学校での生活面で「先生から連絡を受けることが多くなって悩んでいる」なんてことありませんか?⼦供を育てる上で、お母さんやお父さんの悩みや不安はつきものです。
親ならだれでも似たような課題に向き合っているものです。
「誰も完璧な親はいないし、子育てはそもそも完璧にはできません」だからこそ自分を責めるのではなく、正しく発達障害について学び、肩の力を抜いて子育てを互いに⽀えあいたいものです。
私は公立中学校の元校長です。今までの経験を活かして先生方や親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
この記事では、小中学生の発達障害とは何か?その特徴の正しい理解と対応をわかりやすく解説します。
正しい知識がないと「わがまま」に見えたりして「発達障害と理解されないお子さん」もいます。発達障害のグレーゾーンの実態について理解できます。
わが子の発達に不安を感じ、ついつい感情的な対応になってしまう、悩み多きお母さんやお父さんと小中学校の先生方に向けた記事です。
しっかりとした知識と技術で互いに手を取り合える関係性を目指して、未来を照らしてまいりましょう。
小中学生の発達障害をわかりやすく解説!特徴のチェック
発達障害とは?理解の仕方についてわかりやすく解説していきます。
発達障害とは?基礎の基礎1 脳機能の発達の“デコボコ”が原因
一般的に、人は年齢に応じて、決まった順序で増えて体が大きくなり「成長」し、色々なことができるようになっていきます。これを「発達」といいます。
ところが「個人差」の範囲を超えて、発達がとても遅れていたり、偏っていたりする場合があります。そのなかには「障害と言われる“発達のちがい”」があるのです。
子どもは、誰でもその子らしい発達の仕方があるものです。その育ち方が「標準の範囲内なのか?」「外れているのか?」親御さんにとっては重大な関心ごとです。
標準から外れていることを正しく理解し、知識を身につけたいものです。
発達障害とは、生まれつき「脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)が激しい」ことから、お子さんの生活環境や人間関係との間にミスマッチが生じて、日常生活上の支障が生じる障害のことです。
つまり、育て方の問題ではないということです。
発達障害とは?基礎の基礎2 三つのタイプがある!」
大きく3つのタイプに分けられています。
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 学習障害(LD)
発達障害のタイプ ADHDとは
忘れ物や遅刻などの不注意が多く、授業中などに
「じっとしているのが苦手。じっとしていられない」「集中できなない」
といった落ち着きのなさが目立ち、「多動性・衝動性を主な特徴」とする障害です。
発達障害のタイプ ASDとは (自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれるお子さん)
対人関係が苦手であり、興味・関心が限定的であり、特定の行動を繰り返すなどの特徴があります。
「コミュニケーション能力や社会性」に関連する「脳機能」の偏りに特徴があります。最近はよく耳にする「自閉症」や「アスペルガー症候群」のお子さんもこのASDに含まれるという考え方が一般的になってきています。
LDとは?
学習障害と呼ばれています。
「読むことはできるが、字をうまく書くことができない」等読み書きや、聞く・話す、計算などが著しく苦手とする特徴(偏り)があります。
発達障害の正しい理解1 育て方等の原因ではなく脳機能障害との関連
発達障害の基本的な特性は、生まれつきあるいは生後早期に明らかになる障害であるということです。
何らかの認知機能に「偏り」をきたすような「脳機能障害」が存在するものと考えられています。つまり、
- 親御さんの育て方の問題ではない。
- 環境の問題が原因ではないという理解です。
様々な形で表現される行動にはお子さんなりに意味があり、「適切な対応はなんだろう」と、考え続ける余裕をもちたいものです。
行動の特徴は急には変化しないもので、認知の偏りも(徐々に変化することもありますが)大きく変化するものでもありません。
発達障害の正しい理解2 発達障害者支援法の成立から社会が変わり始める
2005年、この法律によって今まで支援の対象にならなかった自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性症候群)とされる方々にも国と地方自治体の支援の責任を定めました。
文部科学省の調査では、「特別な支援が必要な児童生徒」は小中学校の通常学級の中の子どもたちの「6.3%」に当たるそうです。全国で約68万人にもなります。
親御さんや先生方をはじめ、社会全体に障害を正しく理解することが求められている時代なのです。
発達障害の正しい理解3 知的障害が目立たたず気づかれにくい障害
知的な障害や身体的な障害はわかりやすく、理解しようとする気持ちも自然とわきあがるものです。ところが、それらの障害があまり目立たないために、気づかれにくい障害もあるんです。
例えば、目を合わせて会話したり、コミュニケーションをとるのが苦手であったり…そのような特徴のお子さんいますよね。
つまり、正しく理解されないことで、通常の学級内での人間関係につまずくお子さんもいます。発達障害の中には
気づかれにくい障害もある
このような特徴は「アスペルガー症候群」と呼ばれます。そのようなお子さんは“わがままな子ども”としてみなされている場合もあります。
多様な問題行動が、周囲の障害への正しい理解不足から起こるケースもあることでしょう。
一見問題行動に見える行動にも
「アスペルガー症候群のお子さんには、そうせざるを得ない理由がある」
という理解の仕方を提案します。
親や先生、学級内の発達障害の子どもたちを正しく理解することで、対応の方法も変化してくるものです。
発達障害とは何か?アスペルガー症候群をわかりやすく解説
一口にお話しすると、特徴は3つあります。
- コミュニケーションをうまくとれない
- 目を合わせて会話したり、することが苦手
- みんなが嬉しそうにしていても、嬉しさを表現するのが苦手
発達障害のグレーゾーンのお子さんに見られる特徴は?
