子育て相談

起立性調節障害の治し方とは?中学生の原因と親ができること

急に朝起きられなくなって、本当に辛そう…学校をしばしば休むようになって、これって不登校?

学校の欠席が続けば、親も不安で居ても立っても居られません。「起きなさい!」の声が次第に大きくなってお子さんを追いつめていませんか?

その症状の原因は「起立性調節障害」かもしれません。自立神経機能がうまく働きにくい身体に症状が現れる「病気」です。

中学生は、進学など大きな環境の変化にストレスも高まっている時期と心身が急激に発達する成長期と重なり合う時代です。肉体の成長にくらべて自律神経の発達がついていけないため、起立性調節障害を発症しやすくなります。

そこで今回の記事では、
起立性調節障害とはどんな病気か(原因や症状を解説)
診断と治し方(親御さんの対応)についてまとめました。

私は、公立中学校の元校長です。これまでの経験を活かして先生方や親御さんを応援する教育関連ブログ「ワダチブログ」を運営しています。

お子さんのピンチを救うのは、親御さんです。親自身が冷静になって我が子と向き合いつつ、正しい知識と対応が理解できます。

起立性調節障害の治し方1 主な原因と症状は?

起立性調節障害について正しい知識を得ることが、治し方の第一歩です。まずは、発症の「原因」と「症状」について解説します。

1:起立性調節障害の原因は?

自律神経のバランスが崩れやすい思春期に発症しやすい病気です。自律神経の不調により血管がうまく収縮しないことで、「脳への血流が低下する」ことでさまざまな不調がおこります。

もう少し詳しく解説してみます。

自律神経には、主に活動時に働く「交感神経」と休息時に働く「副交感神経」です。通常はこの二つの自律神経は互いにバランスを取り合います。例えば起立直後は、下半身の血管を収縮させて脳への血流を一定に保つ「自動調節機能」があります。

この切り替えがうまく働かないと、急に立ち上がったりしたときに“めまいやふらつき”等症状が現れます。これが起立性調節障害の原因の概略です。

2:起立性調節障害の症状は?

一般的に多い症状は次のようなものです。

朝起きられない(午前中が調子が悪い) 頭痛 腹痛 めまい・立ちくらみ等」その他にも、寝つきが悪い、疲れやすく無気力だったり、顔色がさえない

朝、寝起きなどに布団から起き上がったときに症状が現れます。文字通りの「起立性」の「調節障害」なのです。

お子さんへの正しい接し方と治し方を理解するには、中学生時代の特徴をまず理解してください。なぜ、中学生の年代が起立性調節障害に陥りやすいかがわかります。

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起立性調節障害がなぜ中学生(小学校高学年)に多く発症するのか

起立性調節障害の発症例はどれくらい?
起立性調節障害の発症例は、小学生で約5%、中学生で約10%です。決して珍しいケースではありません。

それでは、「なぜ中学生(小学校高学年)に多く発症するのか」その解説を大きく3つの視点からします。

起立性調節障害発症要因1 第二次成長期の急激な成長

一つ目は、中学生の急激な身体の成長があげられます。

急激な身体的成長によって、心臓と脳の距離が遠くなるため脳への血流が減ることが考えられます。また、女性の場合は月経の始まりによるホルモンバランスの変化が自律神経にも影響をあたえています。

起立性調節障害発症要因2 思春期や反抗期による不安定な自己

二つ目は、思春期や反抗期と呼ばれる精神的な葛藤がおこる時期と関係しています。

思春期の中学生は、一般的には「もう子供ではない」という意識と「まだ…大人になりきれていない自分」の両面に葛藤しています。

また、大きな生活環境の変化も発症の原因に考えられます。

起立性調節障害発症要因3 生活環境の変化とストレス増

中学生は、様々な自分自身の変化と精神的なストレスの影響をうけやすいものです。

進学、進級で新しいクラスに慣れるまでの緊張、新しい人間関係の構築
部活動の期待と不安、先輩との関係、難しくなる授業、定期試験、高校受験
あげたらきりのないストレスの火種がたくさん存在するのです。

この環境の変化が、起立性調節障害の発症を誘発するのです。

中学生が起立性調節障害の治し方!親の向き合い方と治療法

病気である以上、医師の指導のもとに「薬」を服用することもあります。

その他にも、血流をコントロールして、血圧の改善を目指す「腹部のバンド」や「弾性のストッキング」等の「予防器具」もあります。ここでは、改善が期待される「よき生活習慣」の獲得について親御さんの関わり方について解説します。

1:生活習慣の見直し・良質な睡眠時間の確保

生活リズムを整え良質な睡眠の時間を確保することを心がけてみましょう。最近、夜ふかしや朝寝坊で、生活リズムは乱れていませんか?

