毎月の全校朝会での校長講話、
どのような手順でネタを考えでお話をされているのでしょうか?校長先生になられてしまうと、他の校長先生の朝会のお話なんて聞く機会もありません。
この記事は全校朝会での話ネタを紹介します。校長講話のささやかな実践記録(例文)があります。せっかく校長になったのですから、自分らしく“大切にしている想い”を語りたいものです。
私は公立中学校の元校長です。今思えば「もっと、○○しておけばよかった」という想いも多々ありますが、「自分らしく語ろう」と心掛けてきた心構えと効果的に語るポイントをまとめました。
校長先生方の“自分らしい講話つくり”の参考にしていただければ幸いです。
全校朝会の話ネタ!校長講話(例文)の心構え
1.全校朝会の「講話時間」
講話の時間は、おおよそ約7分以内と決めていました。朝の限られた時間ですので、生徒が集中して聴ける「短く簡潔にまとまった講話」を心掛けました。
その時間内で、「どのように効果的に伝えるか」を考えるわけです。大枠はいつも決まっているわけですから、内容の精選に集中しやすくなりました。
言葉の分量はA4で1枚程度です。事前に原稿に書き出し、推敲して内容を吟味しました。
2.校長講話の重要性の認識と心構え
全校生徒は約400名です。全体に向かって話すのではなく、一人一人に向かって語るような話し方を心がけました。
仮に「一人ひとりに7分の時間」を使って話せば、400人×7分=2800分です。実に46時間40分にもなります。
この事実を校長(教師)は、
「話すこと=校長の重点責務(役割・仕事)」として自身の話術と真剣にむき合わなければと考えていました。
校長には「朝会で何を話そうか」ではなく「わたしには生徒に伝えたいこと、語りたいことがある」の姿勢が求められます。
3.全校朝会の校長講話のねらい
- 一つ目は、生徒にはキャリア教育の視点から「生き方・考え方」に係る「キーワード」を繰り返し言葉にして伝えていました。
- 二つ目は、「校長は生徒に向かって何を語るか!」私の場合は、校長講話聴く「教職員を意識」していました。校長は、何を大切にしているのかを意識して子どもたちと教職員に伝えようと考えていました。
4.全校朝会の話ネタ!校長講話の主なキーワード
- 楽しい学校と成長‥‥楽しい学校をみんなでつくる、でも楽しいだけでは物足りない。成長できるから楽しい
- 人のせいにしない‥‥自分は自分の人生の主人公、人のせいにしていては成長できない
- 自分から‥‥イヤイヤやるのはもったいない、何ごともイヤイヤやるのではなく「自分から」が大切
- 目指す学校経営上の言葉から「みなさんが卒業するとき、○○中学校の生徒でよかったと、心から喜び合える学校にしよう
- 自治の力‥‥自分たちの学校は自分がつくる
- 自由は「自らを由(よし)と読む」‥‥自由は何でも自分勝手にできる言葉ではない、自分らしい責任ある行動のこと
- 私は良い行動には「良いことは良いと」何度でも言い続けま自分の命は自分で守る
4.全校朝会の話ネタと話し方の工夫
- 具体的なよき考え方と行動、言葉の紹介(壇上でその字を示しながら)、生き方に関すること
- こんな学校にしていこう!
- こんな力が大切なんだ!
- こんな考え方をするといいよ!
- こんなうれしいことがあったんだ!
