学校の先生

新任教師のはじめての学級担任!具体的な手法と考え方で生徒指導力量アップ

初めての学級担任やはじめて教壇に立つ新任の先生の4月は、不安ですよね。ベテランでも4月は緊張感をもってはじまります。

なぜ不安なのか?それは、教員採用試験に合格したからといっても「学級づくり」に特化した技を学んできたわけではないからです。

この記事では、初めての学級担任になる先生や新任の先生の不安に向き合ってまとめました。

今日の記事では、学級づくりのコツを提案します。生徒指導上の考え方と具体的な手法をご紹介します。

私は公立中学校の元校長です。40年間の実践で得た技と知恵で先生方や子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営中です。

この記事で、不安が少しでも解消され前向きに実践を重ねていただければ幸せです。

新任教師のはじめての学級担任!具体的な手法と考え方 Ⅾream can do, Reality can do

先生になって生徒指導上の細やかなテクニックはもちろんあります。しかし、まずしてほしいアドバイスは「Dream can do, Reality can do」…これです。

1 第一に 理想を思い描く

NASAの門に刻まれているという、この言葉。「Dream can do, Reality can do」実は、思い描くことができれば、夢は実現するという意味です。

人類を月に送りこもうと計画された1970年代アポロ計画当時の言葉。世界一優秀な頭脳の集団が、この言葉に一致団結して、夢を実現した力ある言葉です。

私たちが一年間教育に打ち込んで、努力を重ねていくのです。その行き先を知らずに走っていることが、教育の世界ではよくあります。

それだけ、毎日が忙しくやることがあり、それぞれの先生方が夢中で走っているからです。これって、すごくおかしいことですよね。

どこに向かって走っているのか! ここに集中してほしいのです。

子どもたちをどこに導き、どんな力を育てたいのか?私はどこに向かって教育に打ち込んでいるのか?私のクラスは、どんな姿を理想の目指すゴール像にしているのか。

まずこの視点は、ハッキリとさせましょう。

今から50年前に「絶対に月に行く」と、ハッキリ思い描く力が偉業達成の原点です。

2 どんなゴール像が理想か

それはキャリア教育の視点を大切にしてください。

子どもたちの生きる未来は、AI人工知能、人口減少 高齢化、急激な変化を続け、不透明な時代です。その世の中で自分を切り開く、未来の日本人を育てているのです。

「中学校3年間(小学校6年間)いい子でいてください」では、ないですよね。未来に生きる力です。身につけさせたい力です。

グローバル社会の中で英語とともに、卓越したコミュニケーション能力は身につけてほしい力ですよね。このコミュニケーション能力からゴール像を導き出すとこんな表現になります。

●クラス全員の前で(学年全員の前で)堂々と、自分の考えをハッキリとした言葉づかいで話している(語っている)生徒の姿、学級集団の姿。

●発表を温かな雰囲気でかつ真剣に耳を傾けている生徒、緊張を自分のことのように感じ、発表後に称え合うことができる生徒の姿、学級集団の姿。

●自分の意見が言える、安心して言える、馬鹿にした言動や振る舞いがない望ましい人間関係が築かれている学級。確かな表現力と聴く力。

●リーダー等、一人一人に活躍の場を用意して行事に一致団結して臨む。だから、行事が終わったとき優勝できなくても、みんなが笑顔で称え合うことができる学級。

●普段使われている言葉が、あたたかく優しい。「ありがとう」の言葉が大切にされている。とげとげしい言葉やいじめが「絶対にいけないこと」という善悪の考え方が、学級集団全体に流れている。

一例ですが、

ゴールは映像のように思い描けることがポイントです。

この成長した姿の中に、「大人の考え方ができるようになった」これを加えてください。成長を大人の考え方(具体的な多種多様な生き方や価値観)ができるようにすることが、ポイントです。

どんな表情、態度で発表していて、仲間がそれをどのような表情で聴いているか。

映像で思い描くと、鍛えていくべきゴールの理想の姿がハッキリと視界に入ります。

スポンサーリンク

新任の先生の失敗しない学級づくり!具体的な手法

学級担任、学年主任としてゴールがハッキリ見えた。修了式に臨む姿です。

では、4月から実際にどんな考え方で進んでいきか、お話します。

1 伝える力、ゴール像を語ろう!!

