家庭生活中心の長い夏休みが終わり、学校での集団生活が再開される2学期始業式。
子どもたちは、学校の再開を楽しみにしている一方、不規則の家庭での生活環境から規則正しい集団生活に不適応をおこす生徒もいることでしょう。
この記事では、2学期始業式に校長から全校生徒に語り掛ける挨拶について「話のネタや伝え方」について提案します。
私は公立中学校の元校長です。子育て中の親御さんと先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
校長式辞の考え方は、小中学校共通です。実際にお話した式辞から「指導内容」についてご紹介しています。参考にしていただけたら幸いです。
中学校始業式2学期の挨拶例文!学校のベクトルをそろえる校長式辞
それでは、2学期始業式式辞の冒頭部分から紹介いたします。
一貫して伝えたい価値観は何か?一例:安心安全な学校
年間、始業式や終業式、修了式の学校行事で5回。毎月の全校朝会等で10回程度。その他、体育祭や文化祭、各学年の教育活動等での話…校長には年間20回程度のメッセージを伝える機会があります。
せっかくの機会ですので、校長として直接子どもたちに語り掛ける内容には、一貫性を持たせたいと考えていました。
私の場合は、
子どもたちには「自分の命は自分で守る(正しい知識を得ることと、的確な判断、日常の健康完全への配慮、交通安全、熱中症等)」を繰り返していました。教師側なら「子どもの命を預かっている感覚」を意図的に発信したいのもです。
その他、
- 集団全体への呼びかけには「自分たちで学校つくる自治意識」
- 生徒一人一人への呼びかけには「生き方指導、自立」に重きを置く校長でした。
「日本国中に視点を移せば子どもたちの命が失われてしまった事故が起こっています。その現実に目を背けてはいけません。大切な命についての話題を繰り返し発信していました。
夏休み後半、広島で起こった記録的な大雨そして土石流。多くの犠牲者を出しました。みなさん、このニュース知っていますか?
この災害の犠牲者の中には、人生これからという小学生や中学生、高校生もいます。このようなニュースを聞く度に、被害を受けられた子どもたちはもちろん、ご家族の悲しみはどれほど大きいのかと胸が締め付けられます。
こうして、みなさんがそろって始業式が行われることに、心から感謝の気持ちがあふれてきます。
「全員がそろう」という、このような「当たり前」が、実はものすごく「ありがたく」幸せなことなのだと、改めて気付かされます。
それでは、具体的な話の内容です。
中学校始業式2学期の挨拶例文!指導項目を二つに厳選(テーマは生き方:自立)
始業式2学期の挨拶例文!学校のベクトルをそろえる校長式辞を目指します。毎回、具体的に二つの指導項目をあげて、お話しをしていました。
さあ、今日から2学期、1学期の努力を基礎にして、大きく成長し飛躍の時です。
自分の成長を考えるとき、始業式という区切りある日を大事にして、心を入れ替えて「自分を変えよう」という気持ちになります。
今日は皆さんに「心を入れ替えて頑張ること」について、具体的に二つお話しします。
プラスする前に「自分は○○しない」と省く(はぶく)ことを決断
一つ目は、心を入れ替えるには「反省」が大切です。
でも、みなさんは「反省しなさい」って言われたことあるでしょう。聞きなれた言葉で、あんまり好きな言葉じゃないかもしれませんね。
今日から2学期が始めるわけだから、「今までの反省を生かして」「よし2学期頑張るぞ!」と目標を立てて前向きな気持ちになっているでしょう。
その時、多くの人は「自分に新たなものをつけくわえよう」と目標を持ちます。つまり、目標は何かを「付け足す」ことになります。何かを付け足して頑張るって、とても大切だけど、続けるのって結構大変ですよね。
今日は「付け足す」前にしてほしいことを教えますね。
反省の「省」の字に注目します。「省」は「省く(はぶく)」と読みます。付け足す前に、「何かやめてみること」を考えて見て下さい。
例えばこんな感じに考えてみよう
こんな感じで、何を省くか生活を振り返ってみましょう。
自分で自分の生活時間をコントロールする、これができたらすごいです。これが一つ目の実践目標です。ぜひチャレンジしてみてください。
次に二つ目です。「心を入れ替える」とは「言葉を入れ替える」ということです。
みなさんが大きく成長するには、日ごろどのような言葉を使っているかがとても大事な視点です。
例えば、努力をする前に
こんな自分の可能性を否定するような言葉は使っていませんか?「どうせ無理!」っていう言葉は、そもそも努力をする前に勝手にあきらめているよね。
こういく自分をバカにしている言葉は、2学期からは使わないって自分で決めることです。
また、
等仲間の人格を否定して、小ばかにする言葉を使っていませんか?こんな言葉を使っていては、教室が楽しいわけがありません。
相手を傷つけ、自分自身の可能性や良心もバカにする言葉を使っていては、皆さんが目指す立派な大人になれません。
「目標」「希望」を持つとは、よき言葉を持つと言えます。なりたい自分を言葉にして表現して下さい。言葉の力は偉大です。前向きな力強い言葉を大切にしてください。
そんな素晴らしい言葉が習慣化していけば、人はその通りになります。心を入れ替えて頑張るとは、普段から前向きなことが使って頑張ろう!