- 校長として「どんな学校を目指しているのか」「どんな生徒を目指してほしいのか」自分自身が「大切にしている想いや考え方」を語っていました。
- 季節にからめての話や「良いことは、よい」と続けてほしい行動には全体で「何がいいのか」具体的に「認める言葉」を添えました。
- 命を守る行動の大切さは、ことあるごとに触れていました。お母さんが家を出る時子どもに向かって、「行ってらっしゃい、車に気を付けるのよ!」と言うかのように繰り返し繰り返し伝えていました。
全校朝会の校長の話ネタ(例文)と効果的に語るポイントと内容
1、効果的な語るポイント
日常の生活の中での出来事(事実)を語ります。その中に「行動」に「成長」を認めよき考え方、生き方へつなげる「価値観」を素直に事実と感動した想いを語ります。
2.全校朝会での校長講話の例文
テーマ:修学旅行中のうれしかったこと 6月5日全校朝会
今日は二つのお話をします。一つ目は
修学旅行中のお話です。3年生と一緒に生活していて「成長しているなあ」と実感した場面を紹介します。
1 修学旅行最終日、京都から新幹線で東京駅に到着し、クラス毎にバスに乗って学校までの帰り道、バスガイドさんが「何か音楽でも聴いていきますか?何か用意してある人いますか?」
するとある生徒が「これお願いします」とCDを渡しました。音楽が流れた瞬間、校長先生は「ある違和感」がありましたが黙っていました。すると、数秒ほどしたら、CDを渡した生徒がガイドさんにこう言うのです。
「ガイドさん、ボリューム下げてください。」と、「どうしたの」と周りが聞くと、「みんな疲れているから、寝て帰る人もいるから」と言うのです。
自分だけの楽しみなら、好きなアーティストの作品を大きな音で聞くことは最高かもしてないけど、集団の中で、修学旅行の帰り道という場面では、自分だけの楽しみより優先しなければならないことが、当然あり、それを瞬時に音が大きいなという「感性」が働いたのです。
「成長」とは、勉強ができるようになったり、知識が増えることだけとは限りません。先生は、さすが三年生と感じました。
「一人のわがまま、みんなの迷惑」という言葉を覚えておいてください。
「一人の心遣い、みんなの笑顔」ですね。
そのほかにも、風邪をひいて熱が出てしまって夜「病院」に行った生徒もいましたが、「~君は病院にいったのですか?」「大丈夫かな?」と気遣っている生徒がたくさんいました。
脱いだ後のスリッパを誰かに言われる前に自分から“そっと揃える”生徒がいたりと、たくさんのうれしい場面に出会えたことをうれしくおもいました。
3年生は立派に成長していますね。
この出来事も嬉しかった出来事です。最終日の京都の清水寺でのことです。
集合時間、15分前から激しい雷とバケツをひっくり返したという表現がぴったりの凄い雨にあってしまいました。
1組の生徒達はその時点で戻ってない生徒は4名ほど、まもなく4人がかけてバスに滑り込んで全員集合。ところが、2組はまだクラス半数がバスに戻っていない状態でした。私は「こればまずい!危険だ」と感じました。
そんなとき、担任の○○先生が、大きな雷の音と激しい雨のなかに飛び出していきました。私はうれしかったです。先生でも雷にはかなわないね。
でもそうしなければいられない。先生のその気持ちはわかります。運動会で、必死に皆さんを応援している先生方を皆さんはしっているでしょう。
先生はみんなにとって耳の痛い「注意」をよくするかもしれません。でも、それは皆さんを心から思っているからであり、期待している心からの言葉であることをわかってほしいなあと思います。
二つ目の話は、
サッカー全日本の前監督、岡田監督の言葉です。岡田監督はよく「 our team 」という言葉を選手に言っていました。
「選手みんなが自分のチームという意識がない」と感じたそうです。「このチームは誰のチームでもない。
俺(監督のチームでもない。お前ら、一人一人のチームなんだ」ということ、これが一番大事といいます。
そこで岡田監督は良く選手に「村祭りのお酒」という昔話をするようです。こんなお話です。
○ある村では「収穫を記念して夏祭り」をするのですが、その祭りでは 祭の始まりは「お酒の入った大きな樽を、みんなでパーンと割って」からお祭りがスタートするのが恒例だったそうです。
ところが、今年はお酒がたりない。このままだとお祭りができないと大問題になりました。するとある人が「みんなが家からちょっとずつ1杯のお酒を持ってきて、樽に入れたらどう?」と提案しました。
みんな一杯なら賛成し、大きな樽はいっぱいになりました。事件はここで起こります。当日パーンと樽を割って、みんなで「乾杯」と言って飲んだら「水」だったという有名な話です。意味わかった?
みんな「俺一人くらい水を入れても分かんないだろう」と思っていたんです。
「俺一人ぐらい」という考え方、チームでもそういうことはあります。
みなさんの学級、この○○中学校には、「俺一人ぐらい‥‥してもわからないだろう」の考え方がありますか?
皆さんは一人一人が、自分の学級、そして、私たちの先生、私たちの学級/学年を意識したとき、笑顔あふれる○○中学校が生まれると思います。
・修学旅行の3年生の成長したお話、
・先生方の想い
・村祭りのお酒の「俺一人ぐらい・・・してもわからないだろう」のお話
今日の一見ばらばらのお話しを合体させて、自分なりに答えをだしてみてください。
全校朝会の話ネタ!校長講話(例文)の心構えと効果的に語るポイント まとめ
今回の記事は、「全校朝会の話ネタ!校長講話(例文)の心構えと効果的に語るポイントを解説」でまとめてみました。
今回は私が校長としてこだわった、「目指す学校像、生徒像」と「生き方・考え方」を伝えてきた実例をご紹介いたしました。
皆様方が、校長として「何を大切にしているのか」その思いや価値を、自分らしい表現で伝えていくことへのわずかながらでも参考になれば幸いです。
先生方や子育て中の親御さんと中学生に向けて応援メッセージを送る「ワダチブログ」を運営しています。また、お読みいただけたら嬉しくおもいます。