 学年主任なら「映像化したゴール像」を学年内の教職員に「伝える」ことがすべてです。

「学年主任の映像」と「学年の先生方の映像」が一致させねばなりません。

この作業の条件が、学年主任自身が夢の理想の姿、身につけさせたい能力を具体的にハッキリとさせてあることが大事です。熱く語ればいいのです。

自分の想いですから、語れますよね。

ここで注意!!!

語って自分で酔っていてはだめですよ。だって、語る狙いは何ですか?それは、自分と先生方の理想のイメージを共通することですよね。つまり「伝える」ということ。だから「伝わったか」がすべてです。

2 鍵はゴールの共通、生徒に伝わっているか?どのように届いているか?先生の仕事って、身につけてほしい大切な価値を、生徒に伝える仕事です。

学級担任も同じです。生徒に分かりやすく伝える工夫を考えてください。先生の仕事は、身につけてほしい大切な「価値を伝える仕事」です。

  • こんな力を身につけられたら、最高! あそこを目指そうよ!
  • こんなことができるクラスにしたいなあ。みんなで作っていこうね。

生徒に先生の想いを届けてください。

学年主任の映像 = 学年内の先生方の映像 = 生徒たちの目指す映像

全部が結ばれるように、年間を通してじわじわと浸透させていくのです。4月にハッキリと打ち出し、毎日毎月、その都度、繰り返し繰り返し、

「わたしたちの目指すゴールは あそこだ!!!」と価値観を伝え続けてください。

失敗しない学級経営をささえる生徒指導の基本方針

1 ゴールに向かって走る生徒の努力の過程を「ほめる」「認める」

先生方ご自身を含めて、人には「ある程度のさこそあれ」心の奥深いところに「認められたい」という欲求を持っていると私は考えています。

学級内で、教職員間で「自分を価値ある存在」として認めてほしい欲求です

しかし、このことはみなさん知っているのです。知識として

「集団を指導する」教師の陥りやすい傾向として、集団からはみ出す生徒。

ちょっと変わった生徒。みんなができるのに、できない生徒。つまり、マイナス面には多くの先生方が気づくことができるのです。

そのマイナス面を早く見つけて、適切に指導支援していく生徒指導には、通常の「共通理解・共通行動」として理解され行われています。

ダメなものは、ダメという毅然とした指導は、ここでは扱いません。重要な柱として、差こそあれ、すでに多くの学校で意識されているからです。

ここでの「誉める、認める」は、

Ⅰ Ⅾream can do, Reality can do Ⅱ 現実に向けての第一歩とはで確認した、私の学級、私たちの学年の「目指すゴール」に向かっている途中の成果であり、生徒の努力する姿であるわけです。

●「よく頑張ったなあ。凄い。(そんなふうにやっていけば、いいと思う)よく努力しました。ご苦労様。」

●「結果はうまくいかない面があったかもしれないけど、このchallengeが凄くよかったよ。こんなふうに、前向きにやっていけばいいんだよ。ご苦労様。」

ゴールに近づく、ゴールにつながる姿に、先生がどれだけ敏感に反応できるかが成長スピードの分かれ目。先生方の意識が高ければ高いほど、自然と言葉かけが増えてきます。

すると、先生方にある変化がおこるのです。

ゴールに近づく、「いい状態」に敏感になり、この状態を認めゴールへつなげていこうとする働きかけの誉め言葉が出てきます。

??????の先生…いるかもしれませんね。実例をあげると、

みなさんの顔が、今日も私に集中しているね。静かに集合して黙って待っていられる。

しかも、先生に怒られるからそうしているのではなく、仲間のリーダーの声にみんなが協力して、今日もまた、集合しています。

この「当たり前が光る〇〇学校の生徒は本当に立派です。みんな、それでいい、続けていこう!!先生はいいことはイイ!!と、言い続けます。

時にはプラス1して、先生の願いは、静かにして聞いいていればいいのではありません。

黙って静かに座っていればいいなんて、持ったないよ。

先生の話の中に、みなさんの成長に何か役立つヒントがあるはずです。よく聞いて考えてほしい。それが願いです。だから、今日も一生懸命に話しますね。

こんな感じで、私は全校朝会等を進めていました。

余談ですが、聞いてもらう、価値を届けることが狙いでしゃべるのです。時間が合計で5~6分ですべてやっています。こっちも本気です。当然ですが、話す時は「事前に原稿を用意」します。当たり前ですが原稿見ながら話しません。

