この記事は、授業中の児童の落ち着きのなさに手を焼いている先生方に向けて、是非試してほしい「私語をやめさせる生徒指導の新しい考え方と方策」についてまとめました。
小学校、中学校の先生方に生徒指導の新しい考え方と手法を提案しています。
実際に子どもたちに向けて、教室でどんなふうに先生が語るのか「例文」もあります。
私は公立学校の元校長です。先生方や子育て中の親御さん等の子育てを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
今のピンチの状況を授業力向上へのチャンスにつなげる記事にまとめました。お力になれば幸いです。
小中学校で授業中うるさい悩みの解決策!最重要なルールは1つだけ
私語でうるさいクラスの特徴
今の現状はこんな感じでしょうか?
- 先生の「私語等をやめるように」という注意が多い。
- 怒鳴っても、一瞬静かになっても5分もしないうちに話し始める。
- 一人を注意したら「先生、○○は注意しないの?(なんで自分だけ?みんなしゃべっているだろ!)」と指導の仕方に言い返されたりする。
- 友だち同士で注意し合うことができない。(又は、注意し合うことで険悪な雰囲気になる)
- 真面目に授業を受けようする生徒の表情が暗い。
クラスがうるさいと言っても、ほどんどケースが「クラス全員」でおしゃべりしていることは稀。つまり、じっと「耐えている生徒」もいるものです。
先生も生徒も、笑顔が消えてしまっている状態です。仮にこんな状態なら、先生の「静かにしなさい!と注意」しても効果がありません。効果がないなら、いったん注意することを止めることをおすすめします。
つまり、注意しない!
実は、「静かにしなさい」という指導の前にすることがあります。
授業中うるさい悩みの解決策!授業規律を整える:ルールを伝え直す
解決に向けての生徒指導の考え方です。
指導するとは、生徒に「話すこと:言うこと」ではなく、「伝えること」です。
子どもたちに「先生の言葉が理解されること」を目指しているわけです。
つまり、教師は子どもの心に「届けたい」と願うこと。だから「話し方を工夫すること」がプロ教師の仕事です。
今一度、授業のルールを伝えることから始めてみてください。
伝えることは私の想いです。
- 私は、授業を大切にして、クラス全員に学力をつけたいと願っているということを伝えます。
- 私は、おしゃべりをしていることが心配、このままじゃ、学力がつかない。
- 私は、おしゃべりをしていることは、クラスの仲間に迷惑をかけていることをわかってもらいたい。
- 私は、たくさんの人が集まっているクラス、勉強する雰囲気をみんなでつくろう。みんななら、先生はできると思う。
私メッセージを活用します。主語が「私」でお話します。
こんな感じです。
- 私は…(こんな考え方、こんな行動、こんな気づき)が大切だと思う。みんなは、どう思う?
- 私は…○○な状態が凄く心配。こんな力を身につけてほしいと考えているんだ!
- 私は…○○がすごくうれしいです。あったかい気持ちになります。
- 私は…○○が悲しい気持ちになります。残念で仕方がない。
「聞く構えをつくる」この大切さを伝えたい。生徒に「届けたい」願い、「話し方・届け方」をあなたらしく工夫してみてください。
今の現状を「ダメ、ルールを守りなさい」というあなたメッセージから脱し、
「みんなが目指す方向は、○○の方だよ。そこを目指そう。私はそう思います!」と、私メッセージで授業とはどういうものか、何が大切にしているか、先生の想いを伝えることをぜひ実践してほしいです。
しかし、そう簡単に子どもたちは変わらないから、やり方があるのです。生徒指導の考え方を180度大転換の方法です。
小中学校・授業中うるさい悩みの解決策!事実を褒めて授業規律を整える
今までの生徒指導は「是々非々」で「ダメなものはダメ」と、毅然と注意したり、叱ったりしていたと思います。この手法は、間違っていません。とても大切な一手法です。
そんな先生方に、ちょっと試してほしい考え方と手法を提案します。
楽しい雰囲気で授業規律『聞く構え』を整える手法
進め方は二つだけです。
以前の指導法は「できない行動に注目して、注意して行動を修正しようとする指導…ダメなものはダメという指導」です。
