と、いつも褒めて子育てすれば本当に“いい子”に育つのでしょうか?
こんな悩みをもつ子育て中のお母さんお父さんに向けてまとめました。
褒めることの本質に迫りますので、幼稚園保育園の小さなお子さんから小中学校の子供まで基本的な接し方の基本が理解できます。
この記事では、主に次の4つの視点から解説しています。
・「褒めて育てる言葉:さしすせそ」の期待される効果
・「褒める子育て」の懸念される弊害とは?
・正しく「褒めて育てる」コツ6選!
・正しく「叱る子育て」の一工夫の実際
※最近は「褒めて育てる」効果ばかりが注目されているように感じます。親御さんが鵜呑みした子育てには弊害も付きまといます。この記事を読んで「正しく褒めるとは」の本質がわかり、「褒める子育て」への疑問点や違和感をスッキリと解決します。
褒めて育てるは正しいのか?期待される効果とは
子どもを褒めて育てる子育てには、多くのメリットがあります。
詳しくは、※正しく「褒めて育てる」コツ7選!で解説します。ここでは、褒めて伸ばすメリットに3つに縛ります。
- 自己肯定感を高まる
- 自信をもってチャレンジできる
- 親子の信頼関係が深まる
タイミングの良く親から「褒められること」で、子供は「親がいつも“自分のこと”を見ていてくれる」と感じるものです。“自分のこと”とは、「自分の成長」のことです。
おこさんの成長とは何か
- 自分が思い切りチャレンジしたこと、諦めかけたけど続けられたこと等、努力の過程
- 前はできなかったこと、気づけなかったこと等が、○○できるようになった、大人の考え方ができるようになった。
- 自分は意識していなかったけど…最近は自分にとって成長につながると○○について、意識して生活するようになった。
このようなよき変化を、親は私をちゃんと見ていてくれた。自分の成長を認めてくれて、一緒に喜んでくれた。これが褒め方のコツです。
褒めて認められることで親子の信頼関係が深まり、良好な親子関係が築けます。子供にとって自分を肯定できて心にやる気エネルギーが溜まります。そして、前向きに挑戦する気持ちを持つようになり、やってみようと一歩を踏み出す勇気が生まれるのです。
大人でも、認めてくれた相手に対して信頼が高まるからです。親に認められるとは、子供は安心し自信をもって前向きに挑戦する気持ちを持つようになります。
- つまり、褒めるとは、心からお子さんを認めるということです。
- 褒めるとは、お子さんの成長を喜ぶということです。
- 褒めるとは、お子さんの心に親御さんの言葉を届けるということなのです。
このポイントを理解したうえでご紹介する「褒め言葉:さしすせそ」です。
褒める言葉「さしすせそ」とは?
褒め言葉「さしすせそ」とは?
子どもを伸ばす言葉「さしすせそ」とは、これです。
- 『さ → さすが!』
- 『し → 上手だね! 知らなかった』
- 『す → すごい! 素敵だね 素晴らしい』
- 『せ → 正解! 成長したね センスがいいね』
- 『そ → そうだね その通り!』
こんな言葉を自分の中で準備しておきましょう。何事も「意識」しないとなかなか言葉はでてきません。自然に褒め言葉がでてくることが鍵です。
褒め言葉を効果的に伝える工夫とは?
ポイントは言葉自体にパワーがあるのではありません。「さしすせそ」の言葉の伝え方なのです。
- 何が凄いのか、何が価値あることなのか、具体的な言葉で褒める
- 結果だけでなく、取り組みの過程や努力や頑張ったことを褒める
- 子供の日常的に素敵な言動(当たり前が光っている。良い習慣を身につけている)を認めで誉め言葉を添える。
この3つのポイントを押さえれば、褒め言葉がしっかりとお子さんの心に届き勇気づけられるのです。
褒める子育ての懸念される弊害とは? 鵜呑み子育ての危険性
褒めて育てるは万能ではありません。言葉尻だけ信じることは危険です。
褒めて育てるで懸念される弊害1
簡単なことで日常的に褒め言葉をつかっていると…お子さんは褒められることに慣れてきます。慣れるとは自分の中で“当たり前”になるということです。
“日常的に褒められることが当たり前”の感覚が、厳しさある社会人になったとき、どれだけ本人を助ける力となるのでしょうか?
