学校の先生

学級だよりの意義と書き方のコツ!「学級づくりと親の信頼」を得る考え方を解説

学級通信を出そうかなって思うんだけど…、作り方がわからないし、続けられるかちょっと不安…生徒や保護者からの反応がないから、出す意味が分からなくなる(意欲はあるけど、スキル的に自信がなく見通せない、不安型)

今年はもう少しレベルアップしたいな。手探りな感じで頑張ってきたけど、記事ネタなどもっと基本から教わりたい。(実践に自信あり、質の高い学級だよりを目指したい、向上型)

周りの先生方がほどんど出しているのに、私だけ出さないわけにもいかず…発行し続けることが辛くなる…仕事が忙しくて、書く時間がない(できれば、発行したくない…発行する意義がわからない、疑問型)

大きく3タイプに分けました。こんな先生方に向けて「学級だより」の基本を記事にまとめました。

この記事では、学級だよりの意義とねらいを押さえます。継続の負担解消のコツを解説します。質の高い学級だよりは、親も生徒も「学級担任の学級だより」を楽しみにしています。記事ネタの事例や学級をまとめる効果、保護者の信頼を得る工夫などをまとめました。

一部、学級だよりにのせたい文章を実例で示しました。

私は、公立中学校元校長です。数千人の生徒たちと保護者の皆様と関わり信頼関係を築いてきました。先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。

先生方の学級を想う情熱で発行する「学級だより」が、生徒と保護者の心に届くコツがつかめるようにまとめましたので参考にしていただけたら嬉しいです。

学級だよりの意義とねらい「学級づくりと親の信頼」を得る考え方

愛読される学級だよりを書くには、どうしたらいいか? おおもとの考え方を押さえます。

1.教師は「考え方」で信頼を得る

  1. 学級だよりの発行者は学級担任の先生です。学級担任の先生、あなたが、読み手から愛されることです。
  2. 読み手は「児童生徒と保護者」です。愛されるとは先生が信頼されていることです。
  3. 信頼とは、その人の「考え方と言動」です。
  4. 考え方は、「言葉」でできています。~あなたがどのような言葉で考え、言葉を語っているかが問われます~

つまり、学級担任として

  • 担任した目の前の子どもたちのこと一人一人と、
  • その子を愛で包み込み育んできた親御さんをどのように考えているかがカギとなります。

思考は言葉でできています。あなたが信頼されるために「言葉を大切にする意識」を高めてください。

2.学級だよりの意義は教師の教育観を伝えることができる

子どもたちには

  • 子どもたちに、こんなクラスを創ろうよ!
  • 子どもたちに、先生はこんな考え方を大切にしているよ!
  • 子どもたちに、こんな力が身につけられたら最高!みんなならきっとできる!
  • 子どもたちに、「わーすごい!みんな成長したね、先生うれしい!」
  • 子どもたちに、「先生、悲しいな。○○が大切です。みんなどう思う?」

子どもたちが、どこに向かっていけばいいのかがハッキリし、相互理解にも役立ちます。ここがが学級経営のポイントとなります。

普段から

あそこを目指せ!みんなならできる!みんなで一緒にいこう!みんなの可能性は無限大。きっと成長する!先生楽しみだなあ。

こんな先生が、書く学級だより・文章なら、子どもたちも楽しみに読みますよね。

学級だよりで、自分自身の願いや想い、こんな力を身につけてほしいと直接伝えることができるのです。自分自身の職務に直結する欠かせない貴重なアイテムになりうる手段です。

親御さんには、

子どもたちに「何を語っているのか」を通して、「なるほど」と納得していただければ、信頼を深めていかれることでしょう。

自分自身の考え方や子どもたちへの想いを「家庭へのお願い」として直接語り掛けることできます。

どんな記事を読んだら親御さんは喜ぶのだろう?こんな意識が大切です。

子どもたちの普段の素顔…わが子の活躍の様子…こんな成長…こんな課題も…発想をどんどん飛ばしてみましょう。

3.学級だよりの発行頻度は?

