中学生の子どもが不登校になると
中学校3年生になると、ますます高校進学に不安を感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「不登校のお子さんへの親の対応の仕方」として「親にできること」「親がしていけないこと」について解説していきます。
不登校のお子さんでも安心して学べる進学先の考え方や決め方、さらに心得ておくべき注意点について解説しています。
私は、公立中学校の元校長です。毎年中学3年生と入試対策の面接指導や保護者への助言をしてきました。現在、先生方や子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を開設しています。
この記事で、正しい知識と考え方を身につけて、自信をもってお子さんに助言ができるようになれます。是非、お子さんを適切に支えてください。
不登校からの高校進学!志望校決定までに親に「できること」~進学できる高校はあるか
このような不安に打ち勝つには、「正しい知識と正しい行動」が欠かせません。
まずは結論から「不登校のお子さんでも、高校等へ進学はできます」
…しかし、高校へ進学することがGoalではなく
- 「お子さんが安心して登校できる学校」
- 「お子さんの今の状況に適した学校」
- 「お子さんが楽しく元気に学び続けられる学校」
に進学できるかどうかがGoalなのです。そこを目指して、志望校決定までに「親にできること」「親にしてほしいこと」から解説していきます。
どのような進学先があるのか、情報収集をしましょう。正しい知識は必要です。
学校の先生に早めにご相談して情報取集を始めてください。
大切なことは、どんな進学先が「わが子の性格や現在の状況」に合っているか、子ども側からみたの判断です。
親がしてはいけないこと
親の希望する進路先ではない!親が自分の考える高校をお子さんにすすめてはいけません。あくまで、「お子さんが行く学校です。最終決定はお子さん自身がする」当たり前のことです。
親は、我が子の自己決定を支えてください。
親が進学先についての「考えを伝えることはイイ」のですが。言い過ぎは気をつけましょう。「お母さんの考えはこうなんだけど、○○はどう思うの?」と、お子さんの考えを引き出してあげてください。
志望校の決定までは、親子の会話量が欠かせません。
ここで、「高校等へ進学」への三つのケースを紹介します。
一般的に高校入試とは
- 「中学校3年間の学業の成績(調査書とか内申書とよばれている)」
- 「入学試験当日のテスト(いわゆる入学試験の点数)」
この二つの合計で判定されます。面接試験がプラスされることもあります。
不登校の場合、欠席が多いため、調査書の内申点や成績が極点に低くなってしまうことがあります。つまり同じ条件では、不利になってしまいます。そこで、今現在の内申点が低いことへの配慮をしていただき、「現在の学力」を重視して選考するしくみもあります。
次に進学先の「公立高校、私立高校、私立通信制等の学校を紹介していきます。
不登校といっても状況は人それぞれです。
勉強にも手が付けられずふさぎ込んでいたり、対人関係に不安があったり、こだわりが強かったりとお子さんの状況は異なります、我が子の望む視点から探していきましょう。
1.身につけた「学力」で公立高校進学を目指す
例えば、これまでの状況や希望を伝える「自己申告書」等を提出することで、欠席の問題を少々考慮してもらうしくみです。例えば、県によっては「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」という仕組みがあります。
この場合、入試当日の「学科試験」の得点に重きをおいて判定されるわけです。つまり学校では授業を受けてはいなくても、独学や学習塾でしっかりと身につけた「学力」で勝負できる可能性があります。
こうした制度が自分の受験する都道府県にあるかどうか、学校の先生に正確な情報を得ることをおすすめします。
2.身につけた「学力」で私立高校を目指す
独学や学習塾でしっかり勉強を続けて「私立高校の水準を満たす学力」に「充分にある」と認められるなら、進学への道も開けます。
しかし、特定の私立高校の場合は、欠席日数がネックになる場合もあります。こちらも、早めの受験可能な私立はどこか情報収集が第一歩です。
候補が見つかった場合は、実際にお子さんと一緒に何度も志望先の学校に向かい、担当者と直接お話をするなどして判断してください。
不登校生徒に理解ある学校は、受験前に高校担当者との相談する機会をもってくれます。その配慮の程度には学校ごとの違いがありますので、わが子との相性を感じ取ってください。
公立高校や私立高校の場合、「不登校になっていても勉強は続けており」「進学する学校の学力に見合っている実力が備わっているか」がカギとなります。
さらに、次に紹介する「通信制等」の学校に比較すると、実際の学校生活での配慮面では低いです。
つまり、4月からの環境の変化にも、集団生活にも自力でついていけそうなお子さんならいいのですが、不安がある場合は、次に紹介する「通信制」等の進学も進学先候補として検討することをおすすめします。
3.通信制などの進学先を目指す
学科試験を設けず、出願書類と個別面接で入学の選考をおこなう通信制の学校もあります。「面接を重視(現在の希望や意欲)」します。中学生時代のことよりも、これから先の考え方ややる気を肯定的に評価し、入学を認めてくれるわけです。
それぞれのお子さんの状況に応じて、4月の環境変化に柔軟に対応していただける期待が高いです。このように、各学校の対応の様子も異なりますので、進学先の情報収集が大切になります。
幸い進学できても「なじめず」結局「通学できなくなる学校」にならないためにも、お子さんを主役に少しずつ「親子のすり合わせ」を進めていきましょう。
あせらない。あせらない。
不登校経験のあるお子さんが入りやすい高校はあります。不登校のお子さんに対して理解のある進学先を選べばいいのです。4月からの新しい出発に期待しながら支えてください。
