と、我が子の救いを求める絶望的な叫びを聞いてしまったら…
この衝撃的な言葉に、冷静にいられる親はきっといません。
きっと心が大きく揺れ動き、乱れます。しかし、同時に子どもの大ピンチに、親として最善の対応をしたいと切実に願うはずです。
この記事では、お子さんの「死にたい」という言葉に対する「親の正しい考え方」と「具体的な対処法」を解説していきます。
「人の心」とは、心理の専門家でも難題ですが、「親だからこそできること」「してはいけないこと」を一緒に考えてみませんか?
私は、公立中学校の元校長です。これまでの中学生の指導と親御さんとの対話の経験をもとに、子育て中の親御さんや先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。
そもそも「死にたい」といった深刻な悩みは、誰にでも打ち明けているのではありません。きっと受け止めてくれるという思いから打ち明けているのです。このようなピンチに、親が冷静さを失っては一大事です。
この記事で、お子さんの複雑な心理が心理を理解する方向性がきっと理解できます。
「死にたい」と言われた時の「親のしてはいけない行動」
わが子の「死にたい」気持ちにお母さんはどのように向き合えばよいのでしょうか。
正直、お子さん一人ひとりの状況や性格等は人それぞれですので、どの子にも正しい対応という「正解」はありません。
しかし、「こんな対応は注意してほしい」という視点はあります。その要点を押さえることが肝心です。
親は「自分の心が乱れていること」を自覚する~自分調べ
わが子に「死にたい」なんて言葉を言われたら、動揺するのが、当たり前!「思いとどまらせたい」「何て言ったらいいのか」と、混乱するのが親の自然な反応です。だからこそ、
慌てて、捲し立ててはいけません。
親の激しい動揺は、子どもにイイことはありません。
まずはわが子の大問題に、最大の応援者になれる心の構えをつくりましょう。
「死にたい」と言われたら~親に注意してほしい言動
お母さんに、具体的に心掛けてほしいことです。
お子さんの「死にたい」気持ちを(そんなこと考えちゃダメと)直ちに「否定」しないことです。
お子さんの声(苦しい心の言葉)を「聞く」に徹することです。。
具体的には
お子さんの気持ちを「聴く」ことに重点を置いてください。自分が舞い上がってしまって、しゃべりすぎないことが肝心です。
伝えるメッセージは、下記のような視点で受け止めてください。
無理に何か特別なことを言おうとするのではなく、お母さんの伝いたいメッセージは「心配している」その気持ちだけ伝えるのです。
なぜ、親のしゃべりすぎがいけないのか
「死にたい」の言葉を聞いた直後では、親の話は次のような方向に向かうことが一般的です。
決して、この言葉が絶対に悪いというわけではないのです。ただタイミングの問題です。
だって「やっと、死にたい」って言えたのかもしれません。
お子さん自身もその否定的な感情を持て余しているのです。いきなり、お母さんの「否定する言葉」では、お子さん落ち込んでいる心を支えられません。
親として当然の「わが子への励まし」も、「適切な解決策」もまた、お子さんの心には届きにくいものです。
もしかしたら
と受け止めかねません。
「死にたい」なんて言う言葉を聞いてしまっては、親自身も苦しいため、つい正解を話しがちになります。
- お子さんの気持ちを否定しないように
- 「死ぬなんて馬鹿なことを考えるな」的な叱責をしないように
- 親の考えを正解として、解決の仕方を話してしまわないように
- 子どもに「どうしたい?」と意見を求めてしまわないように(解決を焦りすぎてはいけません)
- 「そんなこと言わないで」などと懇願してしまわないように
これは、お母さん側が「感じていること」であって、今のお子さんが抱えている問題、感じている感情ではありません。ですから親のNG行動です。
親としては、早く自分が考えている正解を伝えて(お子さんの問題を解決することがじゅうようなのですが)ご自身の不安な気持ちを話すことで、早々に解決したいのです。
「死にたい」と言われたら?親のできる初期対応
ここまでの要点から
お子さんの振り絞って出した声に、耳を傾けましょう。
もちろんお子さんに湧き上がっている「死にたい」気持ちを、積極的に肯定するわけでもありません!
