教員採用試験の2次合格発表を終えて、晴れて来年4月より採用されることになった先生方に心よりお祝い申し上げます。
このような不安な気持ちもあるのではないでしょうか。
そこでこの記事は、来年の4月より教壇に立たれる先生方へ、不安な気持ちが軽減させるように事前に「学級担任の役割と仕事内容」「心構え」を解説しています。
教育の条件は信頼関係です。教育のプロとして恥ずかしくない基本な考え方を整えることができるように提案しています。
私は公立中学校の元校長です。先生方と子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
教師という職業は、やりがいのある素晴らしい仕事です。可能性豊かな子どもたちの一番身近にいる教師の存在、是非、「謙虚に学び続ける教師であってほしい」と願っています。この記事がお役に立てたならとても幸せです。
4月・新任教師に伝える学級担任の役割と仕事内容
自分が教師として「何を期待されているのか」その役割と仕事内容の「全体像をしっかりとおさえること」が大切です。
ここでは「新任教師役割」として以下の7つ紹介しています。一つ一つ確認して自分の責務という意識をもって準備しましょう。
- 子ども一人ひとりの正しい児童・生徒理解
- 良好な人間関係を育む:違いを「変」から「認め合い」へ
- 子どもが主役のわかる授業(学力向上)の実践
- 日々の生徒指導~教室の係活動等組織図と役割分担決め
- 一人一役・校務分掌の業務:チームの一員
- 保護者との信頼関係を築く:こまめに連絡し壁を作らない
- 生徒一人一人が落ち着く居場所づくり!安心安全な教室
では、一つひとつ解説していきます。子どもをみつめ抜くことからです。
新任教師役割1.子ども一人ひとりの正しい児童・生徒理解
教師は、児童生徒一人一人を「かけがえのない存在」として大事に関わらねばなりません。その基礎基本が「正しく、深い愛情ある“児童生徒理解”です。」
「一人ひとりの思いや願いや特性等を正しく把握して」…それぞれ個性に応じた指導、支援こそプロの仕事です。
例えば、30人の学級担任であったとしても、一人一人の児童生徒は30分の1の意識ではいけません。なぜなら、子ども側に視点を移せば、先生方は「その児童生徒にとって、たった一人の学級担任の先生」なのですから。
一人ひとりに積極的な関心をもって
十人十色の言葉があるように、子どもたちの考え方や感じ方は、一人ひとり異なることを前提に、その子に寄り添った指導や支援を行います。
教師の仕事は「児童・生徒理解」に始まるのです。
心掛けて「意識」してほしいこと
子ども一人一人の“よさ”に気づき認めて伸ばすことができる教師を目指してください。
子どもの欠点は、誰でも気づきやすいものです。
一方、子どもの良さを見つけ、認め、肯定的にることは伝えることは、教師の大事が役割と仕事です。
新任教師役割2 良好な人間関係を育む:違いを「変」から「認め合い」へ
あなたの受け持つ個性豊かな子どもたち。学級経営の基本は「学校が楽しい」居場所でなければなりません。
その基本的条件の一つが「一人一人の違いが変」と感じることなく、互いの違いを自然に理解し合い認め合える人間関係の育むことが欠かせません。
その責任が教師にはあります。
学校には「友だちがいて楽しい」そんな学級づくりが基本中の基本になります。
心掛けて「意識」してほしいこと
学級担任として、どうやってよき人間関係を整えるか。その第一に取り組んでほしいことは、言語環境を整えることです。
「ありがとう。一緒に遊ぼう。」等、温かな言葉を教室に広げる一方で、「死ね、ウザい、バカじゃないの」等々の刺々しい言葉は使わせないことです。
そんな温かな言葉を大切にする学級文化に挑戦してください。
新任教師役割3 子どもが主役のわかる授業(学力向上)の実践
子どもたちの学校生活の大半は授業です。
