「音読」は、小学1年生から小学生定番の宿題です。なぜ、小学校では宿題に音読が出されるのでしょうか?…ちゃんと、お母さんお父さんが納得の理由があるのです。
音読の宿題は、保護者からのサインが必要なため、「音読するから、聞いて!」とお子さんから言われることも多いと思います。
この記事では、音読の効果がわかります。毎日の宿題「音読」をより効果的に行う工夫と親子で音読を楽しむコツを紹介します。
私は公立学校の元校長です。これまでの経験を活かして子育て中の親御さんと先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
この記事で、お母さんが音読の効果をしっかりと理解でき、その可能性を最大限引き出す関わり方ができるようになります。きっと楽しい親の子会話が増えることでしょう。
音読の効果とは?小学校宿題の定番になる理由
先生が、音読を小学校低学年から宿題の定番にするには、それなりの理由があります。
音読が宿題になる理由1 これから始まる小学校教育“すべての学習の基礎”になる勉強と考えているから
学校でも音読の練習は、繰り返しやりますが、練習をする時間が不十分なので、家庭でも「練習を重ねて良い習慣」を身につけてほしいという願いがあります。
音読が宿題になる理由2 お母さんに宿題のチェックをお願いする理由
- お母さんに聞かせることで、お子さんの意欲やる気を引き出す効果を期待している
- お母さんにわが子の言葉の理解や成長について実態を理解してもらう
- 音読を通して日常生活の中に、お母さんとの会話を増やしてもらう
音読が宿題になる理由3 学校では、正しく文章が読めることを「前提」に授業が進んでいる
理由1、理由2から、お子さんが主体的に授業に参加するためには、家庭での音読の練習を積み重ねていただき、学習の基盤づくりに協力を期待しているからです。
言葉が豊かになることで、学校の授業の理解をぐんと促すことにつながります。
よき習慣を身につけたお子さんは、強いです。
小学校宿題の定番「音読」の効果とは?
黙読ではなく、声に出して読むことで次のような効果があると考えられています。
小学生は「読み聞かせ」が大好きな理由
特に低学年のお子さんは、話し言葉を使うことが多く、書き言葉は苦手にして慣れていません。絵本は自分でも読みますが、大人の読み聞かせを聞く方が大好きなのです。耳で聞いた方が理解するのです。
音読をすることで、文字情報が「音声情報」となり、より文字情報の理解を促すことができるのです。
読むことになれる…音読する文章内容を正しく、速く理解できるようになる
音読という作業をすることで、文章の言葉(単語ひとつひとつ)に注意を向けることができます。次第に慣れてくるとは読み方がスムーズになっていきます。
文字そのものを目で追う時に、はじめは単語だけに意識が向けられていたが、繰り返しているうちに、文のまとまりごとに内容を理解できるようになる。
音読は継続することで子ども自身が「うまく読めるようになった」「できるようになった」という喜びが感じやすいものです。それが集中力にも繋がります。
音読を通して、読んでいる言葉に「必然的」に意識を向けることで、文字情報をイメージする作業を何度も行っており、読むスピードが速くなります。同時に読み物文章の内容を正しく理解することにつなげることができます。
音読で記憶力や読解力が高まりが期待できる
音読は文章を目で認識して、声に出して読んで発声し→それを耳で聞くという行為です。この「読む・話す・聞く」という3つのことを同時に行う音読には、記憶力が高まる効果があります。
3つの同時作業で脳が活性化されるようです。また、読解力が養えるメリットもあります。
音読でない「黙読」では、無意識のうちに“飛ばし読みや流し読み”をしてしまう傾向があります。小学生には、大事な内容を読み込めなかったり、文章内容が理解できないケースにもつながってしまいます。
音読を繰り返すうちに、言葉を頭で理解しながら読めるようになり、読解力を高めることも期待できます。
将来につなぐ学びの連続性を考えると、小学生からの音読の学びが大変大切なことなのです。
話し方が上手になりコミュニケーションの基礎が育つ
音読の良さは、小学生の発達段階ととてもマッチしていて何度も練習していると、自然と目や耳で文章を覚えてすらすらと読めるようになるところです。
「元気よく大きな声で読んでみよう」「やさしく励ますように読んでみよう」「ゆっくりお友だちに伝わるように読んでみよう」等、気持ちを考えながら読ませることで、音読をとおして日常会話の基礎を養うことができます。
結果、望ましい人間関係づくりの基盤づくりの側面や人前での発表で、話すことに自信をもって、わかりやすい話し方をすることができるようになります。
学校の先生が毎日の宿題に音読を出すということは、それだけ先生が音読を大切にしていうことです。
家庭と学校の両輪で言葉の力を育てたい~そもそも授業のねらいとは?
