4月は、新しいともだちと学級担任との出会いの季節です。
子どもたちの楽しい学校生活を考えるうえで大きな存在が「学級担任の先生」です。中学校では「部活動の顧問の先生」の存在も大きいです。この新しい出会いと環境の変化に、緊張の日々が続く中、もしお子さんが
などと不満や悩みを口にしたら、どうなされますか?どう受け止めたらいいのでしょうか?きっとお母さんの心も乱れ、その対応にちょっと迷いますよね。
私は、公立中学校の元校長です。これまでの子どもたちや先生方への指導と保護者方々の多様な願いを受け止めてきた経験をもとに、先生方と親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
そこで今回は、新学期最初の出会いで学級担任の先生や部活動の顧問の先生等のとうまくいかなかった時の対処法をまとめました。
この記事では、
- お子さんの不満をどのように聴くか?
- 学校や先生にどのような態度で接していくか?
「正しい考え方」とともに「具体的な行動の仕方」がわかります。親御さんだからこそできる対処法があります。お子さんのピンチを救うのはお母さんとお父さんです。
「先生が怖い」中学生が学校に行きたくない時!「親の正しい対応術」
はじめに、具体的な対応術を2つ紹介します。
対応術1 お子さんの「気持ち」は否定しないで「聞く」
自分の気持ちを受け止めてくれない人は、誰でも避けたくなります。そして、自分の話すことを親身に聞いてくれる人を信頼します。大人も子どもも同じです。
お子さんの悩みを否定しないで聞く態度を心掛けてください。
ポイントがあります!それはコレです。
黙って、真剣に耳を傾けるだけで十分です。「ふぅ~ん、そうなの…」と相槌をうちながら温かく聴く。自分の中の正解を押し付けて話し始めないことです。
大人は、子どもの不満に対し、すぐに判断し答えをみつけ話しはじめませんか?親の立場からすれば、「子どもを守りたい」と「早く解決したい」という当たり前の心理ですよね。
お子さんの場合、学校生活や学級担任への不満は、時には「親に話せているだけ」で心理的に安定して、落ちつくこともあります。
不満や悩み、マイナスの感情を話せる「親の存在」がお子さんの落ちつきをとりもどせます。
ちょっとだけ愚痴を言いたかっただけかもしれません。お子さんは、お母さんに聞いてもらいたいのです。
だから、一つ目の考え方は「お子さんの話を聞くことだけでに徹する」です。
しかし、「聞くに徹する」ことは、意外と難しいことです。わが子から「先生が怖い…」という言葉を聞いたら、やっぱり一大事です。ついつい驚いて「悩み解決モード」で色々しゃってしまうものです。
- 「先生のことを、そんな言っちゃいけません」
- 「○○が、ちゃんとしていないからでしょ」
- 「あなたのために指導してくれてるいるのよ」…こんな受け止め方では、子どもが話してくれなくなってしまうかも…
- 「それはひどい先生だ…」‥‥1年間お世話になる先生をひどい先生と親が決めつけてしまったらいけません。解決をこじれせてしまうケースになってしまうかも…
このように表現で言われると、子どもとしては「自分の気持ちは、親にはわかってもらえない」(=親に話し手もムダだ。理解してもらえない)と、それ以上話さなくなります。
それではお子さんの心の問題の解決にならず「ストレスと不満をため込むこと」になりますし、孤独と絶望、親に対する不信感につながってしまいます。
お子さん自身の願いも、「親が先生に文句を言って解決してほしい」とは限りません。早計に先生が悪いと決めつけた言い方は、お子さんの前で言わないほうがいいでしょう。
あたたかく耳を傾けて、「大丈夫だよ、よく話してくれたね」と言葉をかけてあげてください。時間をかけて丁寧に話をすすめていきましょう。
対応術2 親の「解決モード」ペースで会話を進めない
親なら誰しも、「いいアドバイスをして、すぐにでも解決させてあげたい」と願うものです。
注意してほしいことは、お子さんの悩みの聞いて、その場ですぐに解決案を示すような対応に気を付けてください。何でも話せる関係性を保つことの方が、望ましい親子関係ではありませんか?そこをめざしましょう。