就寝前に長時間のゲームやSNSが習慣になっているお子さんは、脳が興奮してなかなか寝付けなかったり、睡眠の質を下げたりすることになります。

しっかりとした生活リズムの中で、しっかりと良質の睡眠時間が確保できることが心身の健康の土台となります。

夜ふかしせず規則正しく起床し、一定のリズムある生活を目指してみてください。

特におすすめが、朝の太陽の自然光を浴びられたら最高ですね。遮断カーテンではなく朝日とともに光を感じられるものいいです。

不規則な生活を送ることで体内時計は簡単に乱れてしまいます。体内時計の乱れに最も影響を与えているのが睡眠です。

光で体内時計をリセットしてみましょう。

朝の強い太陽光の情報によって体内時計がリセットされます。

その信号により「眠りを促す睡眠ホルモン:メラトニンの分泌が抑制」されます。さらに、メラトニンは、抑制されてから14~16時間後に再び分泌され始めます。メラトニンの分泌量が増えると自然と眠くなるのです。

これが「朝の強い光」と「体内時計」と「睡眠」の正しい相互関係です。

2:運動を生活の中に取り入れよう

運動をすることで心肺機能が向上し活性化することで、血圧が安定することが期待できます。ここでいう「運動」とは、毎日無理のない程度で体を動かすイメージです。

15分でも軽いウォーキングはどうでしょう。YouTubeにはヨガや体操などいろいろな番組があります。生活の中によき習慣をプラスワンできるといいのですね。

3:水分をこまめにとって血圧を安定させよう

規則正しい生活習慣です。体の中の水分量がしっかりと保たれれば血圧にもいい影響が出ることでしょう。

塩分も多めに摂ることもすすめられています。

運動も睡眠も水分もバランスよく生活にメリハリがあれば、きっと改善に向かいます。無理なく続く範囲内で生活習慣を見直してみましょう。

起立性調節障害から不登校になるのか?

起立性調節障害のお子さんは、朝になると起きられないほど体調が悪くなり、時間の経過とともに体調も回復し午後は比較的に元気になったりするものですから…

「怠けやサボり(本人の努力不足)」と誤解されやすい一面があります。

お子さんを支える家族や学級担任等の支援する側の一般的な課題として、この誤解や偏見、誤った理解が挙げられます。

お子さんの支援には、起立性調節障害という病気と不登校への正しい理解が欠かせません。

親御さんにとって学校は「子どもが毎日行くべき場所」なのです。その当たり前の感覚を抱く親にとっては、「朝起きられないわが子を無理やり起こして登校させよう」と働きかけます。当事者なら誰だってそうします。

あるいは、心配のあまりお子さんを激しく叱ったりすることもあるかもしれません。しかし、

もしお子さんが起立性調節障害という病気であったら、

ここまでの解説でご理解いただけたと思います。つまり、気持ちの持ち方で治るものでもありません。根性や気合の問題ではないですよね。

実際に登校時に足下が「ふらつく」症状が出ることもあります。登校したくても「登校できない」身体の状況である可能性もあります。有効な支援には、お子さんの正しい理解が欠かせないのです。

もしお子さんが「いじめ」られていたら

「学校に行きたくない」理由をしっかりと見届けなければなりません。または、「学校に行きたいけどいけない理由」があるのかもしれません。

そう考えると親御さんにとって「学校に登校していれば問題なし」と考えることは、お子さんの心身の健全な発達に危険が高まります。

登校できないお子さんの現状をまず受け入れながら、その真の原因を探るようにしてみましょう。仮に、学校内の人間関係やいじめ問題が潜んでいそうなら、学校との対話で共通理解が必要になります。お子さんを守るのは親御さんです。

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起立性調節障害の治し方とは?中学生の原因と親ができること まとめ

今回の記事では「起立性調節障害の治し方とは?中学生の原因と親ができること」をテーマにまとめてみました。

起立性調節障害とはどんな病気か、その原因や症状
正しい理解と親御さんの正しい関わり方(生活習慣の見直し等)についてまとめました。

子どもは、朝起きられないことを非常に辛く思っていることもあります。

親側からの理解ではなくお子さん側からの理解を深めていけば、お子さんのストレスの要因を見極めることがきっとできます。親だからこそできる寄り添い方があるはずです。

「ワダチブログ」では、数々の教育関連記事、子育て応援記事がありますので参考にしていただけたら有難いです。