突然の質問で失礼します。
- 「すてきな挨拶ができる人になった方が絶対いいし、挨拶を当たり前にできる人に育ってほしい!」と願う親御さん、
- 「なんで挨拶が大切なのか、子どもに自信をもって説明できない…」と悩む親御さんに向けてこの記事をまとめました。
私は公立学校の元校長です。これまで毎朝、下校時に何万回も挨拶の言葉を子どもたちに声掛けをしてきました。「こんな大人になってほしい」と私なりに願いをこめ実践してきました。今は、子育て中の親御さんと先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
この記事では、わたくしの個人的な考え方をご紹介します。
「中学生が挨拶しない心理」「挨拶がなぜ大切なのか」「全校生徒に向けて“校長だより”や“講話”してきた内容」をご紹介します。お母さんお父さん自身の「挨拶に対する考え方整理と話ネタ」として活用していただけたら幸いです。
思春期のお子さんへの「身につけさせる方法」を提案します。
この記事を読んで、あなた自身の挨拶に関する心構えができて、その大切さをお子さんにきちんと話せる親にきっとなれます。
中学生が挨拶しない心理とは、どんな考え方をしているのか?
もし、中学生に「どんな挨拶が、いい挨拶ですか?」と聞いたらどんな答えが返ってくるでしょうか?
多い答えのパターンは、挨拶とは「おはようございます!と大きな声で言うこと」ではないでしょうか。理由は、挨拶について小学校から先生にこんなふうに言われているからです。
「大きな声で挨拶ができて気持ちいね」「しっかりと挨拶ができていいね」
これまでに「大きな挨拶がイイ挨拶」と刷り込まれた意識が、中学生になり思春期を迎え邪魔をしはじめます。挨拶がうまくできない心理を3つ挙げます。
1.人見知りや照れで挨拶が苦手
挨拶だけに限らず、人見知りや引っ込み思案で人に声をかけられないことはよくあります。
「挨拶をしなさい」といっても、委縮してしまったり、反抗心からしなかったりします。子ども自身も「挨拶=声を出すこと」「挨拶=している、していない」と言った単純な理解しかできません。
中学生の心の中には、「挨拶はできないわけではない。やらなければならない時は、挨拶なんかできるに決まっている」といった意識です。
「自分はやろうと思えば、当然できるけど、そんないちいちしてられない」と言った真理でしょうか。
- 挨拶ができない心理
- 家族の前で挨拶するのが「照れ臭い」などの心理がある場合
- やる時はできるから、(普段は家族に)あいさつすることもないという心理がある場合
2.挨拶のタイミングがわからないので苦手
「アッ‥‥(発見)…挨拶してもいいのかな……どうしよう……」と思っている間に、チャンスを逸してしまうなんてこと大人でもあります。
「あいさつするタイミングがつかめないだけ」という場合もあります。大抵このパターンは、挨拶すること自体に慣れていない場合がほとんどです。
「こんな感じですればいいんだ…」と自分なりのタイミングや経験を積むことで解決していきます。次第に「挨拶する場面設定にも慣れて習慣化」すれば問題ないので、焦らず続けていけがいいレベルです。
3.嫌な経験が思い出され、挨拶に消極的
過去の経験は、大きな影響を与えるものです。
仮に、せっかく挨拶したのに「挨拶を返してくれなかった」経験が、次のチャンスにしり込みをしてしまうのは理解できます。
気持ちのイイ挨拶の交流が、気分の悪い経験になってしまうのですから無理もありません。このタイプも、経験値があまりないタイプです。嫌な経験が勝ってしまい、自分で行動を制限して消極的になってしまうのです。
しかし、挨拶の考え方や心構えをしっかり理解して、納得できれば再チャレンジする勇気も生まれるはずです。挨拶によるいい経験を重ねることで克服できるでしょう。