今回、おススメする指導は「大切なことを伝え、みんなそこに近づいているよ、その調子でいこう!…良いものはイイという指導」です。
- 第一条件 『聞く構え』の大切な価値を(繰り返し、繰り返し)伝え続ける
- 第二条件 できた瞬間にその都度、「イイね。続けていこう」とニッコリ認める
クラスが、静かになった瞬間をねらってこんなふうに語りはじめるのです。(先生に視線が集まったとき)
第一条件をしっかりと伝えれば、先生が何を大切に考え、何を大事にしているか生徒が理解できます。
しかし、先生が一度話したら、生徒が「みんな共感して理解した」なんてこと、起こらないですよね。でも一方で、一度言っただけで、何人かの生徒は先生の想いを理解しています。そんな生徒もいるのが教室です。先生が、優しく、静かになるのを待っていてください。
静かになって聴く構えが整った時。
以前の是々非々なら、
とお説教になります。
しかし、ここで
前向きによき変化を拾って、言葉をかけ続ける意識をもって、意図的な言葉を子どもたちにかけ続けるのです。
児童のイイ行動に先生が、「ニッコリといいぞ!その調子!」と確実に反応していきます。
「ダメなものはダメ」と叱っている指導より、楽で楽しいしどの子どももうれしいはずです。
意外と、こんな指導法を意図的にしている先生は、かなりの少数派です。念のために、生徒指導に是々非々は欠かせません。
ダメなものはダメなのです。この教えは貴重です。意識するのはバランス感覚です。
何事も「偏り」はいけません。ずっと同じ指導法に固執してしまうのもいけません。
先生方も、よりよく変わっていくことが「成長」です。
先生自身も「変化」に恐れず、前向きに検討してみてください。
この程度のこと、「できて当たり前」にすましている自分がいないか?
是々非々の傾向が強い先生方の陥りやすい傾向に
この程度ことできていて「当たり前」という感覚が強いから、きちんと行動がとれている生徒に「認める言葉がけ」を実践している先生方は少数派です。
- 遅刻しないのは、当たり前
- 授業中に私語しないのは、当たり前
- 宿題やってくるのは、当たり前
- 提出物は時間を守って遅れないようにすることが、当たり前
- 掃除は、怠けずやるのが、当たり前
- 友だちをいじめるなんてとんでもない行為
全部、当たり前に正解?ですが…、大人だってこんな人が身近にいたら、うっとうしくないですか?仮に、教頭先生や校長先生がこんな感じなら…「絶対ついていきたくない」ですよね。
ダメなことをダメということは、間違いなく指導ですが、
こんな話方なら、話す先生もニコニコ、言われた生徒もニコニコ。
期待されている人から、期待されている言葉をいただくのです。人間関係もますます良好になっていくので、そもそも「先生の言葉が子どもに届きやすく」なってきます。
生徒指導とは 叱る事でも誉めることでもなく 先生の伝えたい価値観を届ける行為です。
だから、話しただけ、言っただけは、そもそも「指導した」ことになっていません。
大切な価値観を言葉にして、「子ども」に「届けること」が指導です。「伝わったか!」ココがカギになります。
だからこそ、教師は、伝える工夫をして伝える技を磨き、子どもに言葉を届けてこそ「誇りある教育のプロ」といえるのです。
授業中うるさい悩みの解決策!楽しい雰囲気で授業規律を整える実践例
ココでは、「聴く構えを整える」価値観の他に、どのような価値観を子どもに伝えていくかについて、解説していきます。
よき姿勢を習慣化させる
立腰教育というものがあります。「時を守り、場を清め、礼を正す」という有名な言葉は、教育学者森信三先生という方の言葉です。この先生が「立腰」を大切さを訴えています。
是非、姿勢を正すことに意識を向けてください。
ポイントがあります。
姿勢を是々非々で、「どの生徒も姿勢を正すべきだ!」なんてやったら、生徒も先生も地獄のようになりますよ。
どんなに価値がある事でも、
「いつでも、どこでも、誰もが」なんていう強制はいけません。
指導の進め方は、同じです。
- 第一条件 『姿勢を正す』ことの大切な価値を(繰り返し、繰り返し)伝え続ける
- 第二条件 できた瞬間にその都度、「イイね。続けていこう」とニッコリと認める
ちょっと教室の風景を思い出してください。
いつも先生に注目して、とても集中力が高く、積極的に授業に臨む生徒の様子はどうですか?
