小手先のテクニックではない「保護者対応の基本的な考え方」を解説します。
生徒指導の基本を再確認します。
このコツを理解できれば、いままでの保護者とのトラブルの原因がどこにあるかがわかります。
保護者側からの視点で見ることができれば「苦情や要望を訴えてくる理由」が理解できるようになります。
それは、そもそも保護者対応の不安が軽くなり保護者トラブルが激減することを意味します。
この記事の対象は、中学校ですが「保育園、小学校から高等学校」まですべての先生方に適応できます。なぜなら、保護者対応の王道を解説するからです。
保護者対応に不安を感じている方、悩みストレスを抱えている方に向けて書いた記事ですので参考にしていただければ幸いです。
私は元校長です。県教育委員会でも保護者からの苦情に対応してきました。日々多種多様な難題が舞い込み、それに対処してきた経験から学んだ「保護者対応の考え方と手法」と、そもそも「保護者トラブルを起こさない」考え方をお伝えしていきます。
きっとお役に立てると思います。
保護者対応の大切なこと中学校版!生徒指導の基本となる対処法「聴くことは指導」
保護者に問題があるのではなく、教師の対応に改善すべき点があるのではないか?この視点は「大変厳しい」視点ですが、親のせいにしていては自分自身の成長はありません。
生徒指導の基本を押さえて保護者トラブル激減
生徒指導の基本は「聴くこと」です。
保護者対応の前に生徒指導の根本からお話します。
これを理解し生徒指導を実践していれば、保護者からのクレームは激減します。
逆に、この基本を無視すると、教師自身が苦情の原因をつくりだしてしまうことに繋がってしまいます。
私たち保育士や教師の仕事は「指導」ですよね。
「指導」とは「先生方から子どもたちへのアプローチ」です。日々大切なことを指導し教えています。
先生から子どもたちにアクションを起こすこと、つまり指導とは「先生→生徒」のように先生から生徒に「→」が向かっているイメージです
ここでちょっと思考転換してください!
教師の仕事は、大切なことを教えることです。つまり教育の価値は、教師が大切に考えていることを、目の前の子どもたちに伝え、理解させることですよね。
肝心なのは「子どもたち自身が、“大切なこと”を理解すること」です。自分の指導が「子どもたちに伝わっている」ことが重要でそこに教育の使命があるのです。
私が保育士、教師として一生懸命に仕事をするとは「子どもたちに様々な価値を伝え、届けること」です。
この考え方を理解できれば、教師のテクニックとして
つまり、
指導後の子どもたちの実態を把握するには「聴くこと」は欠かせない
「指導し伝え語り、説諭し」その思いが「子どもに届いているか」について、ちゃんと聴くことが生徒指導の王道です。
この考え方ができていない先生は、「指導すること=自分が子どもにアクションを起こすこと」と考えているため、
自分からのアプローチだけで、いわゆる指導が完結していしまします。
やりっぱなしの指導は保護者からの苦情が来るパターンです。
仮に、生徒には先生の意図が通じていなかったとすれば…子どもの帰宅後、保護者から
こんな苦情がきます。情熱をこめて生徒にアクションを起こすことが仕事と勘違いしているとこんな親が出現します。
原因は、先生方の情熱が空回りしている先生側にあります。
「心込めて、丁寧に耳を傾て聴くこと」は立派な指導であり、これ抜きに生徒指導はできません。
保護者対応の大切なこと!生徒指導の基本「傾聴」は教師の必須テクニック
傾聴(けいちょう)
教育者ならだれもが「知っている」言葉です。管理職からも、
と指導されているはずです。
ところで、「傾聴とはなんですか?説明してくださ。」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
と答えますか?
