先生方のこんな悩みや疑問に対し「清掃指導の考え方と実践的手法」を紹介する記事です。特徴は次の3点です。
一つ目の特徴は、学級担任が生徒に語りかける「話し言葉」の例文が用意されています。(実際の指導場面のイメージが把握しやすくしました)
二つ目の特徴は、清掃指導を例に、具体的な指導内容の進め方が示されています。
三つめは学習指導要領等、教育のプロとして本来知っておくべき清掃活動の基本的内容もわかります。
新任先生はもちろん、清掃指導に悩む先生方に「すぐに実践できる考え方と具体的手法」をまとめた記事にしました。
私は公立中学校校長です。先生方や中学生、子育て中の親御さんに向けた応援ブログ「ワダチブログ」を運営していまいす。参考にしていただけたらうれしいです。
4月の学級経営においても「清掃の時間」をきちんと活動させることの意義は大きいです。この記事で、漠然とした清掃指導の悩みや不安が解消されます。
学級担任として“やるべき態度、指導方針と指導内容”が納得できて生徒指導の基本的な指導法が定まります。
清掃活動の学校教育の目的とは?学級担任の進め方1:作業分担の明確化
学校ではじめて学級担任する新任の先生に多い悩みを紹介します。
こんなケースでの処方箋例です。
ポイント1 清掃時間内にやるべき「清掃内容を明確」に!
ポイント1 生徒一人一人の「清掃の具体的な進め方:自分の役割分担をハッキリさせて」細部まで、生徒と先生で確認していく作業が大事になります。
考える視点を解説します。
「清掃時間が仮に15分なら、どんなタイムスケジュールで、どんなペースで進めていくと、時間内に自分の考える満足できる清掃活動が行われるだろうか」この視点で考えましょう。
・どんな作業が必要か
・分担個所の適正な人数
・何人が効率がよいか
・何分かかるか
具体的な手順をハッキリとさせます
- 全員で椅子を机に挙げて自分の机をを運ぶ
- ほうきで掃き掃除をする
- 掃き終わったところから雑巾がけをじめる
- 雑巾がけしたところから机を運び始める
- 掃き終わったところから雑巾がけをはじめる
- 雑巾がけが終わってところから机を運び始める
- 机から椅子を降ろす
・教室掃除なら、6時間目終了と同時に「直ちに」全員で自分の机を前に移動させる。その後直ちに(目標目安:1分)清掃場所に移動を繰り返し徹底。
教室掃除は、少ない人数、全員の机移動が大変で時間がかかりますよね。スタートをそろえることは大事です。
5時間目が体育等の移動教室の時は、事前に机を移動させておくと素早い行動ができます。
学校で清掃活動をどう指導するか?進め方2:協働の時間で価値観の徹底
ポイント2 清掃分担の仕事に「楽な仕事内容」「大変な作業内容」の差がないにします。
子どもの感覚で清掃分担個所の違いによって「・・・は楽、…は大変」という差をつくらない。目標は「みんなで協力し合って、みんなで清掃分担を時間内に最高にきれいする」ことを考え工夫することです。
どういう意味かと言えば、仮に黒板掃除が短時間で済むなら‥‥「机運び」は、黒板清掃を中断して応援に入る等のルール(清掃時間の初めの5分は…をしてから、黒板清掃に入る等)…自分の範囲の清掃を完了した場合は、他に協力してみんなで気持ちよく働くことを経験することを目指す。
そういう助け合い協力し合って行動することを先生が学級全員に求めていることを、しっかりと理解させることです。
できない点を叱るイメージより、何が大切か、どういう行動を求めているかを理解させるとは、
- 繰り返し語り伝え続けること。
- できるようになった一面を的確に認め誉めはげますこと(次で詳しく説明します)
この二つを心掛けてください。これが学級経営の基本指導です。
学校で清掃活動をどう指導するか?進め方3:指導は「語り伝える」こと
ポイント3 清掃指導を単純に「指導」として「生徒は掃除をするのが当たり前」という考え方で言葉かけをしないことが大切になります。
どういう指導を目指すかについては「よい点頑張っている点をしっかりと気づき認める、そして肯定的な言葉にして伝える」指導を目指します。
●生徒から信頼されないダメな指導中の言葉
誤解のないようにハッキリさせておきます。生徒に望ましくない行動に是々非々で「いけない、ダメ、間違っています」と毅然と指導することは生徒指導の基本です。
しかし、毅然ある態度で指導した…生徒に先生の意図が伝わらないでは、指導したことにはなりませんよね。
生徒指導のねらいは「いけないこと」を生徒に理解させて納得させることです。
どういう態度でどういう言葉で指導するのか、工夫して伝えることが生徒指導の力量差です。
1.実際の清掃指導の場面での提案
ここまでは「よくできた」と「できている面」を中心に言葉をかけていきます。
このコメントには、
いいことは、何がいいのか、ハッキリと伝えています。