お子さんの言葉を丁寧に聴いて、
と受けて、お子さん側に、たくさん話させましょう。
もし、話しをお子さんのペースで広げてみたいのなら
この二つの言葉かけは、いじめられたり、友達と関係が悪くなったりといろいろな問題の解決に向けて「子ども側に寄り添った働きかけの例」です。
これまでのお子さんへの対応例のまとめです。
- お子さんの話を「否定しない」で聞く。
- 嫌なことを何でも話せる、親子関係を目指す。
- せっかく話し始めてくれたのだから、すぐに叱責したり解決モードの「正解」を提案したりしない。
- よく話してくれたねと言うスタンスで話し合う。「担任にしてほしいこと」「してほしくないこと」を訪ねてあくまで聞き上手になる。
そして、解決に向けての動きになります。
学級担任の先生が怖い!学校行きたくない!具体的な聞き方・話し方
対応術3 共感的に聴いて、不満や悩みを吐き出させる
親子の受け答えの雰囲気をつかんでいただけたらと思います。
共感的に聴きながら、情報を収集していきます。
いつ?(今日のこと?)誰が?(先生から言われたのはわたし、おとももだち?)どのような時間、何をしたら?先生はどんな感じで言ったの?何をしたの?
ただし、この問いかけは、嫌な気持ちを思い返させているので、お母さんから詰問のような感じで質問を連発されたら、余計苦しくなってしまいますよね。十分配慮してください。
お母さんの目指すGoal像はコレです!
この反対に
先程、よい例で「しっかり」聞いてくれると、抽象的な「しっかり」という言葉を使いました。しっかりとは、ちゃんとおかあさんは聴いていますよ!がお子さんに伝わる聴き方です。
「なにがあったの?大丈夫よ?話してごらん。お母さんも一緒に考えるから、安心して話していいんだよ」こんなメッセージを温かな表情で声の調子で受け止めるのです。
心配し過ぎて、驚いて、お母さん自身にゆとりを失ってしまうようでは「お母さん自身の不安が伝わってしまいます。
話の終盤では・・・継続的な繋ぐ働きかけをしてください。
このような言葉かけがイイのではないかと思います。
対応術4 たっぷりと共感した後、アドバイスや励ましを
たっぷり話せたら、アドバイスを聞く構えも出てきます。
こうした励ましやアドバイスは、子どもの話をたっぷり共感的に聞いた後で言うことが非常に大事です。
対応術5 先生を悪者にした同調はしない
親の情報源は「わが子」から始まります。子どもから見た「先生が怖い」です。すべての子どもが学級担任の先生を怖がっていることとは限りません。
- Aさんは「先生は注意する時は凄く怖いけど…休み時間はよく話してくれて楽しい」
- Bさんは「先生は怖い時もあるけど、よいことはよいと、褒めてくれるからうれしい」
- Cさんは「先生は怖いけど、悪いことした時だけ怒っているので、おこる理由はわかる」
- Dさんは「先生は大きな声で怖い、私は叱られたことはないけど怖くてたまらない」
- Eさんは「“先生が怖い”って言う人もいるけど、僕は全然平気だけど…」
この例では8割のお子さんにとって「先生が怖い」ですが、怖いの内容は随分と違います。
- AさんとBさんは「先生は怖い」けど先生の中に楽しい先生もよく褒めてくれる一面もちゃんと理解しています。
- Cさんもわけなく怖いのではなくて、ちゃんと納得している一面もあります。
- 一番問題なのはDさんです。Dさんの場合は、しっかりとした対応が特に求められるところです。
このように、子どもからの情報を親が勝手に「先生は怖い=不適切な教員」というレッテルで勘違いしないことです。まだ、真実はわかりません。
お子さんの声に共感してもいいのですが、わが子の声だけで親の勝手なイメージで先生を判断してはいけません。例えば
先生の存在を親が全否定してしまっては、わが子の成長も限定的になってしまいます。是非慎むべきです。
しかし
時にはわが子を守るために、学校や担任の先生と徹底的に意見交換して問題点を解決しなければならない時もあります。対決しなければならない時もあるかもしれません。