わが子の不登校の原因は?タイプは?親だから見極めて学校選び
不登校になった原因やきっかけは人様々です。最初のきっかけは「A」であっても、長く欠席しているうちに昼夜が逆転して、現在は別の「BやC」の課題が障害になっていることもあります。
そのため、高校進学という環境が変わることで「不登校が解消する」とは限りません。
どういった高校へ進学するのが、不登校の子供にとって適しているのかを、よく話し合って見極めることが何より大切な親の役目です。
いじめや人間関係のトラブルがきっかけのケース
不登校の原因が「特定に人間関係」の場合、家庭生活も落ち着いた環境で生活ができていた場合
人間関係を高校進学のタイミングですべて「リセット」でき一気に好転することもあります。この場合、中学時代がうそのように元気に通学します。
学校に行きたくても、通学できないケース
徐々に高校生活に慣れるように、一人一人にきめ細かなサポートが受けられる通信制高校やサポート校もいいのではないでしょうか。
生徒の話をよく聞いてくれる学校はたくさんあります。無理に通学しようとせずに、少しずつ不登校を解消していける高校が適しているケースです。
「起立性調節障害」等の朝起きられない症状や病気がちで欠席が多いケース
進学しても時折欠席もしつつ「治療をしながらの通学」になるかもしれません。できるだけ余裕ある対応をしていただける通信制等の高校が向いています。
普通全日制の高校では、長期間の欠席が留年の原因になります。留年は、退学するきっかけにもなります。定時制や通信制の学校は「単位制」が多く、欠席にも丁寧に対応してくれる学校はあります。
授業についていけないケース
通信制の高校の中には、個人の状況に合わせて教えてくれる学校があります。基礎からやり直して行ける学校で苦手を克服していくことを目指すといいと思います。
全日制の普通高校でわからない授業を受け続けることは辛いものです。
定時制や通信制の高校は、学習内容が比較的やさしいので、丁寧に一人一人に寄りそってくれる学校も必ずあります。
親の願いは、わが子や生き生きと楽しそうに学び続けることです。高校に合格することではありませんし、入学できればいいわけでもありません。
勉強についていけないまま、劣等感を抱いてしまうような高校では、長続きしません。わが子に合っているか、我が子とその学校の「相性」がポイントです。
だからこそ、何度も学校と話したり、お子さんとの話し合いが欠かせないのです。
どの学校に行けばいいのかわからない‥‥
まず通信制高校から情報を集め、直接その学校で先生に合って話を進めるなどしてはどうでしょうか。
実際に通信制高校等には、不登校の子どもの受け入れ先としての役割を担っている側面があります。
不登校の子どものサポート体制をウリにしているわけです。
不登校からの高校進学!志望校決定までに親が「してはいけないこと」
進学先はお子さんが自分で決めることが自立への道
親は自分の考えを「私は…と思う」と、しっかりと伝えてください。ただし、自分の希望通りにお子さんをコントロールするようなことは厳禁です。
お子さんのGoal像は「自立」です。その第一歩の自分の進路を選択する絶好の機会を奪ってはいけません。
このような親子関係がいいのではないでしょうか。
高校で壁にぶつかったとき、
高校進学だけでなく、お子さんの進む人生の先には、必ず壁が立ちふさがります。そのたびに「誰かのせい」にしていては、いつまでの自立ができません。
お子さんにも、自分で決めて自分の責任でやり抜く経験が必要です。その第一歩が、一人前としてお子さんの考えや意見を『聞く』親の態度を意識してみてください。
もちろん、お子さん自身の成長も未熟な場合もありますので、親が正しく助言しながら考えを引き出してあげましょう。
ともかく、学校に行っていなくても、お子さんは確実に成長しているのです。その成長や変化を感じ取ってみましょう。
一番のNGは、親の何気ない言動による子どもへのプレッシャー
不登校になっている子どもは、日常のストレスだけでなく「進学」への精神的に強い負荷がかかっているはずです。
あせっても、本人がどうすることもできない状況が普通なのです。そのような状況に、親から進学への一方的な期待は状況が悪化しかねません。
不登校は甘えているわけでも怠けているわけでもありません。まずは親がそのことを理解し、子どものサポートも大切です。
親子はいい面も悪い面でも、親の不安定感が、お子さんの心理に映るものです。あくまでも子どもに寄り添う姿勢は崩さないことが大切です。
また、進路の話題に限らず、少し遠回りするつもりで普段から子どもの話に耳を傾け、何気ない会話を楽しむくらいの余裕が欲しいところです。本人が話しやすい関係を作っておきましょう。
不登校からの高校進学!志望校決定までに親が「できること」と「してはいけないこと」 まとめ
今回の記事では、不登校からの高校進学!志望校決定までに親が「できること」と「してはいけないこと」をテーマにまとめてみました。
身近でお子さんの悩む姿をみているからこそ、親に「できること」もあれば、親だからこそ「やりがちなNG」もあるわけです。
親だからこそできること
- しっかり「わが子に合った」志望校の情報収集をすすめる
- お子さんとの会話を進め、最後は自分で決定することを応援する
おやだからこそ、しがちなNG
- 「子どもにプレッシャーを与えないこと」
- 「親が主体となって志望校決定をリードする」
- 「受験へ向けて親子の会話不足」
家庭内で抱えるのではなく、担任の先生に情報収集をお願いしたり、実際に学校訪問をして志望校の先生から助言をいただくなど、周りの協力を得ながら進めていきましょう。
ここまで、お読みいただきありがとうございました。子育てを応援する「ワダチブログ」の「子育てカテゴリー」には「反抗期や思春期のお悩み解決のヒント」になる記事がありますので、ご参考にしていただけたらありがたいです。