あなたの身のまわりのお子さんに
と眉をひそめられてしまうお子さんはいませんか?その一方で躾がきちんとできていて褒められるお子さんもいます。
そして、ご自身はというと
つい「あれダメ」「これダメ」と、否定形や怒り口調で注意してしまったり、イライラが募れば「●●しなで!!」「なんでそんなことしてるの!!」と強く言ってしまうこと…誰にでも経験ありますよね。
この記事は
このようなご自身のしつけ方に悩むお母さんに向けて書いた記事です。
この記事では、
- 躾ができない親の特徴がわかります。
- 上手な躾方について具体的に提案しています。
- 具体的な話し言葉で実例をご紹介しています。
- 躾についての大学の先生による「多様な考え方」
は大変参考になって、気分が軽くなると思います。
私は公立学校の元校長です。子育て中の親御さんや先生方を応援する「ワダチブログ」を運営中です。
幼児期や学童期等どの年代にも通じるおおもとの手法と考え方です。みなさんの参考にしていただけたら幸せです。
はじめは、躾ができない親の特徴からです。
「躾されていない子どもの特徴」と「躾のできない親の特徴」とは
1.躾されていない子どもの特徴
躾されていない子ども特徴は大きく3点でまとめてみました。
- 礼儀面の欠如:人の家でも好き勝手するなど。言葉遣いがわるく、最低限のあいさつができない。
- 我慢強さの欠如:自分勝手。思い通りにならないと手が出やすい、自分が悪くても謝ることができない。
- 規範意識の欠如:順番を守れない、公共の場面でのマナー違反、交通ルールを守らない、危険な遊びをする。
2.躾のできない親の特徴
大きく4つの視点で親の特徴をまとめてみました。
- 最大の間違いは、躾は「厳しくすることと」勘違いしています。恐怖や力づくで支配するイメージで躾を行っています。
- 躾ける基準がないので親の躾けたいことがバラバラで焦点があわないです。特に両親で躾ける視点が両親でバラバラなこともうまくいかない一例です。
- 子どもにはダメだと言いつつ、親が平気でやってしまう。親の言動不一致で、親の生き方が手本になっていない。
- そもそも、子どもへの無関心、放任(ネグレクト)
ポイントさえつかんで実践すれば、意外と要点をつかめるはずです。次は「上手な躾方」について、その手法をいくつか挙げてみます。
躾ができない親の大変身!上手な躾方!ベテランお母さん3つの子育て術
先ず初めに3つ提案します。ちょっと躾方のイメージが変わるかもしれません。
子どもの躾提案1 「●●しなさい」の命令口調から…語尾は「〇〇しようね!」に
心がけたい口調は「●●しなさい!」という強い調子ではなく「〇〇しようね!」に変えてみることを提案します。
ダメなことはダメ!という親の毅然ある態度は、別の価値観にとっておきましょう。
「しつけ」の内容にもよりますが、いきなり頭ごなしに「●●しなさい!」と言われると嫌な感じですよね。お子さんの感情に意識を向けられるといいですね。
躾のツボは、その理由をきちんとお子さんに納得できるように説明してあげてください。
絶対守ることは、できていて当たり前です。つまり、できていない時だけ「だめでしょう!」と叱責されるわけです。
この自主性の感覚をお子さんに感じさせたくないですか?
そのような理由で「~しようね!」をおススメします。
子どもの躾提案2 否定形「~しないでね」から…やってほしいことを伝える「~してね」に
「●●しないでね」は、先程の提案のように言葉を丁寧に話されています。これはイイのですが、どうせなら「否定形」の話し方より
「やってほしいこと」を伝えること。
さらに「具体的」に「やってほしい内容」を伝えられたら最高です。
躾の大切なコツは、「否定しない」ということです。
お子さまがしていることに対して、「やってはいけないこと」を言うのではなく、「やってほしいこと」を具体的に伝えた方が、絶対に親の言葉はお子さんに届きやすくなると思いませんか?
発達段階にもよりますが、仮にお子さまが「友達に借りたおもちゃを返す場面」なら
このように、「なぜ」そうすることが良いことなのか、躾はダメを教えるわけではないので何が良いのかを伝えれば、お子さまも納得して行動に移しやすくなります。
具体的なイメージをお子さんの発達段階に応じてもたせてあげましょう。
次の褒め方の手法は、小学校・中学校の生徒指導の「できる先生」の王道です。
子どもの躾提案3 いつも「できないことを叱る」のではなく「できたことを認める(褒める)」に
この手法、この意識を身につけたら、現状が180度変化します!
