学校の先生

児童理解の大切なこと!小学校低学年の発達段階の特徴と指導法のポイント

小学校1年生の4月!わが子の成長を喜ぶ親御さんとランドセルを背負ってワクワクして登校する新入生の姿が思い浮かびます。

その一方、校門では「学校に行きたくない」と泣きだすお子さんもいます。心配そうなお母さんとなだめ励ましながら教室に入れる先生方。入学して間もない時期に繰り広げられる“学校あるある”の光景です。

この記事は、小学校1年生・2年生の低学年を担任する先生方にむけて「児童理解の大切なこと」をテーマに「発達段階の特徴」と「指導法4選」をまとめました。

私は、公立学校の元校長です。これまでの経験を活かして先生方と親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。

先生方はもちろん、小学校に新入学された親御さんにも「小学校1年生・2年生」の発達の様子がよくわかり、お子さんの「今の成長の様子」を一般的に理解できる記事にしました。参考にしていただけたらありがたいです。

児童理解の大切にする学級担任の資質とは!

はじめに、「小学校1年生と学級担任との関係性」と発達段階の考慮の下、「児童理解を大切にする学級担任の資質」についてまとめました。

児童理解の大切なこと!小学校1年生の発達段階

入学すると子どもたちは、新しい学級担任を必死に観察しています。

“どんな先生かな?”と“やさしい先生なの?怖い先生かな?”

と、「無意識」に「直感的」に「肌感覚」で子どもたち一人一人が新しい学級担任の先生方に何かを感じ取ろうとしています。

そして、各自で“この先生は大丈夫、安心、またはこの先生は少し怖いかも…”等と直感で感じ取ります。

  • 担任の先生が「なんとなく、怖い感じ…」と思えば、失敗したくないので、先生とはちょっと距離を置くかもしれません。様子を伺いながらの生活が続くことでしょう。
  • 先生が「優しい・心配ない」と感じれば、安心してリラックスして遊んだりしながら、自分の存在を先生にアピールしてきます。

新入生にとって学級担任は、学校生活に順応できるどうか、一番重要なキーパーソンなのです。

小学校低学年の学級担任に「求められる資質」

次に、小学校1年生、2年生の学級担任に求められる資質についてまとめます。ポイントは二つです。

一つ目です。

小学校低学年に限ったことではありませんが、先生方には非言語的コミュニケーションの要素はしっかりと身につけてほしいものです。

非言語的コミュニケーションの要素とは

  1. 先生方の「顔の表情」は生き生きとしているか
  2. 「声の調子」は明るく快活か
  3. 「服装」は親しみやすいか
  4. 子どもたち一人一人への「視線の向け方」は温かいか
  5. 態度はどうか…体にもいろいろなエネルギーが自然と表現されています。

さらに、重視したい二つ目のポイントは「話し方」です。

小学校低学年の子供たちには、よく理解できるようにお話をする必要があります。話す内容はもちろん重要なのですが、ここでのポイントは、「先生の話し方」なのです。

コミュニケーションの決め手は 話す内容より、どんな話し方をする先生かどうかが重要

指導法の一番の基盤として、ご自身の表情や態度を意識してください。

腕組みをしながら話しているのか、膝をついて目線を下げて話すのか、丁寧かつ明るく快活な話し方を目指してほしいと思います。

小学校低学年は、特に学級担任の「温かなまなざしの範囲内」で、安心して教室で過ごせるのです。そして、「簡潔で要領よく話す」と同時に、「明るい前向きな話し方」が欠かせない資質です。

「話し方とまなざし」は小学校1年生との一番のコミュニケーション要素です。

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小学校1年生の一般的な発達段階とは?学級担任は学校生活の命綱