先生って、話すこと自体には抵抗は少ないですよね。だから、話せると思っちゃう。

これ続けていると、話す力は尽きません。限られた時間に、伝えたいことを必死で考え、そぎ落とす。本質だけを残す訓練。是非してみてください。

ちょっときついですけど、「私、話すの苦手なんです」という先生で事前に原稿を用意する人はいないかな。逆はありますよ。話がうまい先生は、事前によく考え、話す準備を入念にしているものなのです。

だから、その先生らしいくて自然。それで、誰にもわかる。

Ⅱの内容ですが、自己満足でしゃべるのではなく、伝える練習を修行してください。

2 具体的な生徒指導の基本の型 8選。

●「集団の空気」「生徒一人ひとり」に関心を寄せ続けて、正確なプロらしい生徒理解に努めること

●生徒指導を働きかけるだけでなく、生徒の声を聴くことが指導という認識をもつこと

●チャンスを与えて。生徒の「活躍の機会を意図的に創造する」学級担任、学年主任であること。

●タイミングよく言葉をかけて認めること

●当たり前を当たり前のままにしない。当たり前が光っていると「それでイイ。その方向で頑張っていければ、成長できる」と認め続ける。

●是々非々、ダメなことはダメと、しっかりと伝える。

●指導しましたは、まだ仕事が完結していない。指導した後、それがどのように生徒に伝わっているのか、どのように届いているのかが仕事である。

●誰の仕事でもないことが、学校にはよくあります。声をかけて一緒にやりましょう。孤立してはダメ。孤立させちゃダメ。

新任教師のはじめての学級担任!具体的な手法と考え方で生徒指導力量アップ まとめ 

先生方の判断力は「今までの経験」です。経験は自信につながります。

ただ自分の経験がすべてではありません。誰もが、考え方にクセがあり、固定観念があります。 その辺を自覚したうえで、謙虚に学び続けてほしいと思います。自信過剰は傲慢になります。

ちょっと「アンテナを高くしていこう」という気持ちだけでもいいですね。

Ⅰ Ⅾream can do, Reality can do では、

「夢を描くことができれば、実現することができる」目指すゴール像を、具体的な姿で映像のように設定しよう。

Ⅱ 現実に向けての第一歩とは

しっかりと「伝えよう」、具体的に思い描くことができれば、しっかりと語れます。学年主任の想いが学年職員に伝わるよう、ゴール像の共有を徹底しましょう。ゴール像とは生徒の成長した姿のことです。できるようになった力。身につけた考え方や態度です。

学級担任も考え方は同じです。ご自身の想いを生徒に伝わるように、語り続けてください。先生の1年間を通した「柱」は、ジワリジワリと生徒の心に浸透していきます。生徒の成長への意欲は高いのです。

Ⅲ 生徒指導の大黒柱となる基本方針

 ゴールに向かって走る生徒の努力の過程を「ほめる」「認める」を基本に示しました。

具体的に8選示しました。参考にしてください。

結びに 経営と運営の違いを話します。

B級グルメのイベントを●●の狙いをもって、どこどこで開催しよう。きっとこんな効果があるはずだ。…これを考える人が経営者。

このイベントを実際に開催するまでには、出店の決定等、様々な手続きや諸団体との打ち合わせ、交通安全、健康、衛星、警備等々のすべてがうまくかみ合ってイベントが成功するわけです。これは運営です。

学校に当てはめると、学校づくりのおおもとを考える最終責任者が校長。だから、校長は学校経営をしているのです。その目指す学校づくり実現のために教育課程を管理し、先生の仕事をつなぎ、外部と連携をして実現に向けて一致協力して進むわけです。これが運営。学校の運営のトップは教頭先生です。

なぜ、学年経営というか。なぜ、学級経営というか。

経営と聞くと管理職の仕事のようでなじみがありませんね。しかし、どんなクラスにしたいのか、どんな学年にしたいのかは、学級学年のおおもとでスタート地点です。ここで、目指す方向を決める作業は、まさしく経営です。

経営をしてください。自分の理想をハッキリさせ、教育活動を進めていく。やりがいのある仕事です。

ここまで、読んでいただきありがとうございました。

書ききりませんので、次号に学級経営・学年経営のツボを継続して書きます。よろしくお願いいたします。

 

https://wadachiblog.com/s-equation/

引き続き、教育のワダチブログ。中学生に贈る5分間生き方授業お母さんお父さんへの子育て応援をするワダチブログです。