先生方に向けて書いた記事です。先生方の仕事は、児童生徒への指導力です。よき影響力を与えることです。
「上手くいっている」感じ、「うまくいっていない」感じ等、自分の主観的な判断はできますが…自分の客観的な指導力を測ることはできませんよね。
そこで、今回のテーマは「自分自身の生徒指導力の客観的な測り方」です。といっても、テストや検査するわけでも講義でもありません。生徒指導の考え方や意識の向け方を紹介します。
私は公立学校の元校長です。先生方や子育て中の親御さん等を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
この記事を読むと「指導する」とは、どうしていくことなのか考え方がハッキリとします。あなたの生徒指導力を一段アップする考え方と手法が手に入ります。
大切なことは「指導」の意味の理解!コロナ禍の「指導しました」の先にあるもの
1.指導力とは「言葉の伝え方」の長けたこと
校長先生から先生方に向かって
「私が先日指示した、コロナ禍の諸注意事項は、生徒に指導していただきましたか?」と、声がかかったとします。
この質問に全ての先生方は、もれなく「はい、指導しました」と返答するはずです。校長先生の指示事項ですから、責任を果たすことは当たり前ですよね。
ここからが今日のテーマです。
ところで、「指導しました」とは、
先生方は「どのような(教育内容)お仕事をされたこと」をいうのですか? この質問に、あなたはどのように答えますか?
例えば、「指導した」の中身は、生徒に(指示された指導内容)を「話した」「注意した」等呼びかけたことでしょうか。
「話した」「注意した」ことは、指導には違いありませんが、これは指導の入り口であって、これだけでは、教師の指導が完結されていません。
ご自身の生徒指導力があるかないか、それは「力」とあるのですから「生徒に言葉を伝える力:影響力」と、私は考えています。
2.生徒指導力の測る3つの考え方と自己評価の視点
1つ目、どのくらいのレベルで、生徒に伝わっているかを意識してください。「伝える」ことが仕事なら、伝える工夫を常にしていることになります。そして、「私の働きかけが、生徒に伝わったのか」見極めることが、不可欠です。
指導中に、「私の指導が生徒に伝わったか」に意識がある先生は、指導を受け取る生徒の様子をしっかり把握して、すでに指導中にご自身で様々な修正をなさっているはずです。
2つ目、生徒が、どのように理解したか。指導後、どのような感情になったのか。納得してちゃんとした理解につながっているか。
十人十色の生徒たち。その理解度は一人ひとり様々です。
指導を受けた生徒は「どのような感情を持ったのか」表情等から生徒の感情に注目してみてください。そして、私の指導の意図を理解して、生徒は納得したのか?この視点を意識してください。
生徒自身が先生の言葉を納得したのか、納得していないのか。この点が次の実際の行動面で大きな差となって表現されます。
3つ目、(その伝わり方と理解の下で)適切に行動できているか。子どもたちの考え方や意識が変化したのか?
実際の児童生徒の行動面に、よき変化が現れているかどうかを見極めたいです。この意識が、仮に不十分なら、教師自身が再度伝え方を工夫して「指導」するのです。
この生徒指導の考え方なら、絶対に児童生徒のせいにはできません。
こんな思考になっています。このスタンスでは、生徒指導の力量向上は、とても望めません。何年経験しても現状維持のままです。
生徒指導とは?大切なことは「指導」の意味の理解!コロナ禍の指導例
コロナ禍の校長先生の心情は、大きく2つの視点です。
1つ目は「自分の学校では、絶対にクラスターは起こしてはいけない。この一点は死守したい心境でしょう。
感染症だから、絶対はない。しかし(胸を張って)やるべきことは、先生方と協力して「しっかりと、やってきた」と言いたい。
2つ目は「できる限りの、教育活動を子どもたちのために粛々と実施していきたい」この視点です。
そのためには、生徒が「感染症を正しく理解したうえで、正しく行動ができる力を身につけさせること」が学校の喫緊の課題となっているのです。
だから、校長先生は、生徒の最前線に立つ先生方一人一人の指導力に期待しているのです。
そして、校長先生は学校の先頭に立ち「先生方、指導していただけましたか?」と確認しているわけです。
言い換えると
「私たちの学校の児童生徒は、しっかりと○○を理解して、その場その場で適切な行動がとれるようになりましたか?」この実態の確認をしたいのです。
実際の生徒の活動に、よき変化があったのか、実態によき変化がみられるのかという視点です。
だから仮に、具体的に課題が残っているなら「学校全体の問題にして、すぐ解決しましょう」という意図で確認したのです。
指導が「生徒に話しましたよ」の意識のレベルの返答では校長先生は崩れ落ちます。
生徒指導とは?自分の力量の客観的な測り方!指導力最強レベルの学級担任
私が考える、指導力最強レベルの一例
家庭での何気ない親子の会話に、先生の専門性を感じる技が表現されています。
ねえ、学校はコロナ対策しっかりやっているの?
