学校の先生

通知表所見の文例中学校用!負担感が激減したのに子どもと親が嬉しい所見の書き方

通知表の「所見」は重荷。

7月は忙しい。定期テスト、採点・成績処理、評定、保護者会…そこに部活動、問題行動や不登校等への生徒対応、校内研修もあるし…。ずっと全力疾走の先生方。

この記事は、忙しい学期末に通知表所見に負担感のある先生方に「通知表・感動所見への道筋4選」をご紹介する記事です。

先生方の大好きな子どもたちと保護者との信頼関係を「通知表の所見」の言葉で表現することができます。

私は、公立中学校の元校長です。これまでの経験を活かして先生方と親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。

この記事で「通知表所見」の効果的な書き方ととともに、言葉の持つ大きな可能性をきっと実感できると思います。

通知表所見!親がうれしがる所見の書き方1 書き出す前にGoalから考える

Goalとは、通知表所見を読んだ時の感情です。学級担任の心を短い文章の中から、感じ取った「生徒の表情・感情」「保護者の想い」がGoalです。

うれしい!夏休みも頑張ろう。

先生は、自分のことをよく見ていてくれたんだ。(うれしい!)

私は、全然覚えていなかったけど、先生は私のあの行動を認めてくれていたんだ。(驚き)

その結果、自分への新たな肯定的な自己理解が進むことにつながるでしょう。よし、夏休みも頑張ろう。この前向きな気持ちを引き出すことが、所見の目的です。

保護者なら

担任の言葉にホッとする母親

先生は、うちの子のこんな一面を、認めてくれている。(ありがたい、感謝)

へえ~知らなかったな。家じゃ不愛想だけど、学校ではしっかりやっているだな。(安心)

もともと親御さんが「こだわるお子さんの“よさ”」を担任の先生が認めてくれたなら、嬉しいですし自信になります。

わが子の「新たな一面」を担任の所見の言葉から知れば、ほっと安心とともに喜びが湧き上がると思います。

その結果、「担任のわが子への愛情、丁寧な指導、温かな配慮」が親に直接伝わり、学校と学級担任への信頼とつながります。子育てにおける信頼関係・連携協力の下支えとなることが所見の目的。それだけの価値が、所見には秘められているのです。

しかし、忙しい学期末に、所見の労力は大変です。所見をやめる学校もあります。働き方改革だそうです。

書くことが目的の仕事なら、やめてもいいのでしょう。書かなければならない所見という意識では、重荷になっちゃいますよね。

通知表は正式な公簿ではありませんが、

生徒と親にとっては、学校からの正式なお知らせです。そこに、学級担任の言葉で、感動を伝えることができるなら、通知表をやめることが「もったない」感覚です。

所見のポテンシャルはすごい。言葉の力は、すごいのです。生徒を認める言葉があることで、唯一無二のあなたがつくる通知表になるのです。

そもそも、所見の中に何を書くのか!その言葉は、教師としてのあなた自身の生徒理解と実践の姿です。

何を伝えたいのか。

所見の言葉は、教師である自分自身を映しだす鏡です。力量そのものです。だからこそ、こだわってほしいと願っています。

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通知表所見 親がうれしがる所見の書き方2成長をネタの中心にする