小学校に入学したばかりの子どもたちは、環境の変化に“緊張ととまどい”がおこります。

1.学級担任とつながりたい

多くの子どもたちは、新しい学級担任と結びつきの中で、自分の安心できる居場所を求める傾向があります。

子どもたち一人一人が別々に学級担任から“愛情や認めてもらいたい承認欲求”を満たそうとします。

ポイントは「無意識・肌感覚レベル」でそのような行動があります。

2.友だちとつながりたい

学級担任や学校生活に慣れ始めると、次第にお友だち同士のつながりに徐々に慣れていきます。

ほかのお友達にも関心を寄せるようになり、「学校生活の様々なルール」をほかのお友達と同じように「真似」しながら、教室内の日常生活に次第に適応していきます。

3.授業中、先生から認めてもらいたい

授業中、先生が質問をすれば、答えがわからなくても一年生は元気よく手をあげます。

「手をあげずにはいられない、自分の存在を知ってほしい、近づきたい一心」です。

先生から名前を呼ばれて指されたいので、例え、指名されて答えられなくても、さほど気にしている様子はありません。

小学1年生の児童理解とは?学級担任とのつながり方4タイプ

一般的には、小学校入学時は「先生」にくっついてから「仲間同士のつながり」に成長していきます。

学校生活の中で学級担任揖に慣れ始めると、先生に腰巾着の状態で足等にまとわりついたり、腕にぶら下がったりしています。

自分から手をつなぎに来るお子さんと個人差はありますが、1年生の学校生活の中心には、いつも先生がいます。

そして、徐々に学校生活に慣れるにしたがい、先生からお友達にも関係性が広がり変化していきます。ここでは4タイプで分類します。

1 先生経由の友だち型

自由時間があるとすぐに学級担任の周りで“おしゃべり”をして積極的に関係を持とうとするお子さんです。

しかし、いつの間にかいなくなり、気が付くと友だち同士で元気に遊んでいるようなタイプのお子さんです。

もちろん、先生から離れて仲間同士の関係に向かう時期は、個人差があり人それぞれです。子どもによって、1か月かも、半年先か3学期になってからと時期には違いがあります。

2 先生一人占め型

お友だちが学級担任の先生と楽しそうに話していると、会話に入り込み(割り込み)途中から、自分の話題にしてしまうようなお子さんがいます。

他のお友達が先生と何か楽しそうにしていることが、気になって仕方がないお子さんです。

比較的、自己主張は味方を買えればわがままでもあり、トラブルも多いタイプです。

3 先生の周りをまわっている型

大変積極的に先生とのつながりを求める「先生一人占め型」の周りを気にしながら見ているような子どもたちもいます。

先生に注目してもらいたいけど、自分からは積極的に話しはしないタイプです。しかし、次第に慣れてくると、先生へのアプローチが増えてきます。

4 必要に応じ、ついたり離れたりのバランス型

必要に応じ行動します。先生についたり離れたりバランスよく行動ができます。

先生が必要な時は近づいて来ますが、特に用事がなければ近づいてこないタイプです。比較的、学校生活にも順応が速く、落ち着いて生活を過ごせるタイプです。

児童理解の大切さ!小学校1年生のお友だちとの関係性

1年生では男女の別なく仲の良い友だちや、たまたま席の近くのお友だちと一緒になって遊んだり行動をともにしたりする関係性があり、特段男女間の反発し合うこともありません。ここでは、お友だちとの関係性を「3タイプ」に分類してみました。

  1. 一つ目のタイプは、席が隣だったり、たまたま何となく一緒になって「一緒にいることに関心があり」遊んだりして友だちと行動するパターンです。この手のタイプは、「お友達と一緒にいるほう」を選択しています。みんなが鉄棒していれば、そうするし、みんなが縄跳びに移動すれば、縄跳びで一緒に遊ぶようなタイプです。
  2. 二つ目はのタイプは、幼馴染という関係性や登下校が一緒等、気心が知れているためお互いに依存し合い一緒にいようとするタイプです。
  3. 三つめは、一人遊びができるタイプ。遊びそのものに興味関心が高い。友だちがそばにいてもいなくても、ずっと遊びが変化していく。

次に、小学校2年生の特徴についてです。

児童理解の大切さ!小学校2年生の発達的な特徴とは?

1年生と違い、2年生では「小学校での生活にすっかり慣れた」ということが挙げられます。学校生活に慣れとは「先生」の慣れ「お友達関係」にも慣れ、「教室」に自分の居場所が見つけられた時期です。

2年生の一つの特徴は、体のこなし方や手足の器用さもでてきます。自由に動き回れるので、じっとしていることが難しいお子さんもでてきます。

何でもしてみよう(できなくても)とする意欲満々の時代でもある。そのようなお子さんが多い時期です。

児童理解:授業の2年生の特徴

2年生ぐらいになると、答えられないと恥ずかしい気持ちが出てきます。話し合活動では、楽しい時間となり活動の中心は遊びです。

一般的に、子ども同士のまとまりは希薄ですが、2年生のころになると、中心になって活躍するお子さんも出てきて、グループとして話し合い活動にまとまりも出始めます。

児童理解:授業中の問題行動2年生

問題行動の一つが、勉強しないでイタズラ等をする行動です。

1年生の時は、勉強以外のことに心を取られてしまうと、そのことに集中してしまって勉強が全く手についていない状況が見られます。

しかし、2年生の場合は、いたずらをしていても全く授業がわからないとは限りません。集中していない時間もあれば、時には先生の投げかけにすばやく反応することもあります。

イタズラ等の問題行動をしつつも、一部は授業に参加している感じです。

児童理解:遊びと学習が同居の2年生

2年生は先生や友人との関係に不安がなくなり、自分がしたいことへのエネルギーをそのまま表現しているようです。

終始落ち着かずおしゃべりを始めるお子さん。

注意すると改善されますが、しばらくするとまた同じことをする…自由奔放に遊ぼうとする一方で、教師にも注意を向けて学習を続けている。

動くこと大好き、注意されてもすぐ忘れ、遊びながらも勉強はしている感じが2年生にはおこります。

発達段階の特徴を生かした指導法のポイント4選

・学級担任との信頼関係ができるまで1年生の心の中に

新しい先生は、やさしそう。何か困ったことがおこったら助けてくれそう。よかったな(安心)