先生方は、ちゃんと指導してくれているの?
みんなは、どんな感じで生活しているの?大丈夫なの?
うちの担任の○○先生は、すごく心配してくれて「~に、注意するように」といつも話しているよ。
授業中も~こんな感じでやってるよ。先生が「手洗いとうがいをしなさい」って、集まるたびに言っているよ。
「三密」守っているから大丈夫。心配しないで。
先生が、「正しく理解して、しっかりと約束を守って行動していれば、怖がりすぎないように」って言ってたよ。
「できないことが多くなったけど、やれることは大切にしてやっていこう」って、いつも励ましてくれているよ。
できないこともいっぱいあるけど、学校はやっぱり楽しいよ。
生徒の言葉から、教師の専門性を感じていただけましたか。
先生が自己評価する視点は、指導した結果が、生徒にちゃんと届いていることを見極めてください。
指導の結果は、生徒の態度や言葉になって、表現されています。
生徒の実態から 客観的に 見極めてください。
例では、生徒の言葉に
〇先生の言葉に、「自分たちのこと(生徒のこと)を心配している先生の気持ち」が生徒に届いています。
〇先生自ら授業中をはじめ、学校生活全体で意識高く仕事をしている姿に、「先生も本当に気を付けているんだな」と、口先の指導ではない、先生の真剣さが生徒に届いています。
〇先生の言葉で「自分たちがどのように行動すればいいのか」について、生徒が理解しています。先生の指導内容を理解して納得している様子が言葉に表現されています。
〇先生は注意を促しながらも、「私たちを、励ましてくれている。先生の応援する温かな気持ち」が、生徒にしっかりと届いています。
結果として、生徒たちは「コロナ禍の適切な対応をしっかりとできている」実態が浮かびます。
●具体的な対応がなぜ必要なのか、納得して意識されているか。その対処する行動がどの程度適切か。
●さらに、コロナ禍の不自由な学校生活が続く中、生徒の残念な気持ちや不満等の気持ちに、寄り添う(先生が心配して、励ましていることが生徒に伝わっている状態)姿が生徒の声から表現されている状態。
●世の中全体が、大変な時、コロナのせいにするだけではなく、飲食店など様々な工夫と努力で乗り越えようと踏ん張っている人の姿など伝えていけば、
当たり前に感じていた日常の生活が、実はありがたいことだったことに気づかせる等、生き方のタネが散らばっていると思います。これって、最強レベルの指導力です。
別の言い方をすれば、
はじめから「生徒の吹き出しの部分の言葉を、先生自身が指導後の目指す生徒のゴール像としてイメージを持っているということ」が大事なのです。指導後の生徒の理想のゴール像が(指導前に)見えている!ココがポイントです。
思い描くことができれば、あとは、どのように伝えれば生徒の心情に届くか、ご自身で工夫していけばいいのです。
その後、必ず「生徒のしっかりと届いたか」この確認をするだけ。もし不十分ならやり直せばいいのです。あくまで、教師自身の問題として考えるのです。
今日のテーマは「指導力の測り方」ですが、測り方の意図が分かれば、どのような考え方で指導を進めていくかが、ごりかいいただけたでしょうか?