悪い言葉は使わない!「2学期からは、よい言葉に入れ替えよう!」 これが二つ目の実践目標です。
「生き方や考え方」に関する話題を語り続けてきました。
中学校始業式2学期の挨拶例文!校長式辞 まとめの部分
まとめの部分も、学校経営上の大切するキーワードを盛り込んでいます。
目指す生徒像に「感謝できる生徒」を掲げています。普通は「感謝されるような人になろう」かもしれません。しかし、感謝されるかどうかは「相手側の受け止め方の問題」です。
自分自身が「有り難いと感じる感性」を磨き、謙虚に仲間と共に学び続ける生徒を思い描き「感謝できる力」の育みを目指しました。
●●中学校では、「ありがとう」という言葉を大切にしていまよね。
何故大切にしているかと言えば、つまり、「ありがとうの言葉」が皆さんを大きく成長させることができると考えているからです。
私は、素直に「ありがとう」を伝えることができる人は、周りの人に優しくなれるし、謙虚に自分のやるべき役割をやり通すことができると考えています。
「ありがとう」を言えるには、自分が受けているたくさんの「ありがとう」に気付く必要があります。
身近なことへの「ありがとう」を感じられれば、その態度は行動に表れる。
お互いの存在を感謝しあえる学校、やさしい言葉があふれる学校、誇りある「文化」がこの●●中学校にあれば、自然と人は自分を変えて成長していくのです。
母校への誇りは人からプレゼントされるものではありません。一人一人がお客様でない、学校づくりの主役として活躍し、大切な●●中学校生徒として自覚と誇りが芽生えてくるのです。みなさんの2学期の大きな成長に期待しています。
このようなメッセージは、校長にしかできません。せっかく校長になったのですから、のびのびと素直に子どもたちに語り掛けましょう。
当然ですが「校長は何を生徒に語るのか」先生方は、耳を傾けています。
中学校2学期の校長式辞の「話し方と伝え方」の工夫
主に6つの視点から「話し方・伝え方」の工夫を意識していました。
- 講話時間は6分~7分です。中学生には、短くもなく長くもない時間と思います。全校朝会の話も卒業式の式辞もこの時間を意識して、自己添削していました。
- 語りかけるように話しますので、原稿は全く見ません。(話すことに慣れている自分に奢らず)毎回、事前にA41枚の原稿にまとめて用意していました。
- 積極的な生徒指導とは、言葉を丁寧に「生き方の価値観を伝えること」です。色々なキーワードを「手にもって示しながら」話すこともあります。
- (例文には省略しましたが)各学年には、視線を移しながら一言ずつ「キーワード」で、2学期の目標を呼びかけて話をしています。
- 聞き方、聞く姿勢については整った学校でした。「(聞く態度)いいのもは、いいね」と、毎回その価値にふれて話にはいっています。
- 全校朝会や式辞、学校だよりや学年行事の原稿には、校長の示す学校経営の柱である、目指す学校像や目指す生徒像は関する話は頻繁に登場します。
中学校始業式2学期の挨拶例文!校長式辞の話し方と伝え方の工夫 まとめ
今回の記事では「中学校始業式2学期の挨拶例文!校長式辞の話し方と伝え方の工夫 」について、まとめてみました。
当たり前のように設定されている「校長講話」
マンネリ感は危険です。話すことが目的ではありません。
せっかくの機会を思う存分に校長として「自分らしく表現」したいものです。何の決まり事もありません。自分自身の教育信条、学校経営観の下、自身の責任で述べていくことができます。
この記事の中に、何かヒントになる考えが芽生えましたら幸いです。「ワダチブログ」では、色々な記事を掲載しております。お読みいただきありがとうございました。