初期対応では「お母さんが何をするか」という発想より、「お子さんに、いま届けなければならないことは何か」と考えるといいのではないでしょうか。
すぐにお子さんに届けたいメッセージは、
これが、初期段階でのお子さんに届けたい目指すGoal像です。自分自身を全否定している状態に「この感情を抱かせること」が解決への最初の一歩です。
親は落ち着いて、お子さんを包み込むように静かに耳を傾けてほしいのです。
反対側の対応は、焦って自分が答えを離したり、お子さんに「死にたい」と感じる原因を聞き出そうとしたり、解決を急ぐ言動です。
焦って答えを求めたり、聞き出そうとする言動は、初期段階は特に注意が必要です。
これと真逆な対応とは、
お母さん自身の余裕なのです。(余裕なんてあるわけないのですが…)そもそも、「死にたい気持ち」をお子さんだってうまく話せる内容ではないですよね。自分自身もわからないのです。
ですから、子どもが言葉に詰まって何も言えなくなってしまうこともよくあります。
それはそれで良し。
うまくしゃべれなくて、沈黙ができたらそれはそれで良くて、一緒にそばにいてあげるという姿勢でいいのです!
お子さんが沈黙してからといって、親から言葉をたくさん浴びせる必要はないですよね。親が勝手に我慢できなくなり、お子さんの沈黙を埋めようとしなくていいのです。
「どうしらいいのか分からない」これがお子さんの本音です。死にたい時、うまく自分を分析して答えを持っている人なんていませんよね。
だからこそ「今すぐ、すべて解決しよう」とは思わず、子どもの気持ちに寄りそうことが一番の初期対応になります。
「死にたい」と言われたら~親の一般論な対応の原則
ここまでは「せっかく開きはじめたお子さんの心が、再び閉ざされないようにする」対応が身近な大人に求められています。
自殺の危険が高まった子どもへの対応においては、次のような「TALKの原則」がありますのでご紹介していきます。
TALKの原則(Tell:Ask:Listen:Keep safe)
順に4つのキーワードを説明していきます。
- はじめのTellは「言葉に出して心配していることを伝える」ことです。
- 二つ目のAskは 「死にたい」という気持ちについて、率直に尋ねることです。
- 三つ目のListenは、絶望的な気持ちを傾聴することです。死にたい気持ちを肯定もしませんが、子どもの言動を良し悪しで判断はさけましょう。むしろ、そうならざるを得なかった、辛い状況を理解しようとする心の構えが大切なのです。徹底的に聴き役で信頼関係を再度構築です。これを自殺予防の核にしてみましょう。
- 四つ目は、Keep safeで安全を確保することです。もしも危険と判断したら、まず一人にしないことです。他からの援助を求めて抱え込まないことです。
この4つが「TALKの原則」と呼ばれている対応法です。
つぎは特に4番目のKeep safeで安全を確保することについての大切な補足です。キーワードは「一人で抱え込まない」です。
一人で抱えこまない
仮に、自殺計画を立てていたり、リストカットをしてたり、子どもは周りを振り回すような傾向もみられます。あるいは「誰にも言わないで…」という話し方もあるでしょう。
大原則は、自殺の危険の高いとかんじたら、躊躇なく子どもを自分一人で抱えこまないことが大切です。
複数の方々の目でお子さんを見守る体制がいいです。一般的には家庭では「母親」であったり、学校では「学級担任」であったり、お子さんと一番関係が深い方を中心に対応を進めます。役割分担等、複数の目で継続的に支える体制も欠かせません。
子どもが誰にも話さないで…という理由は?
学校でも生徒指導をしていると、「親には絶対に言わないでください!」このような懇願は結構多いものです。
この心理は…
自分の事実や秘密が知られることも気にしているのですが、実際のところは、その事実を聞いた際の「反応を恐れている」と表現したほうがわかりやすいです。
子どもにとっては、自分の想定外の「大人の過剰な反応」が一番嫌なのです。もちろん真逆の「反応が全くない(無視するような態度)」ことにも、過剰に反応します。
家庭にしても、学校にしても「秘密を守る」原則に立ちながらも、誰とどのように共通理解を図り協力して支えることができるかがポイントです。
「死にたい」と言われたら?親のできる初期対応としてはいけないこと まとめ
今回の記事では
「死にたい」と言われたら?親のできる初期対応としてはいけないことをテーマにまとめてみました。
自分自身の不安や混乱と向き合って、冷静に対応すること。つまり、焦って答えや意見を求めず、聴くに徹する心構えが大切であるということを述べてきました。
「子どもの悩みを早く解決したい」という焦りは禁物です。不安で不安定なお子さんの心情を、継続的に支えて行けるように、お母さん自身のケアも考えつつ向き合っていきましょう。
お子さんと同じように、「話すこと」が大変大切なことです。『話すは離す」に通じます。言葉をしっかり聞いてくれる存在は、心を痛めている人には欠かせない存在です。
お母さん自身も是非、お話をしてください。
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