授業のやる気を挫く教師の言動「勉強の意欲を失った体験談」から原因を考察あなたが
生徒にこんな質問をしてみました。
この記事は、中学生1年生から3年生の357人の生徒の声で構成されています。
先生が意図的に生徒のやる気を挫く先生はいません。しかし、先生の授業中の言動にやる気を失う中学生は実際にいるのも事実です。
この記事では、調査結果の概要とともに生徒の声を集めました。そこから見えてくる教師のタイプを分類しています。その原因を考察しています。先生方の授業力向上をねらいとしています。
私は元中学校校長です。先生方は、生徒の成長を心から喜びます。教職という仕事に誇りをもって頑張っておられます。
しかし、その一方で「教師の何気ない言動」が生徒に悪影響を及ぼしているのも事実なのです。先生方お一人お一人が自分事として、ふり返るきっかけになれば幸いです。
中学生のやる気を挫く教師の言動!「授業力向上」に向けた実態調査結果
中学生は教師の影響を強く受けます。いい意味でも悪い意味でも。これは、中学生357名の「調査結果の概要」です。結果は以下の通りです。
- 先生の言葉かけや態度によって意欲がわいた経験がある生徒「357名中161名、45%」
- 先生の言葉かけや態度によって意欲を失った経験がある生徒「357名中144名、40%」
- 意欲がわいた経験、意欲を失った経験「両方記入した」生徒「81名」
- 意欲がわいた経験だけを記入した生徒「80名」
- 意欲を失った経験だけを記入した生徒「63名」
この調査での「生徒の声」から「授業中に生徒のやる気を挫く先生のタイプ」を分類しました。
この調査には「限界」があります!
それは、生徒の声を読んで「こんなひどい言葉、私は言わない。信じられない!」という感情がおこったとします。その瞬間、この記事はあなたにとって「他人事」となります。
生徒を傷つけようとする先生はいません。しかし、実際は「先生の言葉に傷ついている事実」がある。この食い違いは、「自分はダイジョブ」からは何も解決しません。
ご自身の「表情」「まなざし」「声の調子」「姿勢・態度」等の無意識のレベルの「ちょっとした変化」を生徒は敏感に察知しているのです。
「私も・・・・かもしれない」
そんな謙虚な姿勢で「自分事」と考えてくれたら、あなたご自身もあなたの学校も「成長」するはずです。
中学生のやる気を挫く授業中の教師の言動「生徒体験談から教師像」を考察
357名の生徒の声から、5つの教師タイプに分類しました。
- 「生徒の能力を軽視・冷笑」型
- 「感情的・思い込み」型
- 「授業が画一的・情緒不安定」型
- 「不誠実・つき放し」型
- 「自己本位・無視冷淡」型
授業中生徒のやる気を挫く「生徒の努力を軽視・冷笑」型
生徒の声:誤答を軽視する
生徒の声:作品を軽視する
生徒の声:差別する
「先生は、生徒を差別しますか?」の問いに「はい、私はいつも生徒を差別しています」と答える先生は一人もいません!
自分自身は「意識」していないところで、生徒には「差別をする先生」と受け取られてしまう、そんな実態が浮かび上がってきます。
中学生のやる気を挫く「感情的・思い込み」型
生徒の声:不適切なしかり方
ここでは、「自分が悪いことを自覚している」ので、「指導するタイミング」はいいのだが、指導すべき内容がスッキリと生徒に入らず、教師側の言い方や表情とから「感情面」で生徒が受け止めているケースが多いようです。
中学生のやる気を挫く「授業が画一的・情緒不安定」型
生徒の声:授業がわからない
生徒の声:自己不一致
生徒は、先生の一つ一つの小さな変化に敏感です。とても鋭い感性で先生を見ています。戦士絵型は「自分が多くのまなざしで、生徒から“見られている自分”を意識したことはありませんか。
中学生のやる気を挫く「自己本位・無視」型
生徒の声:自分本位の冷たい話し方
授業中に黙って立っている生徒…先生方ならどんな言葉をかけますか?
中学生のやる気を挫く教師の言動「授業中勉強する意欲を失った体験談」から原因を考察
どうして先生の言葉が、生徒のやる気を削ぐのかもついて4視点から考察してみました。
考察1 責任感の裏返し、自己防衛的な指導観
- 一生懸命に指導しているのに、「どうしてできないの!」と見放したくなる気持ち。やるせない気持ち。
- 生徒側にたって考えてきたのに、生徒の気持ちがわからなくなってきた。
自分は教師として“生徒のために”全力で取り組んでいる」という熱い想いで真摯に取り組む先生。こんな立派な先生が、独りよがりな先生になる事もあります。
指導のポイント
そもそも、「教師が指導する」とは、生徒に伝えたい「大切な価値観」があるわけです。指導とは「する」ことではなく「する=生徒にしっかりと伝える」ことです。
考察2 無意識の中での「みくだす」生徒観
相手は子どもであり、自分は教師。教師はややもすると「できない生徒、できないこと(過半数の生徒はちゃんとできていますよ!)」に対して、傷つける不用意な言動になりやすい傾向もあります。
指導のポイント
教師の仕事には、大きな落とし穴があります。それは、教師であるあなたが「指導して」、「すべの生徒から無視された」経験なんてないですよね。
教師が指導すれば、過半数の生徒が先生の指導をすぐに理解できます。一般的なことですが、すぐできる子過半数の子どもと、なかなかできない子どももいます。
考察3 熱意の裏返しの指導観
「なんとかして、できるようにしたい。なぜ、できないんだ!意識すれば、努力すれば…できるはず。しっかりとやりなさい!」そんな熱意も、その先生との「関係性」によっては、過剰な言動として映ってしまうのでしょう。
指導のワンポイント
「誰の言葉か!」に注目して下さい。生徒は「教師の言葉」を「普段どんな先生」から「どんなふうに言われたか」が重要な要素になっています。
特に、「どんな言われ方をしたか」は生徒とのコミュニケーションにとってポイントとなります。
考察4 年間指導計画重視型の先生
「子の授業時間内に…ここまで終わらせたい」という思い込みが強くなると、スムーズに進まない原因を、「生徒の反応が悪い」と感じ、授業に沿っていない生徒の言動を軽視する態度になっていることも考えられます。
指導のポイント
年間指導計画を意識していることは大変すばらしいことです。一回限りの授業ではなく年間100回を超える回数があります。是非、数回の授業展開の中で「生徒の実態」にあわせた柔軟な授業展開が求められています。
中学生のやる気を挫く教師の言動「授業中勉強する意欲を失った体験談」から原因を考察 まとめ
今回の記事は「中学生のやる気を挫く教師の言動「授業中勉強する意欲を失った体験談」から原因を考察」についてまとめました。
先生の言葉の影響力は絶大です。生徒の「やる気」を引き出し勇気づけることもできますし、意欲を挫くことにもなります。
ちょっと何気ない肯定的な言葉を紹介しますね。
大好きな先生に、タイミングよく言われたら、喜びますよね。
では、「なぜ、意欲挫く言動になってしまうのか?」
教育のプロとして、どんなに生徒指導に自信を持っていたとしても、教師が自分の言動を振り返る謙虚さを失うと大変危険です。独りよがりはいけません。
教師は、自身の言動を見直してみる「謙虚さ」は持ち合わせたいものです。ちょっと自身の言動を振り返っていただけたら幸いです。