「ゴールの生徒の姿や行動 ゴールの生徒の言葉や意識 ゴールの生徒の納得度」ここから指導をスタートできれば、あなたの生徒指導力は格段に上がっているはずです。
手ごたえを自分で認識できるはずです。客観的に生徒の姿、表情、行動、言葉の中に「あなたの指導」が写っているのです。
- 先生が自己評価する視点は、指導した結果が、生徒にちゃんと「届いていること」を見極めてください。
- 指導の結果は、生徒の態度や言葉になって表現されています。
- 教師は「伝える」ことが仕事。だから「伝える工夫」を常に考えていきましょう。
- 指導中・指導後は必ず「生徒に伝わっているのか」「どんなふうに届いているのか」に、意識を向けてください。
- 教師自身の熱い想いを添えて、話すより「語る」をイメージしてください。言葉に、先生の想いも一緒にのせて伝えてください。
中学校教育に特化したワダチブログでは、「お母さんお父さんの子育て応援」と「中学生に贈る5分間生き方授業」を掲載しています。一緒にご覧いただけると、うれしいです。
「あれだけ、指導したのに…あの子、何も聞いてないんだよね…」こういう会話、プロっぽくないです。
教師の思考転換・生徒指導力量アップ№7 失敗しない学級・学年経営、具体的な手順と考え方が、わかります – ワダチ ブログ (wadachiblog.com)
会話の中には、コロナ禍で、できないことが多く我慢する生活の中でも、
わが子がこのような反応をしていたら、お母さんは感激すると同時に、すごく安心して、学級担任と学校への信頼を厚くするに違いありません。
- 生徒の行動に
- 生徒の言葉に
- 生徒の考え方
- 生徒の意識に
先生の指導する「指導内容の深さ」が「どの程度で伝わっているのか」「生徒の心に届いているのか」が、「どのように表現されているか」が、その先生の指導力、その学校の指導力です。
客観的ですよね。教師の指導とは、「その指導内容に」その教師の熱い想いがあり、それを真剣に伝えることです。伝えることが仕事。だから伝える工夫を常に考えている。
指導中・指導後は必ず「生徒に伝わっているのか」「どんなふうに届いているのか」に意識を向けています。だから、確認する。生徒の声を聴く。アクションすることが指導することのイメージですが、それに対し「聴くこと」は、簡単で誰でもできるイメージがあるのでしょうか?
「話し下手」はあるのに、なぜか「聴き下手」って、言わないですよね。生徒指導の中心に「生徒の声を聴く、真剣に聴き取る」ことを意識してください。
きっと、先生のことを信頼すると思います。本気になって聴くことは、威力抜群です。
仮に、伝わり方に課題があれば即、その場で修正することもできます。この意識と技が、教育を仕事にするプロの証です。指導とは「〇〇に注意しなさい」の言葉だけでは、完結しないのです。
多様な価値観を、教師の想いをのせて丁寧な言葉で伝える、生徒に届けることが、私たちの誇りある仕事です。
生徒指導とは?大切なことは「指導」の意味の理解!自分の力量の客観的な測り方(小学校・中学校編)まとめ
今回は「生徒指導とは?大切なことは「指導」の意味の理解!自分の力量の客観的な測り方(小学校・中学校編)」についてまとめました。
1 生徒指導力の測り方の視点は、「生徒に言葉を伝える力」となります。
生徒指導力の測る3つの考え方と自己評価の視点
- どのくらいのレベルで生徒に伝わっているか。
- 生徒が、どのように理解したか。
- (その伝わり方と理解の下で)適切に行動できているか。
指導を受けた生徒が「(先生の言葉を聞いて)どのような感情を持った」のか、生徒の感情に注目するといいです。中学生は、表情や態度に表現されやすい傾向があります。
- 先生が自己評価する視点は、指導した結果が、生徒にちゃんと「届いていること」を見極めてください。
- 指導の結果は、生徒の態度や言葉になって表現されています。
- 教師は「伝える」ことが仕事。だから「伝える工夫」を常に考えていきましょう。
- 指導中・指導後は必ず「生徒に伝わっているのか」「どんなふうに届いているのか」に、意識を向けてください。
- 教師自身の熱い想いを添えて、話すより「語る」をイメージしてください。言葉に、先生の想いも一緒にのせて伝えてください。
中学校教育に特化したワダチブログでは、「お母さんお父さんの子育て応援」と「中学生に贈る5分間生き方授業」を掲載しています。一緒にご覧いただけると、うれしいです。