なぜ挨拶は大切なのか?中学生向けた「校長通信」から
ここで中学校全校生徒に向けた「校長通信」の内容をの一部ご紹介します。
なぜ挨拶は大切なのか? 本物の挨拶とは1
あいさつは、漢字で「挨拶」と書きます。むずかしい漢字ですね。言葉には「語源」といって、その言葉がつかわれるようになったもともとの意味があります。今回は「挨拶」語源を紹介します。
挨拶の語源は「一挨一拶」と書いて「いちあい いっさい」と読みます。※師匠(ししょう)とは先生のこと。弟子(でし)とは生徒のことです。
- 師匠:先生がどれくらい“教え”を理解しているか弟子:生徒に質問してせまります。
- 弟子:生徒は、師匠:先生の質問に必死に答えます。
このような師匠と弟子の押し問答(問うこと、答えること:そのやりとり)の意味が、一挨一拶で表現されていました。後に略されて「あいさつ」となり、おじぎのことも「あいさつ」というようになりました。
- 「挨」の字は 「押し開く 叩く 近づく」という意味があります。
- 「拶」の字は 「せまる、開く。近づく」という意味があります。
ここが一番大切なところです。
挨拶は「自分から 心を開いて 相手に近づいていく」という意味があるのです。
単純に「おはようございます」「こんにちは」を声人出して言うことが「あいさつ」ではないのです。本物のあいさつとはこの二つがあります。
- 本物のあいさつには「あいさつする相手を大切にする心」があるのです。相手を「敬う心」ともいえます。
- 本物のあいさつには「自分から先に、心を開いて近づいていく」ことが大切なのです。だから例えば朝の挨拶ならば「自分から先に」「おはようございます(今日もよろしくお願いします)」と言葉を丁寧に伝えるのです。
挨拶って自分から先に心を開いて、相手に丁寧に言葉を伝えることなのです。
自分の優しい温かな心を「先に開いて」、お友だちや先生、交通指導をしてくれる地域の方々の心の扉を“トントン”とノックするような行為なのです。
自分からノックしたら、相手が「おはようございます」と返してくれたらうれしいですね。お互いの心の扉が開き、気持ちが通じ合えることができるのが、挨拶の魅力でありすごさなのです。
なぜ挨拶は大切なのか? 本物の挨拶とは2
最高のあいさつ力を身につけると、自分から心を開いて、相手の心を開いてもらって「今日もよろしく!」ってお互いの気持ちを通じ合えることができるのです。
あいさつは言葉を丁寧に届けることが大事なのです。どういうことかと言うと、
- ただ言えばいいわけではない
- 自分勝手に言葉を発すればいいのではないということ
このような挨拶の言われ方をされたとき、心地よい気持ちになりますか
- もし、ぶっきらぼうに「おはよう」と言われたら
- もし、暗い表情で小さな声で「おはよう」と言われたら
- もし、大きな声といっても「強い口調」で言われたら
いい気持ちにならないですよね。
- 中学生ですれ違いざまの近距離で「おはようございます!」と校庭でするような挨拶をする人
- 「お・・ざいます」と、ハッキリと聞き取れない省略された言葉で挨拶をする人
小学校で先生から言われていた「大きな声」は、正確に表現すると本当の意味は「自分の挨拶が元気いっぱいで相手に心地よく伝わるような爽やかな挨拶をしてください」という意味です。
本物の挨拶とは、丁寧にあいさつ言葉を届けることなのです。
今日もよろしくお願いします!の気持ちを「自分から」伝えるわけですから笑顔で 「さわやかに 相手に伝えたいと願い」心から言葉を発するわけです。
そんな心がけで挨拶出来たら、あなたは中学生であっても一人前の社会人です。大人だって誰でもできることじゃないのです。
最高あいさつ力は、相手に敬意をしめす行動であり、それを自分から先に行動することです。
私は言いたいことは、ココです!
