中学生と向き合い教育実践を積み上げる先生方に、具体的に考え方と手法を提案します。先生方の力量アップを応援するワダチブログです。
この記事は、自分では気づかない先生方の陥りやすい「無意識」の罠について書きました。
罠って、自分だけの思考パターンと意識のことです。
意識って、「すごく意識している」と「まったく意識していない」という感じで
100点満点と0点という感じで、ふり幅が大きい傾向がありますよね。
「無意識でしていた」なんて、怖くないですか?
今日のねらいは、先生方が自分自身を振り返る視点をつかんでもらいたいと考え記事にしました。自分の思わぬクセや傾向を理解することで、事前に見直せるようになっています。
教師の思考転換で生徒指導力量アップ!変わった子の罠
植松努さんは
従業員20名ほどの会社の社長さんです。ロケット開発をしています。宇宙に似た無重力状態を地上で再現できる、世界に3つ(NASAとドイツと植松さん)しかない実験装置をもっている凄い会社です。
植松さんは 小学校からずっと、「ずっと変わった子」だと、思われていたそうです。まわりから「ちゃんとしなさい」
と言われ続けて、育ったそうです。
著者は、平易な言葉で語っていますが、教育の本質を鋭く内容に
私は、ドキッとしました。以下引用します。
僕には大好きなおじいちゃんがいました。
大きくて優しいじいちゃんでした。じいちゃんは僕を大切にしてくれて、いつも一緒に遊んでくれました。
そんなじいちゃんとの一番の思い出はアポロの着陸です。
三歳だった僕は、じいちゃんの胡坐の中でテレビをみていました。でも僕の記憶にあるのは場面ではありません。
❛じいちゃんです❜じいちゃんが見たことないほど、喜ぶのです。
「ほら見ろー、ほら見ろー、人が月に行ったぞって。お前も月に行けるぞーっ」て、喜んでいるのです。
こんな笑顔は見たことがないと思いました。
僕はその笑顔がもう一回見たくなり、本屋に行って飛行機やロケットの本を手にしたり、飛行機やロケットの話をしたりするようになりました。
すると、じいちゃんはいつも喜んでくれて、でっかい手で僕の頭をなでてくれました。嬉しかったです。
僕はきっとじいちゃんの笑顔が見たくて、知らないうちにロケットとか飛行機が好きにあったのだと思います。
『空想教室』
小さな子どもの感性…みなさんは、どうお感じになりましたか?
いつも一緒にいる 僕を大切にしてくれている祖父の愛が、植松さんにしっかりと伝わっています。
おじいちゃんが、見たころもない笑顔で喜んでいる姿。何かを感じ
おじいちゃんの笑顔がもう一度みたいと、勉強を始める植松さん、おじいちゃんはでっかい手でなでるのです。愛情あるまなざしで。
私は、ここの表現にショックでした。さらに続きます。
みんなが、ラジオ体操している中、一人だけ砂に絵を描いていたので、通信簿には「集団行動ができない」「落ち着きがない」「忘れ物が多い」「服がいつも後ろ前」と書かれていました。
そんな僕に、近所のおっちゃんたちは、やさしく教えてくれました。「よく見てごらん。この世にあるもの全部、誰かが作り方を覚えて、作ったものなんだよ。」そう言って、おっちゃんたちは、目の前で実際に作ってくれました。
だから僕は、その言葉を信じてしまったのです。
この文章は、私が現職の頃、先生方に校長だよりで紹介しました。
なぜ、先生は「できないこと」に、目を向けるのだろう?
なぜ、植松さんは、教育のプロである教師の言葉ではなく、おっちゃんたちの言葉を信じたのだろう?
なぜ、おっちゃんたちは、植松さんにやさしかったのだろう?