学級だよりに、苦い経験がある方に聞いてもらいたいことがあります。ここまでの記事内容にある程度、理解できる方ならぜひ学級だよりを発行してください。

鍵は考え方です。無理なく続けられる頻度でいいです。

それが1週間に1度なら1回と決めればいいのです。自分できる範囲内で考えてください。毎日発行することが目的ではありません。その記事の影響力を目指すのがプロです。

書けるようなら発行頻度を増やせばいいのです。はじめの方、苦手意識ある方は、1週間に1度からスタートしてみてはどうでしょう。

毎日発行されている方は、素晴らしい実践です。先生の成長とともに紙面にも成長の跡が見えるように「変化」を期待します。頑張っていらっしゃる先生の紙面に「もっとこうしたら、いいんじゃない」と助言する先生は学校にはかなり少数派です。どうしても、自分の殻を破れなくて、毎年同じパターンの学級だよりを見てきました。

学級だよりの潜在的パワーを信じている私には、まずは頻度より内容重視です。

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学級だよりの構成と書き方のコツ「学級づくりと親の信頼」を得るネタの考え方

担任になったら書くことになる学級だより。年度初めは「タイトルは何にしよう?」「どんなことを書こうかな?」とワクワクしますよね。

一方では、「学級だより」は苦い経験があって、ネタに苦しくなったこと、発行し続けることの難しさに憂鬱な先生方もいらっしゃることでしょう。

ココでは学級だよりで扱うネタについてご紹介します。

1.学級の様子を子どもたちの成長に絡めて伝えていく

「学校でどんなことに取り組んでいるのだろう。今の学級の雰囲気がどんなかんじなのだろう」親御さんの素朴な感情です。知りたがっているのだから、適切に情報発信です。

その発信の仕方に「担任の願い」を添える+子どもたちの「小さな成長」を見逃さない

例えばこんな感じはどうでしょうか?

2.日常の一コマを記事に「実例」~伝えたいことを明確に

基本は生徒の成長に気づき、認める言葉を載せていきます。その方針そのものが学級づくりの柱となります。学級経営に欠かせないから、学級だよりを書いているわけです。

ある日、休み時間にこんなうれしい場面がありました。

教室に入ると3人が一人の子を囲むように話しかけている様子…何かあったかな?近づくと子どもたちが私に気づいて

「先生、○○ちゃんがいつもと違うんです。元気なくてお腹が痛いみたいです」

私、「そりゃ大変だ。お腹痛いの?保健室に一緒に行こうね。歩けるかな?お友だちがそばにいてくれて嬉しいね。(コクリとうなずいてお友だちに“ありがとう”)」

「いつもと○○ちゃんが違うから…保健室に一緒に行こうって話してたの?」

私「みんなありがとうね。お友だちがピンチな時にいち早く気づいて声をかけるなんて、さすが!」

保健室から戻ると

次々と「先生、○○ちゃん大丈夫ですか?」

私「ちょっとした変化に、気づけるってすごいし、あたたかく声をかけて、そばにいてくれる‥そんな行動が嬉しいな、みんな成長しているね」

…担任が何を大切にして学級づくりをしているか、伝える工夫

「大丈夫?」「一緒に…しよう」あたたかな言葉ですね。自分のことに精一杯のはず、でもいつも友だちの様子が違うと気づく感性、そして温かな言葉で適切に行動力。子どもは確実に成長しています。小さな成長への変化を敏感に感じ取れる教師になりたいと改めて思いました。

これは発展形ですが、こんなふうに保護者を巻き込むこともできます。 【高レベル】

ご家庭でも「こんな出来事ありませんか?」子供たちの成長の証である「小さな変化」を「当たり前」としないで「認める言葉かけ」にしたいと考えています。

きっとご家庭内でもお子さんの成長場面のエピソードたくさんあるのではないですか?教えてくださりませんか?子どもたちに是非お話してあげたいです。1年間、いつでも絶賛受付中です。

内容は、教室内の日常の出来事を記事にしているだけです。子どもが”人知れず”掃除を頑張っていたりしたら、それを書くとか。先生が当たり前のことを、子どもたちの成長の目でみて「見えにくいもの」を伝える作業ってプロの仕事です。

しかし、教育のプロである私たち教師の目から、その出来事の価値をきちんと伝えるのです。こんな情報発信なら、子どもも保護者も先生の大切にしている姿勢に共感を持っていただけると思います。

発展系として、教職員同士でチームでこの動きができたら最高の生徒指導です【高レベル】

職員室で他の先生がクラスの○○を褒めてくれたら、「○○先生が職員室でこんなこと言って、みんなを褒めてくれたんだよ。みんなうれしいねえ、先生もみんながどんどん成長していって本当に嬉しいよ。さあ、今日も頑張ろう!」って、直接伝えたて、さらに記事にして書いたりするもの大変効果的です。

具体的に何がいいのか、どこを目指せばいいのかを先生が意識することです。誉める指導ではなく「認める言葉」を伝えるのが生徒指導です。

3.授業中の生徒が書いた意見や感想を掲載

これは、いいなと認められるものを直接紹介して掲載します。

他の生徒がどんなことを書いていたのかを知ることができるので、生徒にとって学び合いの機会となります。何がいいのかを意識して伝えます。大切な価値観の共通理解です。

保護者からすると、学校でどんなことを学んでいるか知ることができますし、何を大切にする先生かを深く理解していただけるチャンスになります。

保護者が嬉しい記事?としてはこれもあります。

4.写真の活用 生徒の普段の笑顔です!