国語でもこの3つをねらいに授業が進められます。
- 「知識・技能」
- 「思考・判断・表現」
- 「主体的に学習に取り組む態度」
この3つの力を高めることを目標としています。もう少し具体的にすると
- 語のまとまりや言葉の響きなどに気をつけて音読することができる。(知識・技能)
- 場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉えることができる。 (思考・判断・表現)
- 物語を楽しんで音読したり、劇遊びをしたりする。(主体的に学習に取り組む態度)
言葉を豊かにすることは、子どもの未来を広げていきます。学校と家庭が両輪となって進めていきたい学習の基礎の基礎の位置づけになります。将来、本を楽しめるお子さんになるためにも、学校でも家庭でも毎日の継続が大切になります。
個人差や個性があるお子さんですので、一番の理解者である親御さんのお力も期待しているということです。
お母さんにもできる音読のアドバイス
音読を楽しくやって、効果的に学力を上げられたら最高です。家庭で以下のポイントに気を付けて読ませることで音読効果が抜群に高まる方法を解説します。
お子さんの学習ペースに沿った音読練習ができる
家庭での音読する一番のメリットは、自分のペースで音読が進められることです。
- 新しい物語等は、文章を指でなぞらせながら読ませてもいいです。
- 一字一句確認しながら、正確に読んでいくことが大切です。つっかえても問題ありません。
- 苦手なお子さんは、短い文章にしたり、長い文章を区切って短くして音読させましょう。長文は「最後まで読み終えること」が音読の目標になってしまい苦痛になってしまうかもしれません。
- 毎日、同じ文章にふれて音読を継続すると、必ずうまくなっていくものです。
- なれてきたら、声の大きさや抑揚を意識して読ませてみましょう。
学校の先生の音読指導って?
学校の授業で、先生方はどのように音読をすすめているか例をしめします。
- 一斉読み(教室全体全員で声をそろえて読む練習)
- ひとり読み(指定の範囲をそれぞれ個人で読む練習)
- 反復読み(先生の読んだ個所を、真似して続けて読む練習)
- 丸読み(一文ずつ順番を交代しながら読む練習)
- お隣同士、4人グループ等で順番に読み合う練習
- 場面設定読み(お話しに出てくる人物の役割を決めて読む練習)
ご家庭でお時間に余裕があれば、「反復読み」や「丸読み」も楽しそうです。
お母さんお父さんと一緒に読んだり、聞いていいてくれるだけで子どもたちの意欲は格段に高まります。
親子で音読を楽しむコツ!学習効果を高める関わり方
ここでは、音読の教育的な効果を最大限に引き出す親御さんの関わり方について解説していきます。
一番陥りやすい関わり方2パターン
- 一つ目は、ながら音読です!お母さんの「○○しながら」の音読チェックは避けたいものです。毎日出される音読の宿題に、お母さんの方も関わり方がマンネリ化してしまうことは良くおこります。
- 二つ目は、サインのみ音読です!学校の音読カードのチェック項目は5つ程度。「声の大きさ」「読む速さ」「、や。」「気持ち」「時間」等です。従って、毎日同じように『◎、◎、◎、◎、◎、サイン」と記入して終わりという程度の関わり方です。時には、お子さんから「音読しといたから、チェックしてサインしておいてね」とこんな会話も多いのではないでしょうか。
お子さんは、このような親の態度・表情・立ち振る舞いの様子を本当によく見ているものです。「音読なんて、適当にやっておけばいいのよ」と親がメッセージを送っているようなものです。