学校現場では、一口に言うと「年齢相応でない態度や振る舞いがあり「いろいろと目立つ」お子さんである。
先生も保護者も、一般的なお子さんの行動面に合わせようとすると、ずれが多いため「指導や躾という名の叱責的な雰囲気の物言い」が増えてしまう。
- 授業では、文字が読めなかったり、書き間違えたりする。落ち着きがなく注意をよく受ける。忘れ物が多い傾向がある。
- グループ行動が苦手、友達と話をすることが苦手である。特に、同年齢での関係性が苦手でありコミュニケーションがうまくとれない。
- 興味のあることだけにしか集中できない…興味ある事にはすごい集中力を発揮しイキイキする。
- 教室内の「空気を読むことが苦手」です。思ったことをそのまま口にすることがあり、良好な人間関係がうまくつくれない。
- 身のまわりの整理整頓が苦手である。ルールや順番を守ったりすることが苦手である。
- 特定の物に関する知識や形式にこだわる。
このような、つまづきポイントで周囲との”ズレ”を感じ「悩むタイプのお子さん」もいれば、その一方で「悩みを感じることもなくマイペースなお子さん」もいます。
中学生の発達障害 強みチェックリスト
ここまでは、発達障害のお子さんの苦手の側面から見てきましたが、このような特性は考え方や見方一つで「特長=強み」として考えられなくもないのです。
- 落ち着きがないことは…活発な一面があるということです。
- グループ行動が苦手ということは…超マイペースということです。
- 空気が読めないということは…人に流されず自分で行動できる強う差があるともいえます。
- 興味関心がないやらないとは…興味関心がある分野があるということです。
特に、興味関心がある分野を活かすこともポイントになります。大人は興味関心ごとの「中身」に偏見があるようです。
つまり、「それは、将来役立ちそうなことなのか?」「それは、現実可能なことなのか?」このような大人の常識の範疇で考えがちです。
これでは、「変わったお子さん」のままです。
発達障害のお子さんの教育をするにあたっては、”そのお子さん一人ひとりの困り感に目を向けて、その原因は何にあるのか?について、謙虚に丁寧に見つめていくことが大切です。
小中学生の発達障害とは何か?アスペルガー症候群を解説 まとめ
今回の記事は、「小中学生の発達障害とは何か?アスペルガー症候群をわかりやすく解説」についてまとめてみました。
発達障害で 極端に「字を書くことが苦手」なお子さんの場合、
今までなら「字を書くことが苦手」な「障害」と考えていませんか?もしかしたら、「やる気」の問題で考えたり「基本的な生活習慣」の問題で考えたりするかもしれません。
しかし、「視覚機能:見た情報を正しく捉える能力」と「運動機能:鉛筆を思うように動かす能力」に課題があるのかもしれないとも考えられます。
弱みに直接的にアプローチすることもいいですが、何事もこだわりや決めつけをすることなく、謙虚に良さをみつめ抜きながら特徴を強みに置き換えて考えていくことも大切ですね。
親御さんや先生方を応援する「ワダチブログ」には色々な視点から記事が掲載されています。参考にしていただけたら嬉しいです。