教師側の考え方は、子どもたちがそのように感じてもらえるように、最大限意識し続けることが求められています。

評価者は、子どもたち側です。それぞれの場面で自己チェックしてみてください。

  • クラス全体に話す場面…先ほどまとめた、非言語的コミュニケーションはどうでしょうか
  • 一人一人に話す場面…全員に声掛けは難しいものです。しかし、全員を心掛けてください。すると、声をよくかける子どもたちと、声をかけることが大変少ない子どもたちもいるものです。そういった傾向を知る意味でも、“1日一回全員の声掛け”を心掛けることをおススメします。
  • 休み時間等遊ぶ場面…一緒に遊んでくれる先生は、親しみやすく人間関係を築きやすいものです。
  • お掃除や給食等活動する場面…頑張っている子どもたちを発見しやすい時間帯です。子どもたちと一緒に活動をすると、自然な会話が増えて、関係性が格段に向上するものです。

小学校低学年効果的指導法4選をご紹介します。

1.指導は簡潔に「短く・具体的」

「手はしっかりとあげましょう。」この「しっかり」の内容も教えてください。「しっかり」という言葉は主観的な言葉です。

客観的にイメージの共有を意識しましょう。

「肘を伸ばして、耳につけて、先生のほうを見て、ハイは一回」

等々

きちんと座りましょう!を言い換えます。

「椅子に深く座ってごらん、背中をぴんと伸ばして、椅子によりかからない」

このように、簡潔に具体的に表現して、子どもたちにわかるように指示します。

2.良い行動にタイミングよく反応し「認める」言葉かけを

指導の大原則は、①きちんとさせて、②できた瞬間、③飛び切りの笑顔でほめる  このパターンをどんどんつくりだしましょう。

手のあげ方を練習します。

きちんとできたら満面の笑みで「素晴らしい、気持ちがイイね」と伝えましょう。

背筋をピンと張った素晴らしい座り方には「立派だね、すごい凄い!かっこいいね」とすぐ認める言葉かけを伝えましょう。

誉めるより「認める」感覚を大切にしていきます。教師が求めるGoalが子どもたちのイメージと一致しなければなりません。

3.いけないことは短く毅然と+求める行動も伝える

慣れるにしたがって、色々な課題もでてきます。

自分の要求を仲間に出すようになり、けんかも起きます。要求を互いに出し合い(ぶつけ合い)を通して相手の存在を意識し始めます。学校生活に慣れるとともに告げ口も多くなります。

叱るだけで終わりにしないことです。どういう行動がいいのか、その都度伝え続けることです。

例えば「静かにしなさい!」を言わずに、「今はしゃべる時間ではありません。」「今は○○する時間です」という対応もあります。

「してはいけません!」だけでなく、「○○のようにすると気持ちがイイね」と目指す行動にも注目させます。

ダメなことはダメと叱りながらも、簡潔な表現していきましょう。ダメなことを叱るだけでなく、「教師が求める行動」を必ず添えることが大事になります。

注意事項では、クラスがうるさい状況では「今は何の時間ですか?」という疑問形は使わないほうがいいです。うるさい中で、子どもたちに発言を促すとさらにうるさくなります。

4.視線をあわせる 席に近づく

クラス全体の雰囲気を崩すため、問題行動を「クラスの前での叱責はなるべく控えたい」ものです。

問題行動の生徒と、席に近づいて視線を合わせることで、先生の意図は子どもには伝わるものです。

この手法で「教室内・全体の前での個別の注意」は、なるべく減らしたいものです。

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児童理解の大切なこと(低学年のポイント)発達段階の特徴と指導法まとめ

今回は「児童理解の大切なこと 発達段階の特徴と指導法まとめ」をテーマに、小学校低学年の児童理解の大切さをまとめました。

子どもをどのように理解するか、正しく理解する、深い愛情のもとに理解することで、その子供に寄り添った指導法があるわけです。

ポイントは、叱ることはもちろん大事。それと同じように「こういう行動を目指していこう」という言葉かけこそが積極的な生徒指導の本質です。

指導とは教師の考えていること「望ましい言動」をしっかりと子どもに語ることです。

その一方では、危険なこと等はその場で毅然と「やめなさい」と叱ることをためらわないことです。
教師の基本スタンスは笑顔とやさしさを根幹にして、伝わるように話をすることです。

医者が問診をするのは、正しく患者さんの病状を理解するため。正しく病状を理解できなければ、正しい薬や処置ができません。先生方もプロとして、子どもたち一人ひとりの正しい指導を行うには、正しい児童生徒理解が大前提です。

教育には絶対という正解はありません。この記事では、私の一つの考え方を表現したまでです。いろいろな考え方を否定せず受け止めて、自分なりの正解を考えていくことが実践家の心構えのように感じます。

「ワダチブログ」には、先生方に役立ちたい思いで多様な記事がありますので、参考にしていただけましたら幸いです。