だから、本物の挨拶って、誰でもできることじゃないですよね。大人だからできるものでもないし、中学生だからできないということでもないのです。最高のあいさつ力は、あなたの心を晴れやかにできるし、あなたの周りの方々もの心も明るくできるのです。人生を仲良く生きるパスポートのようなものなのです。だから大切にしてほしいのです。
なぜ挨拶が大切か!「挨拶の身につけさせ方」
社会教育家、故平光雄さんの『子育ての話』の著書の中で面白い表現で説明されているので一部引用しご紹介させていただきます。
道徳的な価値は、どれも自然発生的に生まれてくるものではありません。
略
普段から子どもの心の中に、必要な価値観を培っていくことです。それはあたかも心の中にコップがあって、そのコップに一滴ずつ水を溜めていくようなイメージです。
挨拶を単に行動だけで考えるのではなく、本物の挨拶を目指しませんか?将来わが子の助ける幸せになる力の一つです。素敵な「本物の挨拶」できる人柄って、人間関係も上手なはずです。
親のすることって、魔法な躾なんてないですよね。「この子どもの心の中に一滴一滴水をためていく」のですから。
このことは、つまり何回も何回も躾けるというよりは、日常生活の名kで心地よい挨拶を一滴一滴溜めていくイメージですよね。
親から先に爽やかなあたたかな挨拶をかけていくしかないです。
温かな言葉づかいの習慣を家族で大切にしていくことです。
おはよう! ありがとう。お帰りなさい。どうだ元気か。頑張ったな。ありがとう。ゴメンな。お休み。ゆっくりしな。
独り言のように話していくのです。
家族や夫婦で挨拶をする
夫婦で挨拶もしないでは、なかなか難しいことになってしまいます。親がやはり見本となってほしいものです。
家族同士でも、「おはよう」「こんにちは」などのほかに「さようなら」「ありがとう」や「ごめんなさい」など、気持ちを伝えることはとても大事です。
仮に、授業参観等で学校に行ったとき、子どもの友達に挨拶を返してもらったりしたら、「○○さん。元気な気持ち挨拶してくれたよ」などと楽しい話題にすればいいのです。
本物ですから、気楽に気楽に挨拶を大切にする習慣を重ねていけばいいのです。中学生は習慣だけでなく、納得する考え方にふれることが大事なのです。
きっかけ作りは家族から…ステキな挨拶できたら褒める
「元気よく挨拶できたね」などと、その場で大げさに言葉をかけることが大切です。
タイミングよく認める、褒めることが子どもの心の中に一滴一滴水がたまるように大切な価値観が育まれていくのです。
親がお手本になって挨拶し、独り言のように価値観を話題にして話してあげることです。無理強いせず、でも根気良く挨拶を促すことが大切です。親自身がモデルになる事が重要です。挨拶をしっかりできる子どもは「なんとなく、いつのまにか当たり前のようにできるもの」です。
一般的な挨拶の意味や大切さは?
自分の心が開いていることが「自分からの挨拶」で伝え目の前にいる相手を認めるわけですから、相手に印象を与える行為です。
爽やかな挨拶ができる力は、よき人間関係を築くきっかけになります。信頼関係も築きやすいでしょう。逆に挨拶が下手だと印象が悪くなります。
挨拶をするときは、みんな自然と笑顔になりますし、気持ちいい挨拶されて嫌な気持ちになる人は少ないですよね。
私の生き方を決める=私の挨拶の仕方を決める
最後は、挨拶をしたけど無視されたとかそっけない返事をされという嫌な経験ってありますよね。
実は私もありますが、ダメージはほとんどありません。なぜなら、こう考えるからです。
私の考え方 挨拶するかしないかは相手の問題!もちろんしっかりと返してほしいけど、本物の挨拶は、誰でも理解できるものではないし…相手の問題はどうしようもないのです。
それより大事なのは、自分はどうしたいのかです。自分は挨拶を凄く大切に考えているし、相手に対する敬意を持っています。すべての相手に敬意を持ちたいと考えています。だから自分の挨拶は、人によって変化や区別がありません。
- 誰に対しても
- どんな機会でも
- 自分らしい挨拶の仕方をやり続けるだけ
生きるスタンスが決まれば、結構楽ですよ。人によって態度が変わらないのだから、いつもの自分でいられるわけです。
参考にしていただけたら、幸いです。

なぜ挨拶は大切なのか?中学生が納得する教え方と身につけさせ方 まとめ
今回の記事は「なぜ挨拶は大切なのか?中学生が納得する教え方と身につけさせ方」をテーマにまとめてみました。
挨拶は、ただ声を出してするものではありません。挨拶の大切さは、望ましい人間関係づくりの基礎の基礎です。自分自身が幸せに生きるパスポートです。
子どもが自分自身で考えて学ぶべきことでもあります。
「うちの子はなんで挨拶ができないんだろう」などと焦らず、お母さん自身が素敵な挨拶を習慣化していきましょう。そうすれば、お子さんの心のコップもきっと満たされます。
「ワダチブログ」では、たくさん子育て関連の記事がありますので、これからも読んでいただけたら嬉しいです。