これは、不可欠な要素です。どんな良い記事でも写真がないと黒い文字がズラッと並んでしまい読もうとする記録がなくなってしまいます。

わが子がどんな顔で仲間と学級生活をしているのか、どんな授業を受けているのか知りたいですよね。強い需要があります。

もちろん、子どもたち一人一人の掲載の回数・量は、平等性を意識してください。写真を載せてよいかどうかも事前に各ご家庭に許可を得ておくことも欠かせません。

写真ではありませんが、掲載記事については8学級300名ぐらいの名簿に第何号で表彰や活躍を掲載したかをチェックしていました。

5.勉強方法に係る内容

定期テスト2~3週間前に連動して学習面を話題にした紙面作りです。

  1. テスト計画の作り方を書いた記事
  2. 仲間がどんな勉強方法をしているかを書いた記事
  3. このノートのまとめ方すごいぞ!の紹介記事
  4. 先輩の勉強のやり方の紹介記事
  5. 勉強の実態調査結果、生活実態調査結果、意識の調査結果等

勉強面は、共通の話題のはずですが「どうしても個人の問題で、各々が悩んでいる」実態があります。みんな気にしているのに、スタートが切れないような傾向です。

だからこそ「勉強面の苦しさ、疑問点、方法をクラス共通の話題」になれば、子どもたちは嬉しいはずです。徐々に進路に向けた「意識」を芽生えさせます。そんな紙面づくりができたら子どもも助かるし親も喜ぶと思います。

もちろん、これも学級づくりの視点ですね。原則は学級づくりの一環に学級だよりがあるのです。記事が独立してしまうから、記事ネタが考えられないのです。

6.他学年ではどんな教育活動をやっているか

中学1・2年生には「3年生の先輩たちは今、こういうことやってるぞ。来年はこういうことやるんだよ。今の取り組みは、そこに繋がっているんだよ」っていう内容は、進路に向けた意識を芽生えさせる貴重な情報です。親御さんにも喜ばれることは間違いないですね。

小学生でも、高学年がどんな取り組みをしているのか紹介する記事は大切に思います。今の時期、今の活動を1年後、2年後に繋げるようにお話してください。それを記事にするのです。

普段の指導の延長上に学級だよりづくりがあるのです。

仮に、別のものになってしまっているなら、それは厳しい表現ですが「自己満足」世界で、“何号出したぞ!”という号数を増やすことが「目的」になってしまっているのではないでしょうか。

7.効果的な+αの記事ネタ

三つほど記事ネタを付け足します。一つ目は超基本的な内容ですが

一つ目は「学級委員や委員会決めの後に、誰がどの役職についたか」をまとめて出す学級だよりです。。

親御さん向けです。わが子の情報(係分担)は興味関心があります。ありがたい学級だよりです。

二つ目は、今世の中で起きているニュース・新聞記事に担任のコメントを添えてみる学級だよりです。

自分自身の学級づくりの大切にしているところと、記事を結び付けてみるのも面白い取り組みです。考え方、生き方の広がりにつながる視点です。

三つめは、番外編です。親子で考えるなぞなぞはどうですか?

しっかりした教育観・指導観のある学級だよりに、ホッと抜ける記事があると、余計先生の人柄が伝わります。「楽しいと成長」が学級づくりの第一です。

すべて、この記事が「どのように親御さんに伝わるのだろうか?」の問いをきちんと意識することが大切です。それを向きにしての“なぞなぞ”はありえません。

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学級だよりの意義と書き方のコツ!「学級づくりと親の信頼」を得る考え方 まとめ

今回の記事は「学級だよりの意義と書き方のコツ!「学級づくりと親の信頼」を得る考え方を解説」についてまとめてみました。

学級づくりへの基本的な考え方を述べてきました。

冒頭に示した「始めたいけど疑問と不安がつきまとう、不安型」「学級だよりをさらによいものにしたい、向上型」「学級だよりに疑問型」の3タイプの先生方に参考になるようにまとめました。

紙面の中にネタで紹介視点で「コナー」をつくると、どこに何がはいるか見当がつきますので時間短縮でつくりやすくなります。大切なことは、年間を通して「想いの継続発信」することです。発行する頻度を無理せず、続けられる工夫をしていきましょう。

いかがでしたでしょうか?

私の想いが、是非「学級だよりの本来の意義を踏まえて」学級づくりに生かしてほしいというのが願いです。

今後もお力になれるよう、先生方応援する「ワダチブログ」を充実させてまいります。お体に十分留意されご活躍ください。