ここでも、トラブル回避の考え方をしていきましょう。「1-1で ここでちょっと思考転換してください!」でやりましたよ。この考え方で傾聴を説明すると…
「私は、教師としていつも生徒の声を丁寧に聞くようにしています」
これは立派なことですが、肝心なことはもうわかりますよね。
生徒指導の基本中の基本。トラブル回避のコツでもあります。
傾聴とは、子どもたちの方が「担任の先生はいつも、私の話を丁寧に聞いてくれる」と感じているかどうかが、重要になってくるわけです。
ちょっと荒っぽい言い方ですが、教師が子どもの話に丁寧に耳を傾けるって「当たり前」でしょという話です。
肝心なことは、そんな教師の接し方で、目の前の不安な気持ちの子どもたちが、嬉しくなったり元気なったりすることですよね。
生徒指導の達人は「傾聴とは」こんな言葉で説明ができます。
- 先生は、私の話を「真剣に」耳を傾け聴いてくれる。
- 先生は、私の話を「楽しそう」に聞いてくれる。
- 先生は、一緒に考えてくれた。
- 先生は、私がうまく話せない時「やさしく待っていてくれた。」
- 先生は、私がうまく話せない時「〇〇な感じかな?と私の気持ちを引き出してくれた。」
生徒の感情は嬉しく、温かな気持ちが込み上げてくることでしょう。それは困難なことに立ち向かうエネルギーに繋がることでしょう。
当然ですが、この姿勢は保護者対応に繋がりますよね。
「先生→保護者」の矢印の向きだけが指導だと考えていると、保護者対応はうまくいきません。先生が上記の5つのような傾聴の姿勢で臨めば、親の感情は自然と先生に対し一目置いた存在として感じることでしょう。
「人間か感情の動物です」次はそんな話です。いよいよ保護者に焦点を移していきます。
保護者対応の大切なこと!生徒指導の基本「保護者の感情に視点」
苦情や過度の要望等の裏には、保護者の感情を意識できるようになると「保護者対応に自信」うまれます。また、そもそも「苦情等の保護者対応するケースが激減」します。
教師・保育士の陥りやすい罠
見出し「トラブルの原因と対処法1-1」で解説した「指導」することだけに意向けられるとトラブルが増えます。
理由は「保護者には感情」があるという、「当たり前」のことに教師の意識が向いていないのです。
一番最悪のケースが「教師や保育士」が「親を指導」する場面でよくおきます。仕事柄、親に対して指導する場面があります。
その指導する側の「視線、体の姿勢、声の調子、振る舞いかた」から、保護者は様々な感情が沸き起こります。
折角「子どものことを想い」指導したことが、親にとって
等と、
先生から自分の子育てを馬鹿にされた、侮辱されたという「感情」をもたれたら、何のための指導かわかりません。感情の問題のトラブルは、修復はかなり難しくなります。
保護者にも、生徒にも、先生ご自身にも「感情」があります。その感情を意識して保護者対応をするといいですね。
生徒指導の基本!保護者対応の実際
教師が対応するのは
「保護者が取り上げている課題そのものへの対応」と
「保護者自身の今の感情」の二つを意識してください。
そう、課題に対応するだけでなく、今の保護者の感情に注目するのです。
興奮して苦情を言い立てている時は
「丁寧に静かに聴くことに徹する」これが基本です。
一度吐き出さないと、収まらない感情があります。色々なケースがありますので公式のようにはなりませんが、いらだつ感情の落ち着きには15分ぐらいは話しまくり、30から40分程から落ち着かれる方が一般的には多いです。
この初期の段階では、言い訳や弁解等は火に油を注ぐようなもの。
一度吐き出し落ち着きかけたら、「感情面に対し謝罪する」のも手です。
私の場合は
学校側の誤りを、「すぐに認めて謝る」という意味ではありません。
ともかく学校の対応の中で「心配をかけた」という「感情面の事実」に対して「共感」して「大変申し訳ありません」と伝えます。
そのうえで、学校の立場や意見を自分自身の考え方を伝えていきます。