ここで「褒められて育てられた子ども」を仮に、「叱られることに慣れていない子ども」と置き換えて考えています。こんな弊害もでてきます。
新しいことに挑戦することが苦手になる傾向もでてきます。普通、褒めていると自信がついて前向きになりそうなイメージがありませんか?
褒め方次第では、「失敗できない」「失敗は嫌」と挑戦にはしり込みすることもあります。ましてや、うまくいくかどうかわからない何問題に立ち向かおうとするはずがありません。
褒めて育てるで懸念される弊害2
叱られ慣れていないため、壁にぶつかると、その事実を心で受け止めることができない。すると…
自分の課題に素直に向き合えず、自省ができない。人のせいにするか反発する
叱られた経験が少ないため、一人反省する機会や自身の行動を振り返る機会が少ないのもバランスを欠いた子育てです。
自省の機会が少ないと、
・うまくいかない問題に対し「人のせいに」にしがちです。
・叱られると「注意された」と認識するため、感情的に言い訳したり反発したりする傾向があります。
成長の過程とは、自分の言動を思い返して「どうすれば、良かったのか…」と自省する時間が大切です。
私は、校長時代中学生に「人のせいにする考え方をしているうちは成長できない」と言い続けました。実はココが、生徒指導の本質的な部分なのです。目の前の課題を自分の問題として立ち向かうか、誰かのせいにして放置するか諦めるかの違いは大きいと思いませんか?
「褒める」ことは人の効果に期待される効果もありますが、偏りはいけません。叱責を受けないまま成長すると、ストレス耐性が低下してきて、打たれ弱くなります。
すると将来必ずある「壁」にぶつかった時、困難な状況を正面で受け止められず「人のせい」にします。
大人の世界でも、
こんな考え方になりがちです。
自分自身の良くない部分と向き合わないので、成長の見込みがありません。褒める子育ての弊害といえます。
大変あいまいな表現ですが上司の「ちょっとした」注意がきっかけで、落ち込んで仕事が手につかなくなったり、ムッとした表情で言い訳したりする新人、逆ギレして「傷ついた」「パワハラだ」と騒ぎ立てる。傷つきやすさが最近は、際だっているのです。
その反面、ひどいパワハラやセクハラなど社会問題が深刻さを増しているわけです。
褒めて育てるで懸念される弊害3
ほめられ続けた子どもは「ほめ待ち」になってしまうことも懸念されます。さらに、褒め方を間違えると人を見下すようになります。
子どもをほめるときに、他人と比較するのは避けましょう。
などとお友だちの評価を下げたり比較する習慣は、厳禁です。
お子さんは、恐ろしいほど親をよく見て似てくるものです。親の思考は、子どもにしっかりと映るものです。映るという漢字がピッタリなのです。
親が結果だけで判断して褒めていれば、いつもお友だちと比較して褒めていたら…努力の過程ではなく結果がすべてと教えていることです。相手を見下す悪い習慣がついてしまったりします。
褒めて育てるは正しいのか?正しく「褒めて育てる」コツ6選!
ココでは、次の「褒めて育てる」コツ6選を紹介します。
1:「結果に注目する褒め方」から「努力した取り組み過程を褒め方」へ
褒め言葉が自然と出てくる場面とは、お子さんの“いい結果”がでたタイミングでしょう。
子供は鏡です。あなた自身を映します。親の考え方の影響を受けやすいということです。結果だけに反応すると、結果だけ重視する価値観が植え付けられます。
仮に良い結果が出た場面では、お子さんの「生き方」に係る価値観を植え付ける絶好のチャンスです。
「生き方・価値観」という言葉を使いましたが、特にむずかしくありません。例えばこんな感じです。
さらに踏み込んで
親子の会話が広がっていきます。お母さんの幸せを感じる時です。お母さんが幸せを感じる会話をお子さんとできたら、もう褒め言葉を超えて完璧すぎます。
2:他人と比較しないで褒める
「褒める」ことに限らず、人と比較した言い方は避けてください。他人と比較して“褒める、叱る”はどちらもいけません。
お子さんに、自分自身の生き方を「他人と比較していきなさい」と、意味づけることを教えているようなものです。
「他人よりいい、他人より悪い」が自分を見つめる基準だとしたら、自分らしさを見つけられません。自分の人生の主人公は、自分です。