ポイントは、その前にやるべきことがありますので、ぜひお子さんの声だけが真実ではないこともあることを、頭の片隅に入れておいてください。
共感的に話を聞く、しかし、安易な同調は慎むことです。
「担任の先生が怖い」等の対応の仕方、学級担任や学校側への働きかけ方
対応術6 子どもの話を鵜呑みにしないで情報を集める
子どもの話を、すべて鵜呑みにしないことです。ちょっとした行き違いによって、子どもが勘違いをしていることも十分あり得ます。そこで、わが子以外からも情報を集めることが必要になってきます。
例えば、まず初めは「子どもの友達やその親」からのクラスの雰囲気の情報です。
その他にも
- 以前その先生に教わった子やその親
- 以前の担任の先生
- 養護の先生
- 相談員の先生
から、たくさんの情報を得ることです。その情報もまた、その方の主観です。保護者自身が、正確に起こっていることを探ってみてください。
このように情報数が増えてくると、お子さんの話している内容を「客観的」に聴けるようになると思います。
情報が増えたら、次は直接話し合いの場面に入っていくこともあります。
対応術7 学級担任の先生と話す時間を設定していただく
担任の先生の立場からすると「保護者との話し合い」にはそれなりのストレスがかかります。「あれ、何だろう?苦情かな?」
連絡帳や電話等を活用して「悩んでいることがあるのでご相談したい」と「クレームという感じではなく、一緒に相談に乗ってほしい」という話し方がよろしいかと思います。
もう少し深刻な場合は、学校側の話し合いのメンバーも変わってきます。
既に状況は深刻の場合は
学年主任の先生にも同席していただき学級担任の先生の「お二方」に話しを聞いていただきます。
対応術8 クレームではなく先生に解決策をゆだねてみる
苦情を伝えることが目的ではありません。お子さんの問題を解決したいわけですから、一方的に先生に「態度を改めてください」ということも角が立ちます。
まだ、問題の本質がはっきりしないわけですから、一緒に理解し合って解決策を考えるスタンスがイイです。お互いに感情があるわけですから、話し合いがスムーズになるためには手順があります。
①最初に「日ごろの感謝を伝えること」が大切です。
②次に「〇〇がとても楽しいと言っています」等、授業中や休み時間等の具体的な事実(情報)を語ります。先生にとってうれしい話題を持ち出すと効果的です。
③よい雰囲気ができたところで、話を切り出すようにします。
「何々してほしいを切り出す前」に、「どんなふうに進めていくのか、その方法等について先生から意見を求める」ところから始めてみてください。
対応術9 校長先生・教頭先生に聞いてもらう
誠意もって話し合いの機会を重ねたにも関わらず、先生の反応の仕方に誠意がなくすれ違うこともあるかもしれません。
そのような場合は、ためらわず管理職の先生にご相談を申し込んでみましょう。この場合も、高まった感情を押さえて、誠実に落ち着いて話し合いを進めてみてください。
学校側の考え方をしっかり受け止めて判断してください。学校側の対応が話にならないと判断すれば市町村教育委員会に話しを聞いていただくこともできます。
しかし、誰かに分かっていただきたい心情はよく理解できますが、「親の感情の高ぶりでなんととか解決しなければ」と焦らないようにしてください。市教育委員会に相談したから即解決できるとも限りません。
「先生が怖い」中学生が学校に行きたくない時の対処法!親子でどう乗り越えるか まとめ
今回は「先生が怖い」中学生が学校に行きたくない時の対処法!親子でどう乗り越えるか」をテーマにまとめてみました。
お子さんも、親御さんも、先生方にもお互いに感情がありますので、丁寧に話は聞き、話し方にも気を配りたいものです。
身近な親御さんが、お子さんのピンチに話が丁寧に聴ける構えがあるなら、お子さんは心強いはずです。ピンチな時、「お母さんどうしよう」と、悩みを打ち明けられ、話し合える親子関係が理想です。
お子さんが話し始めたら、慌てずゆとりをもって耳を傾けてください。
「ワダチブログ」では子育てのヒントになる記事がたくさんありますので、参考にしていただけたらありがたいです。