一生懸命に真面目に頑張っている生徒を「当たり前」にしないで、しっかりとご苦労様を伝え、「いいことはいい!続けていこう!」というメッセージを笑顔で伝えましょう。
さらに行動を「どうやってレベルアップしていくかわかりやすく、具体的」に伝えようとしています。こんな感じで言葉かけを続けていきましょう。
できないことを指導することは大切、間違いないです。ふざけているなら話は別ですが…頑張っている一面を、見逃さない先生であってほしいですね。
2.学校の生徒指導とは、新しい価値観を語り、伝えること
指導とは「しかる、注意する」という行為ではなく、
「どういう行動は、なぜいけないのか」「どういう行動を目指してほしいのか」を目の前の生徒にしっかりと理解させ納得させる言葉かけです。
言葉を真剣に伝え、大切な価値観を生徒に学ばせることです。
あなた(みんな)は、○○を目指しなさい。やればきっとできる!そういう目指す方向性を示してあげること。頑張っている方向性は、「とてもいい!この調子で続けていこうね」という言葉かけです。
3.学級担任に実践的指導法のコツ!実践例:新任教員の悩みと不安
ある先生の切実な不安と悩み
という切実な悩み
これまでの内容で解決法を示します。ポイント1と2の手法です。
・どんな作業が必要か。・分担個所の仕事に適正な人数・何人が効率がよいか。
・何分かかるか。生徒一人分の作業量を考慮して分担を決定する
仮に1班6名で体育館を担当とします。
例 フロア2人 玄関1人 トイレ2人(男1女1) 通路1人
清掃場所を清掃内容を考え人数を分担します。
- フロア2人の分担清掃内容‥‥ Aさんはフロア右側から中央へモップを。Bさんはフロア左側から中央へモップを。
- 玄関1人‥‥ Cさんは…位置から始め、ゴールはここまで順に掃いていく
- トイレ2人(男D女E)‥‥トイレ掃除は1,2,3,4,5の手順で始める
- 通路1人‥‥ Fさんはこの位置から始め、ゴールはここまで順に履いていく
- 予定時間設定、作業スピードとともに伝えていく。
細かく表現しきれていませんが、私が清掃場所でこういう分担で…と説明しましたら納得してくれました。このような清掃内容徹底をすれば、先生の指導が3分遅れて到着しても、生徒の動きでちゃんとやっているのかどうか、時間通りすすんでいるか、今どの段階をやっているのか、各分担個所を進行状況をすぐに把握できます。
把握できるということは、
と実態に合った指導(想いや考えを伝える)ことができます。
清掃活動の学校教育の目的とは?教師の基本姿勢をおさえる
ここでは、学習指導要領等本来知っておくべき清掃指導の基本的内容をお伝えします。
小学校の場合
学級活動の活動内容(2)「日常の生活や学習への適応及び健康安全」のエ「清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解」
中学校の場合
学級活動の活動内容(2)「適応と成長及び健康安全」のキ「心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成」
の中に位置づけられたれっきとした教育活動です。
清掃活動の教育的意義
実際の清掃が教育活動であるための条件は4つです。
- 清掃活動が基本的生活習慣の形成などの日常生活の実践に結びつく教育的効果をもっていること
- 清掃活動を通して、金折るの意義や尊さを体験させ、奉仕の精神を育成していること
- 分担と実践の教育活動を通して、集団の一員としての自覚を深め、責任感を育成するとともに、教師と児童生徒、児童生徒相互の触れ合いを深めていること。
- 清掃活動を通して自らの能力を自覚させるとともに成就感と勤労の喜びを体験させていること。
清掃活動にどんな意義があるのか、おおもとも理解してい置くことは大変重要なことに思います。実践を支える柱の意味で、目を通しておくといいのではないでしょうか。
生徒指導に苦しんでいる先生にご紹介ください。
清掃活動の学校教育の目的とは?学級担任に実践的指導法のコツ まとめ
今回は「清掃活動の学校教育の目的とは?学級担任に実践的指導法のコツを紹介」をテーマにまとめてみました。
清掃活動は毎日ある教育活動です。そういう意味では、清掃指導、給食指導、朝の会帰りの会、日直活動などは、学級経営の雰囲気を構成する重要な指導です。
学級経営の根幹は、日常の言葉かけが「できていないもっとしっかりしろ!」と叱咤激励よりも「こんな点が良くなってきているね」「この点を改善していくと、もっともっと良くなるね」と目指す方向性を示していく手法を大事にしていけば信頼関係が深まっていくと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。「ワダチブログ」は、先生方、中学生、子育て中の親御さんを応援するブログです。お役に立てたらうれしく思います。