1.「所見の内容」2つの原則

1つ目が、生徒の成長をネタにしましょう。

2つ目が、担任が自分の目で見た、事実と感じたことを素直に表現することです。

1つ目は成長がカギです。成長とは、

  1. できなかったことが、できるようになること。
  2. 今まで、気づけなかったことが、気づけるようになったこと。
  3. 考え方が大人になったこと。

要するに、「よりよく自分が変わっていくことが成長」と、考えます。

2つ目が

日常、目の前で起こっている出来事に、生徒一人一人の成長(変化)を見出すのです。所見の例文から抜き出したありきたりの文章では、感動はおこりません。 

先生が感動したことを、素直に表現すればいいのです。

日常の何気ない場面に、たくさんの気づきをみつけてください。

2.所見の「場面想定」

日常の何気ない場面とは

〇授業の様子 〇学級生活の様子、係活動 〇学校行事への事前の取り組み、本番、事後 〇部活動 〇委員会 〇友だちとの関わり方 〇各種検定など挑戦したこと等

これらの想定場面で、あなたの生徒一人ひとりが、どのような言動が光っているか、輝いていたか思い起こしてください。

以前と比べると、よい変化が出てきたことなどがいいですね。担任が気づいた事実ですから。

3.子どもと親が嬉しい実際の「所見での表現例」

  •  友だちに…の声をかけるだけでなく、いつも一緒にいることで仲間を支えていました。…ができるようになり、成長を感じました。
  •  …の時は自ら進んで…をするなど目を輝かせて活動し‥‥盛り上げていました。…できたのも〇〇さんのおかげです。
  •  …が身についています。…もって行動していて〇〇さんの成長ぶりに感心するととも驚きます。これからも成長が楽しみです。
  •  …こんなふうにかかわってきました。最近は…に対する意識が高まり成長を感じます。今後も…について声をかけていきます。

ネタは大きな行事だけではなく、日常の何気ない会話や行動の中にあります。

友だちにかける、やさしい言葉、仲間を気遣う言葉、一緒にやろうと誘う言葉。困っている時、ピンチな時、そっと手を差し伸べる生徒、どのクラスにもいますよね。

その行動力は、その子にとっては当たり前なので、自然とふるまえるわけだけど、その光る言動を、成長の証として生徒と親にフィードバックしてあげてください。

その生徒にとっては、当たり前の行いが「認められる」ことは、本当に嬉しいし自信につなが ります。

生徒の成長に触れられて「担任」として素直に「嬉しいなあ」「驚きました」「すごいと思いました」「心からすばらしい」と、表現すればいいのではないでしょうか。

そして、「やれば、きっとできます」「大丈夫です」「楽しみです」と期待の言葉を添えてください。生徒は、自分を見ていてくれたことに、親は先生の愛あるあまざしにきっと感動して喜んでくれると思います。

https://wadachiblog.com/simple-way-to-think/

通知表所見 子どもと親が嬉しい所見の書き方3 生徒の意識と所見をシンクロさせる

感動所見には、生徒本人が「頑張った」と、手ごたえを感じ意識していることを、見抜くことが大切です。

実践1 6月末から7月に入ったら、実態調査をおすすめします。

テーマは「成長」です。

学期末には事前に、自分が「努力したこと」そして、以前に比べると「できるようになった」と自分の成長について振り返らせる時間を持ってください。

ここで、つかんだ情報を所見にシンクロさせるのも有効です。(もう一方が、生徒本人の当たり前の行動に成長を見出す視点です)

  • 授業で頑張ったこと、家庭での勉強で頑張ったこと。以前はできなかったことが、最近はできるようになったこと。
  • 生活面で頑張ったこと、以前より気づけるようになったこと。
  • 行事面、部活動面、委員会、ボランティア等々、そして、次の学期で頑張りたいこと等々。

生徒が頑張ったと自分で認識していることを、認める。教師の評価と生徒の自己評価のシンクロが、所見効果を高めます。

実践2 先生方同士の情報交換の質の向上

先生方同士が、何げない会話の中にヒントがたくさん隠れています。職員室での会話、「子ども」について、どんな会話がなされていますか?

教師が普段、何を考え意識しているか、この差で会話の内容も雲泥の差が生まれます。教育のプロがみんな揃って、子どもたち一人ひとりの「何」に注目しているのかが教師の実力です。

みなさんの学校は、どうでしょうか。子どもの「何気ない言動」の中に、光る可能性を見出していますか?

お互いに話すことで、その子を見極める視点を増やしていますか?