学級担任は、毎日30人余りの生徒たちと生活をしています。
指導しなければならないことも、たくさんあります。事件もおこります。
近所のおっちゃんたちのように、植松さん一人がたまに遊びに行く状況と、全く違うことはわかります。
でも、私たちは教育を一生の仕事としている「プロ」です。専門職として、教育の仕事に誇りをもっています。
なのに「集団行動ができない」「落ち着きがない」「忘れ物が多い」「服がいつも後ろ前」・・・なんで、
できないことだけに、目が向いてしまうのだろうか。
ちょっと、変わった生徒いませんか。
教育熱心で、毎日子どものためにと働いている先生方、ご自身の心の中に無意識の罠がありませんか?
教師の思考転換で生徒指導力量アップ!学級担任が頭の中に入れておくこと
学校は、集団生活をしています。すべての子どもたちに「同じように」指導する平等・公平性を大切にしています。
さらに、集団がゆえに
みんな同じことを、早く行動し ちゃんと 全部を 求める傾向がおおいです。
夏休みの課題は、2学期早々から、「部活より、宿題でしょ」と、残してしっかりとけじめをつけさせますよね。
遅刻、交通安全等の指導、清掃給食の当番活動等々、できていなければやり直しという感じですかね。
まさか、「こんな指導が悪い」ということを言いたいのではありません。
ここで確認したいことは、先生が望む指導を、約束事を「きちんと守りしっかりとした基本的な生活」ができる大部分の生徒たちの集団と
「それが、全くできない」一握りの生徒に 分かれるということです。
できない生徒たちは、「いつも注意され、できないこと」で、目立ちます。
「多数派は」いつも先生の指示を、「しっかりと守って生活をしている」そうした意識と自覚があります。 こちら側から見ると
「いつも先生から注意され続けている」一握りの生徒は、「できない」特別な生徒をみな知っています。
この特別視に。先生の言動が加担しないよう十分に気を付けてください。
「また、お前か~」 「何度いったらわかるの~」「昨日、言ったでしょ!」
みなさんの学校では、こんなフレーズよく耳にしませんか?
私の見解。先生方は、生徒から見られている存在だ ということを自覚してください。
30人学級なら、29人の子どもたちが 鋭い感性で先生の本質を見抜きます。先生の「できないことを指摘する言葉」に、
先生の「まなざし」に
先生の「声の調子 表情」に
その生徒へのやさしさや温かさが あるか…ないのか…
違ってみんな、いいんだ!十人十色の楽しさ凄さ…伝えているか
生徒指導力量アップの鍵! 指導の本質は「生徒の心に届いたか」に表れる
愛がないと(先生方は愛があるに決まっているでしょと、言われるとおもいます。私も愛のない先生がいますなんてこと、失礼過ぎて言えません。)
教師の罠
問題は、先生の愛があるかないかではなく、先生が指導したそのアクションが
◆生徒にどのように伝わっているのか、
◆生徒が、どのように感じたか、
◆周りで聞いていた「いつもちゃんとしている生徒たち」に、どのように届いているのかが、すべてなのです。
先生方の愛がたりないという話ではありません。(先生の情熱を疑っているわけではなくて)それ以上のチェックポイントはどんな言い方をしているか
先生の視線、表情 声の調子 立ち姿 腕を組んでいるのか、手をポケットに入れているのか、
生徒指導の鍵は 言葉を大切にあつかうことです。何をしゃべるかも大事ですが
誰が、どんな言い方をしているかが、鍵なのです。
だって、指導って生徒に分かってもらいたくて指導するのですよね。
だから、先生の指導が、その生徒にどんなふうに 伝わっているのだろうか?
私の指導は、私の言葉はこの生徒に 届いているのだろうか?
今、先生の前にみんなが、ラジオ体操している中、一人だけ砂に絵を描いているような生徒がいませんか。
植松さんは、社長さんになり、自分らしく堂々と自立しています。
先生の想いが、生徒にどのような理解で届いているかが、勝負の分かれ目です。ここがプロの技です。
読んでいただき、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。
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ワダチブログでは、「中学生5分間の生き方授業」を掲載しています。先生方の指導の参考になると思います。