ともかく目の前の保護者を「クレーマー」とはみません。親の立場からすれば「止むにやまれぬ想い」があって今電話をかけている(今学校にお出でになっている)。その事実にしっかりと受け入れようという構えです。
今は「クレーマー」という言葉が浸透しています。誰でも、一般的には「自分がクレーマー」という立場に見られたくはありません。その心理は利用します。
親の申し立てを「苦情」という言葉は使いません。
あくまで「ご意見」と「ご要望」として扱います。
保護者対応の大切なこと!「敬の心」が大前提
ここでは対処法ではなく保護者との信頼関係の築き方を最後に触れておきます。
生徒指導の基本「抽象的に誉めない、事実で誉める」
信頼は貯金のようなものです。信頼の貯金を貯めておけば「いざという出来事」に対しても、日頃から信頼を得ている先生かどうかで、保護者の対応は全く違うものとなるからです。
保護者の「怒り」と「感謝」は根っこは同じです。
わが子だけに向けられている「愛」です。その我が子に「関心を寄せてくれる」存在である教師に信頼を寄せます。逆にわが子への愛情を感じなければ、すべての行為が不審に変わります。
「普段から、先生からのわが子への対応に愛情を感じるかどうか」がカギです。
実践的対応 子ども欠点より、長所を具体的に話せるかが信頼を得る最大のポイントになります。
というように、具体的に「事実」で伝えるだけで情景が浮かび、保護者にも伝わりやすくなります。
子どもの様子が伝わるだけではなく、「子どもよさを認めてくれているんだ」「子どもをしっかり見てくれているんだ」という安心感にも繋がります。
生徒指導の基本「信頼の根っこは謙虚さ!母親にはねぎらいの言葉を」
小さなお子さんを対象としている保育士や教師は、「謙虚さ」が命だと考えています。
「三尺の童子を拝す」の言葉の通り、目の前の幼い子どもたちへの限りない可能性への敬の心が教師の出発点に感じています。そして、
母親には「ねぎらいの心」が基本です。
ねぎらいの言葉がコミュニケーションのカギです
「子どもを育てること」へ尊さと日頃のご苦労にたいする「敬の心」がコミュニケーションの根幹になります。時には「職場から駆けつけてくれる親」に「ありがとうございます」の敬意の心を基本に接したいものです。
そんな日常の教育者としての心構えが「保護者対応」のおおもとになっています。
だれでも「自分に敬意を払ってくれて、大切にしてくれる」方には、信頼を寄せるものです。信頼を日常どれくらい築き上げているかが、いざという時の保護者対応を好転させます。
保護者対応の大切なこと!トラブルの原因と対処法を解説!まとめ
今回の記事では「保護者対応の大切なこと中学校版!生徒指導の基本から原因と対処法を解説」について、まとめてみました。
私の場合は8年間の校長時代には、かなり厳しい意見もいただきましたが、「クレーマー」ではありませんでした。
「何か苦情めいたことを言ってくる人=クレーマー」という考え方は、私は「敬の心」に反します。その方の立場に立って「もっともだ」という部分に注目して話を聞いてました。
結果、大きなトラブル(継続する案件)はありませんでした。
しかし、教育委員会時代の案件には「ただの難癖レベルのお電話」もありました。つまり、クレーマーにはまた別の対応もあります。ここまでの対応がベストではないケースももちろんあります。
「そんなにうまくいかないよ」的なご意見もあろうかと思いますが、私の中では、正解であり成功例でもあります。ご自身の今の感覚に「新たな視点」となれば幸いです。
保護者対応は心身のダメージが大きいです。子どもの教育に真摯に取り組めても、保護者を相手に「教育」したいわけではないですから。
しかし、子どもたちの最大の教育環境は家庭では親であり、保育園幼稚園や学校では保育士や教師です。手を取り合ってこそその効果も大きいです。
難題に出会った時は「助け」を求め、一人だけで対応したいようにしてください。その辛さを十分にわかっていますので、真摯に取り組むあなたを応援しております。
ここまでお読みになっていただきありがとうございます。よろしければ「ワダチブログ」に他お越しください。