わが子の成長を願い、わが子を見つめていれば、よき変化に気づくものです。人はみな成長のスピードも違います。
周りの人に惑わされず、わが子の成長を“長い時間軸”で見ていきましょう。お母さんお父さんが第一の味方なのですから。
3:具体的に何がいいのか褒める
褒めるとは、認めることです。結果や、他人との比較ではない、その子のよき変化に気づき具体的に言葉を素直に表現しましょう。
褒め言葉で、わが子をコントロールしようと考えないことです。
「お子さんのどんな言動について、親がどのように返すか」具体的に伝えなければ、わかりません。当たり前の話です。伝えたい思いを省略せず、具体的にお話しすることで親子関係も好転するはずです。
4:親の自己開示をして褒める
親が喜んでいる姿を、嫌いなお子さんは本来一人もいないはずです。
親が素直に感謝の言葉や、感動した言葉を伝えればいいのです。例えば、家事やお手伝いをしてくれたら
嬉しい、ありがとう、楽しい…ご自身の感情を素直に自己開示することは、喜びの感情と一緒に「言葉」を伝えやすいです。
「わたしメッセージ」という言い方では「私」を主語にした話し方です。
「(あなたの○○の行動で)私は○○に感じたよ」という気持ちを飾らず伝える話し方です。お子さんは、自分のどのような行動が、お母さんに役に立ち感謝されたと、ストレートに感じることができます。
このような経験を積み重ねることで、お子さんは自信を育みながら、自発的に行動するようになりのです。
5:無条件に褒める
1から4は、子供の望ましい行動に対する、親の反応の仕方についての解説ですが、この無条件に褒めるとは、子供の行動ではなく、子供の存在に係る言葉かけです。
例えばお兄ちゃんやお姉ちゃんが、弟妹の面倒を見てくれた時、お世話をしたこと自体を褒めるのではなく…
私たちの日常って、大人だって何かしたことに対し、反応していることばかりです。子供も何もしなくても「惚れられる」なら最高ですよね。赤ちゃんはそうでしょ。
そこにいてくてるだけで親が幸せになってしまう、あの感じです。実際にお子さんの存在って、そうですよね。いてくれるだけでいいはずなのです。
いつの間にか、手がかかって「ああしろ!こうしろ!」の言葉が多くなってしまいました。子供ですから、品行方正に育ちませんよ。
赤ちゃんの時のあの感覚を、親はずっと心にしまってあります。最近使い慣れていないだけですよ。思い切って「存在自体」に感謝してみたらどうでしょうか。
詳しくは下記の記事で詳しく解説しています。目から鱗の発見があるかもしれません。
6「褒める、叱る」のバランス感覚
普段しっかりと褒め上手なお母さんお父さんなら、きっとしっかりと叱っていると思います。
子供を育てる中で、叱るって大事ですよ。だって悪いことや間違いも起こすのが子どもですから、当たり前の話です。褒めるだけで子育てができるはずもありません。
褒め上手は親御さんの叱り方って、きっとこんな感じです。
こんな感じです。
「きちんと叱る」は「きちんと話し、反省を促す。これは、期待をしていると伝えること」です。
褒める言葉「さしすせそ」とは?叱って育てるは間違い?鵜呑み子育ての危険性を解説 まとめ
今回は「褒める言葉“さしすせそ”とは?叱って育てるは間違い?鵜呑み子育ての危険性を解説」というテーマでまとめてみました。
子育って、教科書はないんです。わが子に合った育て方って、人それぞれですので正解が決まっていないからです。
しかし、「こんな言葉はちょっと問題あり」は、ハッキリしているものです。簡単に表面を理解したつもりで“鵜呑み”子育ては危険です。
厳しく叱ることも大切ですが、こんな言葉は厳しさをはき違えています。
- 「言うこと聞かないと‥‥○○だよ」等の脅した言い方
- 「おい」「お前」「・・・しろ!」等の乱暴な言い方
- 存在を否定する言葉 →「○○くんがいなかったら…静かでいいね」等の人格を否定する言い方
- 「男の子でしょ?‥‥でしょ。女の子だから…それくらいできないとだめでしょ」等の男女で使い分ける言葉
何事も早々単純じゃないですし、バランス感覚がとても大切になってきます。
「ワダチブログ」では、小学校から中学生等の思春期のお子さんの子育て中の親御さん向けに記事を多数掲載しています、参考にしていただけたら有難いです。