「学校、行きたくない…」って突然お子さんに言われたら、どうしますか?小学生や中学生のお子さんが、学校を休みたいと訴えたり、欠席が増えてきたりすることを、いわゆる「登校しぶり」と呼ばれています。
きっとこの記事をお読みの方は、お子さんを毎朝なんとか学校に送り届けているお母さんお父さんかもしれません。
登校しぶりに、親は動揺し慌てるものです。
そこで、この記事では「登校をしぶりだしたお子さん」を抱える方に向けて、適切な初期対応をまとめたものです。
登校を渋り「学校に行きたくない」というお子さんの気持ちには、どのような背景があり、原因は何か、その基本的な考え方や親にしかできない初期対応が理解できます。
私は公立中学校の元校長です。現在、これまでの実践事例や知識と経験を活かして親御さんや先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
きっと、親にしかできない登校渋りの対応のツボがわかります。お力になれたら嬉しいです。
登校渋りを長引かせない!親にしかできない初期対応
親の“不適切”な対応が、我が子の登校渋りを長引かせてしまったら大変です。
親にしかできない対応のまえに、親だからこそ注意してほしい「対応と考え方」をまとめました。
お子さんが登校を渋りだすと、親御さんのストレスは急速に高まります。こればっかりは、実際に体験した親御さんでないと理解できません。
さまざまな葛藤が沸き起こります。登校渋りの傾向といえば…
- 朝起きてこなかったり、
- 朝食まで食べたのにトイレから出てこなかったり、
- 靴まで履いたのに動かなくなったり、
- 車で学校まで送ったのに車から降りようとしなかったり
と、このようなことがおこりはじめます。
毎朝、お子様の様子を見て先読みをしながら、時間通りに1つ1つお子様にサポートしたり、気分を害さないように気をくばっている方もいることでしょう。または、イライラしながら大きな声で叱っているのかもしれません。朝からお子さんの表情や言動に心は大きく揺れ動きます。
「お母さんは自分自身の感情が激しく揺れ動いている」焦りや不安に後悔…不安定な自分。この事実をご自身で受け入れましょう。
無理もないのです。愛しているわが子の大ピンチですから。
どうしてもお母さんの頭の中は、一般的な常識が支配しています
- みんな普通に学校に登校している、できないはずはない。
- 登校するのが当たり前。
- 登校しないことはあり得ない。
ここで気を付けなければならないポイントは
お母さんの「辛い気持ち」「学校に行かせたい気持ち」が、お子さんにも伝わってしまうということ。(お子さんは「私が学校を行きたがらないのでお母さんにも心配をかけている等」と考えます)
お子さんは、自分が休むことでお母さんを悩ませている。私はダメな人間だ…このように考え方がエスカレートすることもあります。
お母さんの不安定さは、お子さんには好ましくありません。つまり、登校しぶりの悪循環から抜け出すはじめの一歩は、保護者側に「何が何でも学校に登校させなけ連場ならない」という考え方の修正を提案します。
例えばこんな感じです。
つまり、一生懸命にお子様をなんとか登校させようと頑張れば頑張るほど、悪循環になることもあります。
登校渋りが出始めたら、学校を休ませましょう!と話しているわけではありません。対応は一人一人違います。共通の正解はありません。ここでは、お子さんの不安や気になる事への理解しようとする構えなくして、学校に登校させることだけが正解という固まった考え方は正解とは言えませんという話です。
お子さんもお母さんも辛い気持ちになって「気が休まらない不安定な家庭生活」になってしまうことを理解しておきましょう。
この視点は心掛けて、お子さんにとって心休まる環境を整えましょう。その中心はお母さんの笑顔であり、ドンとしてわが子を信じる構えです。
もちろん、すべての「登校渋り」のケースが当てはまる正解はありません。この記事の主張は、起こりうる一つの考え方と対応についてです。頭の片隅に入れておいてほしいです。
(不安になる自分自身を感じるのは無理ない母親の心情)でも、登校させようと神経質になってしまっては、対応を見誤ることもあります。
親の不安は子どもは感じとります。子どものピンチに親は心の味方になれる最も身近な存在です。
親だってゆとりはない。けれど…
「大丈夫きっとうまくいく、心配ない家族は味方だよ」という想いを伝えてみてください。
登校渋りとは?登校を渋ったら親は休ませる?休み癖がつくって本当?