躾を頑張れば頑張るほど、しつけをする際にやりがち落とし穴があるのです。アリ地獄のようです。
それは「できなかったこと」「やらなかったことを叱る」に注目して叱る躾をするお母さん(先生)です。このような親と先生の意識は「このくらい、できて当たり前でしょ」です。
だからお子さんや生徒が「がんばって、できていること」には無関心なのです。何も反応がない…
これに対し、「できたことを認め(褒める)」親や先生は
こんな表現になります。自分の言動の方向性を「きちんと、できているね!それでいいよ。続けてくださいね」と認めてくれるわけですので、気分もいいし、自分を肯定する感情も育まれることでしょう。
一方、行動そのものだけを判定しているかの躾方は、自分の行動の意味が理解できないので「やってればいいんでしょ」「バレなければ別に構わないや」という気持ちになりやすくなります。この差は限りなく大きいです。
ここまでの上手な躾方のまとめ
これまで、三つ提案しました。
- 子どもの躾提案1では、「●●しなさい」の命令口調から…語尾は丁寧に「〇〇しようね!」に変えてみましょう。
- 子どもの躾提案2では、否定形「~しないでね」を言うよりは、やってほしいことを具体的に「~してね」に変えて伝えてみましょう。
- 子どもの躾提案3では、いつも「できないことを叱る」のではなく、「できたことを絶妙の対民毛で認めること(褒めること)」に変えてみよう
まだまだお子さまは未熟でも、お母さんをよく観察しています。お母さん自身が良きモデルになって立ち振る舞いを心がけることが、上手な躾方のツボです。
躾ができない親の変身ポイントは「ダメはダメ!」は叱ること
大きく2つのケースでは、しっかりと「叱る」ことが大事です。
- 感情的に「怒る」こと
- 親の一歩的な「言いっぱなし」
ではありません。「叱る」イメージをつかんでください。
ケース1 命に危険が及ぶ時
躾の徹底は、躾る側の一貫性が鍵を握ります。言い換えれば、ダメなことはダメですから。
自分の怪我、相手の怪我につながるような「危険な行動」「命の危険な行動」の場合は毅然と叱って躾てください!
大きな声がいけないわけではないのですが…肝心なことはもうおわかりでしょう。
なぜダメなのか、
何が危険なのか、
何が許されないのか しっかりと伝えること。
理解させること。真剣に伝えること。
これが大切です。
こうしたケースは、「後で」はいけません。その場でしっかりと叱ることです。その瞬間がベストタイミングです。
ケース2 これまで積み上げてきた「大事なルール」を破ったとき
児童生徒が「そのルールや約束事」の重要性が分かってなく、甘い考え方をしていた場合
わかっていても、ごまかそうとしたり、何かのせいにしたりしている場合
学校なら日常茶飯事におこっています。その判断があいまいだと指導力は未熟と言わざるを得ないでしょう。
学級づくりのうまい先生は、その甘えを許しません。そのうえで、ちゃんと叱る理由を理解させることを省略せず、きちんと対応しています。
是非、お母さんも「お子さんの納得」をキーワードにチャレンジしてみてください。
これまでの3つの提案でポイントはつかめたはずです。
「躾だから、約束は絶対守りなさい!」と、どんなことでも「約束をして守れないから」と叱ってばかりいる状態にはならないよう気を付けてください。
バランス感覚で軽く、重くをさばいてください。
躾ができない親の変身術!「目から鱗の躾方」とは?
「躾」という漢字を分解してみると「身」と「美」から成り立っていることがわかります。「身だしなみを美しくする」とも理解できます。聞いたこともあるでしょう。今日はちょっと違う躾のお話です。
ここでは、岡本夏木先生と森信三先生の教えをご紹介します。はじめに、岡本夏木先生のお考えを引用させていただき、ご紹介します。
岡本夏木先生の「躾は 仕付け」
「仕付け」とは、着物の形が整うよう、仮に縫いつけておくことを言います。
興味深い点は、着物がやがて縫いあがると仕付けの糸がはずされるということです。
着物の完成するとは、人間として一人前に成長したときとも読み取れます。縫い上げるにはなくてはならない仕付けの糸。しかし、その大人になった時点で、もはやそこに糸があっては素敵な着物も台無しです。
仕付けの糸は、成長した一人前には必要がない、そこにあってはいけないものになるのです。
岡本夏木先生は、ここに子どもを躾ける過程の本質があるのではないかと考えました。
しつけ糸をはずすことは、いうまでもなく、子どもを本人の自律にゆだねることです。しつけとは、もともと自律に向けてのしつけなのです。
ふつうには、「しっかりと」とか「きちっと」「きびしく」することこそがしつけの第一の目的におかれるのではないでしょうか。それに対して、私のここでいっている「しつけ」は、そういう外からの規制をとりはずして、不要なものにしてゆくことこそ、しつけのねらいなのだと言っているのですから。とまどいを与えるようで申しわけないのですが、しつけの中で、そのねらいが見落とされていたら、それはけっきょく外見だけのしつけ、子ども不在のしつけに終わってしまうと思うのです。
岡本夏木先生からの引用