通知表所見の文例中学校!負担感が激減で子どもと親が嬉しい所見の書き方~学期を通して3段階で完成

実は、今からだと少し遅すぎます。私の提案は

  • 1段階は5月下旬6月初旬 
  • 2段階は6月下旬、 
  • 3段階は7月締め切り4,5日前

私の場合は、若い頃はまだ手書きでした。

所見欄が5行あるとすると、2行ぐらいは6月ぐらいまでには書き終えていました。やっぱり、成長を発見した喜びが、教師の醍醐味。だから、その時に記録しておくという自然な動きです。

同じように、6月も「その時」があれば、新鮮な喜びを追加。

最後に残しておいた1行から1行半を、喫緊の中からピックアップする感じです。仕事も分散、軽減出来て、もちろん、文章の精度も上がります。

35人ほどの生徒の所見を「一気に仕上げる」となると、負担感があるのは事実ですよね。すると、働き方改革の名の下に、「省略」されてしまうのでしょう。

所見を書き上げ、期限までに仕上げることが、目的ではありません。所見の持つ目的、言葉の威力を再確認してほしくて書いている記事なのです。

働き方改革の神髄は、

教師が「子どものために」やるべきことをやって、いつも健康でニコニコして余裕があることと私は思います。だから、所見カットの前に「3段階でやるぐらいの工夫」が「本物の働き方改革」への実践だと信じています。

所見に、教育のプロとしてのプライドをかけたいものです。こんなに子どもを想う教師の情熱は、生徒・保護者に届きます。

https://wadachiblog.com/my-one-and-only/

https://wadachiblog.com/tuutihyou-syokenn-bunnrei-jhs/

通知表所見の文例中学校!子どもと親が嬉しい所見の書き方 まとめ

今回の記事は「通知表所見の文例中学校用!負担感が激減したのに子どもと親が嬉しい所見の書き方」についてまとめました。

1:所見のGoalとは、所見を読んだ時の感情です。学級担任の心を短い文章の中から、感じ取った「生徒の表情・感情」「保護者の想い」がGoalです。

 先生が私の努力と成長を認めてくれた。うれしいという感情。

 自分への新たな肯定的な自己理解が進むことにつながるでしょう。よし、夏休みも頑張ろう。この前向きな気持ちを引き出すことが、所見の目的。

2:生徒の成長をネタにしましょう。

担任が自分の目で見た、事実と感じたことを素直に表現することです。日常、目の前で起こっている出来事に、生徒一人一人の成長(変化)を見出すのです。

ネタは大きな行事だけではなく、日常の何気ない会話や行動の中にあります。その生徒にとっては、当たり前の行いが「先生から認められる」ことは、本当に嬉しいし自信につながります。

3:所見は「生徒が頑張った」と自覚する意識とシンクロさせる

感動所見には、生徒本人が「頑張った」と、手ごたえを感じ意識していることを、見抜くことが大切です。そこで、6月末から7月に入ったら、実態調査をおすすめします。事前にネタを収集しておくのです。

4:所見も一気に仕上げるのではなく、学期を通して3段階で仕上げていく感覚が自然です。

やっぱり、生徒の成長を発見した喜びが、教師の醍醐味。だから、その時に記録しておくという自然な動きです。

働き方改革で通知表所見を辞めている学校も増える中、「通知表所見」は、生徒と親にとっては学校の正式なお知らせ。

その中での言葉で生徒に勇気を与え、親の信頼を勝ち取ることができたら、教師冥利に尽きます。

通知表所見の言葉は、あなたの実践そのもの。あなたが「どんなことを大切にしている教師なのか」を、表現しています。だから、こだわってほしい。

忙しい中、あなたの頑張りが「やることが目的」になっていないか、チェックしてみてください。

先生方の思考転換のきっかけとなる考え方を提供して、生徒指導力量アップのお手伝いを目指す「ワダチブログ」です。

ここまでお読み頂いて、ありがとうございました。