こういう生徒って、大方姿勢がイイです。
すでに先生が教えなくても立腰が生徒が2人3人はいるものです。背中が、椅子の背もたれについていない生徒です。
姿勢がよい生徒が、やる気がなくて、私語が多く悪ふざけしている生徒って出会ったことないですよ。
問題は、姿勢が悪いことがいけないのであって、姿勢がイイことの重要性を認識していないこと。姿勢がいい子どもは「普通」なのです。
特別な努力をしているとは考えていません。当たり前が光っているのです。よき習慣はその子の宝です。一生ものですよね。
先生は「姿勢がイイね」と言葉をかけ、「これは〇〇なことで…すごい、いい習慣が身についているね」と褒める先生は少数派です。
なぜ、先生が姿勢に注意が行かないか。
その大きな原因は、指導とは「全員を一律にきちんとそろえること」との意識が強いのです。だから、教師の本能で「姿勢」まで指導に入れたら面倒なことになるのです。
教師のすることは
立腰の価値は省略します。「〇〇さん姿勢がいいねえ」これだけです。生徒の「いいこと」に教師が反応するの大原則です。
できた瞬間にその都度、「イイね。続けていこう」とニッコリと認める。だから、教室が明るくなります。
何事も180度反対側の意見もあることを考えておきましょう。立腰も「健康に悪い…背骨が丸いのが普通…すぐ辞めさせた方がいい」こんな考え方もあります。私には、医学的なことはわかりませんので…常識的な感覚で提案しています。
その他、教室で「イイね」と取り上げたい価値観です。
- 手のあげ方、 「手のあげ方にやる気をかんじるねえ、気持ちいいねぇ」
- 聞きやすいハキハキした声 「ハキハキしていて、気持ちいいね。表現力って大切な力だよね」
- ノートの取り方や文字がうまい‥‥「うまいね。文字を早く、丁寧に、綺麗に書くって結構凄いことだよ、すごいね」
- 話し合いの仕方、相談の仕方が‥‥「話し合いが、うまいね。こういうコミュニケーション能力が高いと、社会に出ても活躍できるよ」
折に触れて、それがなぜ大切なのか話せる先生であってください。ちょっとした身近のよき変化に気づける先生なら、きっとよき人間関係を築けます。
姿勢が悪い、小さな声、身のまわりが乱雑で、文字も乱暴で…悪い面は誰でもすぐ気づくものです。
よき面は小さな積み重ねは、教師側にも、成長を期待して見る目がないと、見えてこないものです。
小中学校で授業中うるさい悩みの解決策!授業規律を整える方法 まとめ
今回の記事は、「授業中うるさい悩みの解決策!小学校・中学校の授業規律を整える方法」でまとめてみました。
今までの指導との180度違い、戸惑った先生方も多いと思います。
今までは、「授業中の私語」は「悪い行動」で「いけません」という指導です。「授業中はみんなもの、私語で迷惑をかけることは許しません。私語はやめなさい!!」
これは、是々非々で当たり前の指導です。なくてはならない指導です。
しかし、生徒指導とはそのような指導ばかりではありません。
ご紹介した手法でいくと、
基本「大切なことをハッキリさせて」少しづつその「よき変化:成果」を「認めていく」手法です。先生の意識を「ダメなことへの気づきから」「よき変化への気づき」への意識変換です。
先生の「ダメに注目する意識から、いいことに意識をむける」習慣が、子どもたちの意識もまた、目指す方向に視線が向くことに繋がります。
誤解のないように、繰り返しお話しますが何事も「バランス感覚」です。是々非々だけでうまくいかない先生は、是非チャレンジしてみてください。
理論は簡単ですが、長年のクセがあります。結構な違和感があるかもしれませんが、生徒指導の力量と対応できる幅が確実に広がります。
参考にしていただければ幸いです。先生方と保護者を応援する「ワダチブログ」には、このほかにもいろいろな手法を紹介してますので、又お立ち寄りいただけると嬉しいです。