そもそも、登校渋りの原因は、その子ならではの“原因”があります。いろいろなことが考えられます。
問題の解決には、原因を見極め、適切な処置や対応を行います。PDCAサイクルと言われるように、この方法で“うまくいっているかな”と考えながら見直します。
上手くいっていれば継続し、うまくいっていない時は、方法を修正していけばいいのです。シンプルな考え方です。
- 登校渋りが始まったら‥‥やすませればいいのよ!休み癖なんかつかないから。
- 登校渋りが始まったら‥‥無理にでも学校まで行かせて、休ませちゃ絶対にダメ!休み癖がついたら大変でしょ。
この二つつの考え方は、どちらも正解、どちらも正解とは言えません。そう考える理由は二つあります。
- 1つ目の理由は、お子さんの原因が人それぞれですから、決まった対応が一つなんてことはありません。
- 2つ目の理由は、お子さんが登校することが、お母さんの正解であってお子さんの問題がかいけつしたわけではありません。お子さんの課題や原因が解決して、登校できるようになることです。
ここからは、登校渋りを引き起こしている原因をいくつか想定してみます。そのうえで比較的多くのケースに当てはまる「親御さんにしてほしい共通の対応」をまとめてみます。
登校渋りの「予想される原因」
特に小学校高学年や中学生の心の特徴のキーワードは「不安」です。子どもたちは、広い範囲の○○に「不安」を感じています。例えば
登校渋りの原因1 先生への不安、授業への不安
教室で○○先生がお友だちを叱った。それが怖くて怖くて…「今度自分が叱られたらどうしよう。」このように直接自分に向けられた言動でなくても、時には不安な心で重い気持ちになってしまうことがあります。
または、「あの授業に行くのが怖い。」という不安もあります。
登校渋りの原因2 友人に対しての不安
返信が遅い等、些細なことでも、バカにされているかも…嫌われているのではないか…声かけても無視されるかも…と疑心暗鬼になりやすいものです。
自分自身への肯定感も育んでいる途中です。友人関係のトラブルや関係そのものがつくれないお子さんもいます。
登校渋り原因3 親に対する不安
一番身近な「親」に対する不安は、子どもの気持ちをさらに落ち込ませます。それは「私は愛されていない、嫌われている」「兄弟姉妹で〇〇の方を私より親はかわいがっている…」「私は期待されていない…」
このような不安は、見捨てられるくらいなら自分の方からと心を閉ざすこともあります。
登校渋り原因4 うまく説明できない
うまく説明できず…これまでの聞き取りの経験から、何を言っても通じないとあきらめている場合もあることでしょう。
過去に嫌なことがあった。これから(未来に)嫌なことが起きるかもしれない。
話したくても話せない。上手に話したけど上手く話せない。このせめぎあいを理解しておくと落ち着いた対応ができるようになってきます。
登校渋りに「決まった正解持っている大人」はやっかいです。
登校渋りを長引かせない、親の初期対応
登校しぶりのお子様を支えるポイントを説明していきます。
登校渋り対応1 親御さんの笑顔でリラックスした家庭の生活環境づくり
登校渋りとは、学校生活(教室の生活等)のある場面に、大変緊張している若しくは、その活動に強い不安を感じていることが考えられます。
学校で頑張れるエネルギーは、家庭生活の安心安全が基盤になります。そして、お子さんが一番エネルギーになるのは、お母さんの笑顔と支持です。つまり、いつでもお母さんは私の味方…このような安心安全でリラックスできる生活空間をつくりましょう。
登校渋り対応2 お子さんの言葉を否定から入らない
「とにかく学校へ行かせないと」と思って、必死で学校へ行かせようとそれだけに“とらわれる”ことは避けたいです。
- 勉強が遅れる
- 進学できるか
- 友達関係や人間関係
- 体力や健康の事
- 将来が社会に出て、働けるのか
登校渋りを始めると、親御さんならこのような不安にとらわれ、慌てて解決を急ぎます。
表面的な解決とは、お子さんが学校に行けがイイのです。今は焦らずに子どもとの会話を続けてください。お子さんが何を考えているのか、お子さんの存在そのものを大切に感じるだkでいいのです。
登校渋り対応3 お子さんと楽しい会話・学校の嫌なことも話せる関係
学校に登校させることのみに専念していては、なかなか戦には勝てないもの。自分で学校に行くエネルギーを与えたいものです。
お母さんの務めは、病気を治すことです。
お子さんにエネルギーを与えることです。
ここでいうエネルギーは、心が満タンになることです。登校渋りは、学校に入る再登校が成功でもGoalでもありません。一歩一歩自分の足で登り続ける子どもであってほしいです。
母親は「登校を促してはいけない」という話ではなく、大いに促してみるのもいいでしょう。問題は「登校をさせることにだけに」強い関心を持つ大人の存在です。
登校渋ったら親は休ませる?休み癖がつく?親の初期対応を解説 まとめ
今回の記事は「登校渋ったら親は休ませる?休み癖がつく?親にしかできない初期対応を解説」についてまとめました。
色々となだめたり叱ったりしながら、なんとか学校へ行かせる状況になる場合も多いと思います。保護者様がお子様の登校しぶりは、保護者様の気持ちのうえでも大きな負担になっていると感じます。
登校渋りは、学校に入る「再登校=成功」ではありません。登校は一つの目標で一緒に考えていきましょう。決して登校を促すことが悪いことではありません。しかし、登校できない今もきちんと存在を認めてほしいのです。
登校できない弱い子、登校できない甘えの子、気力のない子とは言い切れません。上手く話せないのです。だからこそ、家庭では自然でいられる空間を是非心掛けてください。
登校を渋る子どもという枠を外せば、今まで通りのよき親子関係が築けるはずです。その親子関係の中にきっと再出発の鍵はあります。