これでは、もったいないことなのでお子さんの能力を開花させる関わり方をまとめました。
1.教科書を見ながら子供と「一緒に」音読を聴く
お子さんが音読に集中させる第一条件は「お母さんがそばにいてくる」ことです。教科書を一緒に見ながら「お子さんの音読に興味をもって聴くこと」です。お母さんのこの雰囲気づくりが、音読の大切さを体で感じるものです。
さらに、「お子さんの音読をお母さんが楽しそうにきいている」と、お子さんの表情も豊かになります。当たり前の話ですよね。例えば、
こんなスタンスはどうでしょうか。
お子さんも、お母さんも音読の時間を楽しんで読むことができるようになるでしょう。
2.「褒める視点」を意識すれば、自然と誉め言葉が多くなる
音読の視点を5つあげます。
- 声の大きさ(ハッキリとした口調で読むことができる。堂々とした発生はコミュニケーション能力の土台になります)
- よく速さ、スムーズさ(内容に合った読み方、ゆっくり読んだりスラスラ読んだりする力)
- 言葉の表現力(楽しそうに読んだり悲しように読んだり、怒ったり笑ったりする表現力)
- 難しい感じや表現(むずかしい漢字や長文等、困難な内容も克服してうまくなったとき)
- 取組姿勢や意欲、態度(前向きに努力している気持ち、心構え、継続している等の努力点)
こんな感じに、その場でよかった点や頑張っている点を肯定的に伝えてください。よき変化に自然と気づくものです。その時が、褒める最高のタイミングです。こんな言葉かけが、音読への意欲を高めたり継続できる力となります。
3.音読の時間は、親子の気楽な「コミュニケーションタイム」になる
音読した話の内容から
と一緒に想像してみましょう。
様子が想像できたらその場面が伝わるような音読の仕方を一緒に考えてみると、ますます楽しんで音読に取り組むことができます。
文章内容について質問や感想等、お互いにしゃべりし合うことで、音読タイムは、親子の触れ合いの時間帯にもなります。そう考えると「15分」程度でも、かなり有効な時間の使い方と言えるでしょう。
特に、小学校低学年の読み物は大変わかりやすく、興味を引くお話もたくさんあります。保護者の方がお子さんの音読を聴くことを毎日楽しみにすることで、その表情や言葉はお子さんにもストレートに響き伝わります。
そんな言葉のシャワーを継続することで「今日もお母さんに聴いてほしい!」「もっともっと、音読上手になりたい!」という前向きな心が育まれるのです。
※挨拶の大切さをまとめた記事です。きっと新しい考え方を身につけられます。


音読の効果とは?小学校宿題の定番になる理由と親子で楽しむコツ まとめ
今回の記事は「音読の効果とは?小学校宿題の定番になる理由と親子で楽しむコツは」というテーマでまとめました。
お母さん方は、日々の家事と育児にお仕事と忙しい中でお過ごしのことと思います。子どもとゆっくり遊んだり話をしたりすることが、本当に難しいと思います。
学校での様子などを気にしていても、お子さんの方から話さないこともあるしょう。
その中でも、音読の宿題という一日のわずか数分を子どもとの関わりの時間を自然と作ってくれます。ポイントは一つです。ながら音読はしない!そして親も一緒に楽しむこと。
子どもは「親は自分のことを見てくれている。音読の時間が楽しそうにしている」と感じることができたら、最高です。大好きな親から見守られ、大切にされている感覚があることで、学校でも友だちと仲良くでき安心して教室に入れるのです。
保護者の方にとっても、音読の時間が子どもとの触れ合いになれば最高です。
「ワダチブログ」では、子育てを応援する関連記事が多数あります。参考にしていただけたら嬉しいです。