子育てにおいて、「しつけとは、やがてそれがはずされるものであるという前提に立って行われるべきものだ」岡本夏生先生は、この前提に立ってしつけにあたっているかどうかが、子どもにとって大切な自律と深く関わっているのだという指摘されています。
岡本夏木先生の主張を私なりに理解すると、
躾は、単なる行動目標ではなく、一つ一つの望まれる躾の行動内容にはちゃんと意味があって、その意味を語り伝えながら提案をして「親子で一緒に考えながら消化していく過程」で身につけることが大切なのではないでしょうか。
- 「しっかりと」躾けるとか
- 「きちっと」躾ける
- 「きびしく」躾ける
の呪縛に親自身がとらわれないこと、そんなゆとりが大事なのかもしれません。仕付け糸は「細い」糸ですよね。きちんと仕立てるにはなくてはならない仕付け糸…しかし、着物に跡が残るような太く強い糸ではありません。
仕付け糸が残ったまま来ていては、恥ずかしいですね。
次は、森信三さんの「しつけ3原則」をご紹介します。
教育学者・森信三の「しつけ3原則」
森信三さんは、学校教育では特に有名な先生です。日本全国多くの学校で「時を守り、場を清め、礼を正す」を掲げている取り組んでいます。
その森信三先生が躾の大原則のポイントとしてあげているのが、次n3つです。
- 朝、必ず親に挨拶をする子にすること。
- 親に呼ばれたら必ず、 「ハイ」とハッキリ返事のできる子にすること。
- ハキモノを脱いだら、必ずそろえ、席を立ったら必ずイスを入れる子にすること。
躾の3原則は「家訓3か条」とも言われています。
みなさんは、どのような返事をされていますか?森先生の主張はこうです。
「ハイ」という一語によって、その人は「我」を捨てるわけです。つまりそれまでの意地や張りの一切を投げ捨てるわけです。
同時に、それによって当の本人はもとより、 一家の人びとの雰囲気までが変わりだす。
私自身、この言葉にふれ一理ある腑に落ち、それ以来「ハイ」という短い言葉を意識して使いました。「自分は、親だけでなく人からの意見に対し、本当に素直に学び続けているか…」を、自問しつつこの教えを長年実践しています。
③も学校教育では、重視されている学校が多いと思います。「ハキモノを脱いだら、必ずそろえ、席を立ったら必ずイスを入れる子にすること」この視点は実に的を得ています。
なぜなら、
逆に「ハキモノが、自分のイスが入れられない」そこに意識が向かない生徒は、やはり中途半端な実態と結びついてしまいます。この凡事徹底が人を創っているのです。
森信三先生は、家庭の中にこそ「一生わが子を支える教え」があり、そのよき習慣が人を創るおおもとになる事を示していると私は考えています。

子どもの上手なしつけ方!ベテランお母さんは「力まない躾で細く長く」
最後に4つのポイントを付け足します。
1.躾に完璧を求め過ぎないことです!
完璧な躾を求め過ぎると、失敗を責め過ぎたりすることに繋がります。子ども側に立てば、親の前では失敗できないことを強く意識するお子さんになってしまいます。親はいつもゆとりがほしいところです。
何事もバランス感覚です。必死な躾は無用です。
2.関わりすぎない、与えすぎない、先回りしすぎない
行きつくところは、「してもらって当たり前」のお子さんが誕生します。これって結構多い子育てのパターンです。知らず知らずのうちに…こわいです。
3.命令口調から色々提案していく、自分で決めさせる
共感的な聞き方と「自己決定」は子育てのキーワードです。自分で決めさせることは自立への道筋です。もちろん、すべても任せて決めさせていくわけではありません。何事もバランス感覚です。
4.躾の大前提が親子関係!一緒に遊んでコミュニケーションを
子育てのGoalは、我が子が自分らしく自立していくことではないでしょうか。躾けは欠かせない親の義務です。しかし、せねばならぬと力むことなく「今の可愛らしい」この時期を楽しみたいですよね。ちょっと肩の力を抜いてください。


躾のできない親の特徴とは?ベテランお母さんの3つの子育て術 まとめ
今回の記事は「躾のできない親の特徴とは?ベテランお母さんの大切にしている3つの子育て術」についてまとめてみました。
躾方には、大前提があります。
「自分はお母さんに愛されている」感覚です。
「何がができたから…」ではなく、自分の存在そのものを認めてくれる…そのような全体的な安心・信頼できる関係性が親子には不可欠に考えています。
その基盤のうえにお子さんが「自分の存在を大切に感じている」ことができるのです。
親子の信頼関係が育まれてこそ、躾が成り立つことをしっかり理解しておきましょう。
頭ごなしに一方的に「叱る」のではなく、「子どもの心情に理解をしつつ共感したうえで」よくよく何を大切にしてほしいのかを「言い聞かせる」ことがツボです。
その他にも「保護者がお手本を見せる」「どうすればよかったかな?」と質問することで、発達段階なりに子どもは他人の立場に立って考えたり、正しい行動を考えたりできるようになります。
ここまで躾方についてまとめてきました。
そこしでもヒントになれば幸いです。子どもを育てるとは親にとって大変です。しかし、考え方一つで「子育ての大変さもまた、楽し」になればいいなと願っています。