毎日の1時間1時間の授業が、子供たちにとって「楽しく、わかり授業」であること、しっかりと理解でき、授業中に発表等の活躍できる時間が積み重ねられることで、学校生活が楽しく充実したものになります。
授業づくりが教師の役割であり責任です。
授業の力量向上を目指し続ける姿勢が欠かせません。「授業で勝負できる教師」を目指しましょう。
心掛けて「意識」してほしいこと
自分の授業実践後には、大切な「評価・評定」があるという事実です。つまり、自分の責任で子どもの学力を「評価」する作業です。
「うちのはなんで○○な評価ですか?」この保護者・生徒の問いに納得のいく説明ができなければなりません。
二つ目は
限られた時間内で「授業力」をつけるには、先輩に助言をいただくのが一番です。
タイミングよく、礼儀正しく「質問」する力が欠かせません。そしてうまくいったら
二つ目は、ネット検索をしてみます。何事も自分で勝手に考えるのではなく、基本は先輩方の事例を参考に「いいなと感じた実践をまねてみること」です。
ネットには、各都道府県の指導主事等がまとめた実践例等がたくさん掲載されています。
新任教師役割4 日々の生徒指導~教室の係活動等組織図と役割分担決め
生徒指導のイメージは、「ダメなことはダメ!」と「厳しく叱る」イメージを抱かれることかと思います。一人ひとりがいきいきと活躍できる役割やルールづくりも大切です!一人ひとりの役割や守るべきルールが必要です。その日々の指導は大事な仕事になります。
しかし、ルールの徹底だけが仕事ではありません。それは生徒指導の一部であって、生徒指導の本当のねらいは下記に示す内容です。
一人一人の児童生徒の個性の伸長を図りながら、
同時に社会的な資質や能 力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現ができるような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、
個々の児童生徒の自己指導能力の育成を目指すものです。
具体的には、自分たちの学校・学級は自分たちが主役になってつくりあげるという「自治活動」を大切にしています。具体的には
- 生活班の編成、席決め(はじめは名簿順が多いです)日直の順番と仕事内容
- 学級の係分担、学級委員等生徒会専門委員の決定
- 清掃活動の分担とやり方、給食の分担と配膳のやり方
日常の生活の中にも活躍の機会がたくさんあります。きめ細かく、やる気を育みながら進めていくことが学級担任の役割になります。その他にも、
- 学級目標の決定
- 体育祭や合唱コンクール
- 修学旅行等の学校行事での指導があります。
心掛けて「意識」してほしいこと
生徒指導は、一人ひとりに積極的に関心を寄せて活躍のチャンスを与えようと心掛けることです。
まずは、一日の学校生活の中で全員に積極的に話しかけてみてください。なかなか大変ですよ。でもそうやって一人ひとりを平等に大切に思う気持ちが、教師には一番大切に思います。
何気ない「積極的に関心を寄せる言葉かけが、信頼関係をそだてていくこと」になります。
新任教師役割5 一人一役・校務分掌の業務:チームの一員
教職員のチームの一員として学校を支えます。大きくは「学校全体の役割」と「学年内の役割」の二つあります。
学校全体では「校務分掌」を校長より与えられます。
ベテランの先生方は、教務主任や学年主任や生徒指導主任、研修主任等の学校を支える役割もあります。新任の先生方にも様々な主任が割り振られることでしょう。
学年内では、学年主任を中心に仕事が割り振られるかもしれません。例えば、「〇〇先生には学年内で会計をお願いします」「安全指導をお願いします」「今度の球技会を中心で運営してください」こんなイメージです。
心掛けて「意識」してほしいこと
組織の一員になったという意識を持ちましょう。その基本は「報連相:ほうれんそう」です。勝手に判断しないことです!
経験不足はしかたないことです。ご指導を仰ぐ姿勢を持ち、謙虚に学び続けてください。
新任教師役割6 保護者との信頼関係を築く:こまめに連絡し壁を作らない
教師にとって保護者対応は大切な役割です。神経も使います。
保護者にとって、学級担任は一人です。たった一人の大切なわが子を受け持っていただく先生です。日頃のコミュニケーションを大切にしていきましょう。
学校で怪我をしたなら、「こんなことがありました」と、こまめに連絡を入れておくことです。勝手に教師側で、これくらいは大丈夫と判断することなく、相手の立場に立って電話一本入れてコミュニケーションをとるよう心がけましょう。
心掛けて「意識」してほしいこと
保護者対応は、なかなか難しいものです。何が難しいかそのポイントは、相手側に立って考え感じることです。
どうしても、教師側から考え行動しがちです。保護者とのそのギャップがトラブルのもとです。保護者とのトラブルは「意思の疎通の行き違い」です。
保護者は
担任が「これくらいなら大丈夫だろう…」と軽く判断してしまったら意思の疎通が正しくできていませんよね。
新任教師役割7 生徒一人一人が落ち着く居場所づくり!安心安全な教室
意図的、計画的に進める 安心、安全な教室環境の整備は学級担任の大切な役割です。
教室は、学びの場でもあり、生活の場でもあります。
すべての子供たちにとって、心が落ち着く空間であり、居場所になっていることが重要です。また、生徒一人一人の「やる気や元気」が湧いてくる空間であることが大切です。
心掛けて「意識」してほしいこと
特に「いじめ問題」については学びましょう。各学校HPには「いじめ対策の基本方針」が掲載されています。いじめを心配する保護者が読んで知っていることを
「読んでいな教師」はその時点で教師失格です。つまり、信頼を一気に失うことになります。
温かな掲示物も大切な要素の一つです。1年を通して、子供の成長につながる環境を整えていきましょ
子どもの「作品」や「行事に向けてのクラスの団結を表するスローガン」等手作りの温かな掲示物を創っていきましょう。
4月新任教師に伝える学級担任の子どもと信頼関係の築く秘訣とは
「しっかり指導しなければいけない…」と焦らないことです。子どもたちとの信頼関係を築く4つの秘訣を解説します。
秘訣1.子どもたちは「先生の話し方」に反応している
子どもとのコミュニケーションの最大の要素は「指導の言葉」そのものより、「先生が、どんな話し方で子どもたちに話しかけているか」ここに意識を集中させてください。
つまり、「先生のまなざし、表情、話しの抑揚、声の調子、態度」等の非言語的コミュニケーションの影響力が大変大きいことを理解してください。
今日は先生の機嫌がよさそうだ、今日は機嫌が悪そうだ…こんなふうに子どもたちが感じていたら考えものです。教師も人間で生身の人間ですが、子どもたちの前では優しさある表情でていねいに言葉を語りたいものです。
この姿勢が、子どもたちや保護者の信頼につながります。
秘訣2.表情豊かな笑顔が魅力的な先生が大好きです
先生の笑顔の子どもたちへの影響力は絶大です。教師は「子どもたちから、注目されている存在」です。
先生が笑顔で、楽しそうに一緒に遊んでくれたり、笑ってくれたら、子どもたちはどんなにうれしいことでしょう。
子どもたちが先生に集中している。これは影響力です。子どもたちから見られていることを自覚してください。そして、休み時間は一緒に遊んで楽しんでください。
3.ダメはダメとしっかり伝える先生…その背景は期待しているから
いけないことをした時、生徒は大抵自分でも気づいているものです。短く丁寧な言葉叱ってあげてください。
ポイントは、厳しいまなざしと温かなまなざしです。つまり、厳しく叱られても、子どもの方に「先生は、真剣に僕に叱ってくれた。(期待されているから…叱られている、気を付けて二度としないようにしよう」こんな感情を目指したいものです。
コツは、最後の「先生がなぜ叱ったか分かったかな? なぜ悪いかわかりましたか?」です。つまり、言いっぱなしはいけません。叱った後に、子どもの方に話す機会を与えましょう。叱ったらその意図が子どもに届いたかどうか、話しを聞かないとわかりませんよね。
子どもの声に耳を傾けることは、信頼関係を築くうえで最も大切なことかもしれません。
4.教師は授業で勝負!授業の腕をあげましょう
最後は、やはり授業がうまい先生が信頼を勝ち取ります。焦ることなく、研修を重ね一歩一歩向上しましょう。
コツは、多くの先生方に授業を見ていただくことと、多くの先生方の授業を見させていただくことです。
4月新任教師に伝える学級担任の役割と仕事内容(子どもと関係の築く秘訣とは)まとめ
今回の記事では「4月新任教師に伝える学級担任の役割と仕事内容(子どもと関係の築く秘訣とは)」をテーマに7つの心構えを解説してきました。
まだまだ、たくさんの仕事や役割があります。例えば、中学校なら部活動指導、大会引率、個人面談、三者面談(教育相談)、児童生徒同士のトラブル解消、各研修への校外出張等きりがありません。
しかし、なんといっても子どもの笑顔と成長を実感できる、最高の仕事でもあります。
「ワダチブログ」では、みなさんの活躍を応援しています。参考になる記事もたくさんありますので、またお立ち寄りください。