教員採用試験の面接試験には「個人面接・集団面接・集団討論」などの形式があります。各自治体で異なりますが、主に2次試験で実施されており最後の関門です。
この記事では、このような「集団討論の不安を解消すること」をねらいに下記の4視点から「対策のコツ」をまとめたものです。
- 集団討論の流れ…一般的な進め方とは?
- 面接官は何を評価しているか
- 集団討論対策のポイント
- 過去の集団討論のテーマと問題例は?
私は公立中学校の元校長です。実際に教員採用試験を運営し面接をした経験を下に、未来の学校教育を支える先生方に「求められる教師の資質」をご紹介します。
この記事で、不安を解消し前向きに準備してください。そして、教員採用試験を見事突破されることにお力になれたら幸いです。
教員採用試験対策の集団討論のコツと流れ!概略と流れとは?
先ず初めに「集団討論の一般的な流れ」をお話します。各自治体で多少違いはありますがここでは、「集団討論の雰囲気を想像すること」がねらいです。
- 討論時間は概ね「35分~40分」です。 (自治体により、時間はまちまちです。もっと長い場合も短い場合もあるかもしれません)
- 面接官は2名~3名です。
- 一グループの集団は6名~8名程度です。(机上には、「A」~「H」等の名札がおかれ、名前の代わりに呼び合うことがあります)例「先ほどのAさんやDさんの意見に私も凄く賛同します。○○を進めていくことがとても大切に考えるからです」
- 話し合うテーマは、「机上」に配られるか、「口頭」であります。
- 集団討論を運営する司会者から「集団討論の進め方」の指示があります。一般的な場合のルールは「司会を立てないで討論しなさい」「グループでテーマに対する結論を出しなさい」この二つです。
集団討論一連の流れと運営者側説明の一例
入室後、自席で自己紹介「面接官がメンバーの氏名等の確認」をします。
- 受験番号
- 所属校
- 名前
例
明るくハキハキととした口調で元気にいきましょう。
机上に置かれる問題例
その後、集団討論の進め方等について運営者側からの説明があります。一例ですが…
各自の意見は一通り終わると…
所定の時間後、運営者側の指示で「集団討論が打ち切られます」集団討論の終了です。以上で、退出します。
面接官からテーマの関連事項について「個別に質問」があるケースも想定されます。
教員採用試験対策のコツ!面接官は何を評価しているか?
ここでは、みなさんが疑問や不安に感じるであろう評価の観点について説明します。
個人面接では、理解できないことを「集団討論」で補い、受験生の人柄を総合的に理解したいと考えているわけです。
1.教員に求められる資質とは?コミュニケーション能力
教師には特に抜群の「コミュニケーション能力」を期待します。
コミュニケーションとは「対人関係での情報共有や意思の疎通のこと」であり、コミュニケーション能力なら、それらをスムーズに行うことができる力ですよね。
つまり、要点は「双方向のもの」です。
「相手への自分の考えを上手に伝える」観点だけでなく「相手からの情報をいかに上手に受け取ることができるか」という観点を意識しましょう。このバランス感覚が鍵です。
コミュニケーション能力でもう一つの大きな視点があります。
コミュニケーションの大きな手段に「言語」と「非言語」があります。特に非言語的なコミュニケーション能力を意識しましょう。具体的には
表情、視線まなざし、声の調子、体の向きや態度、姿勢、うなずき
あなたは、普段から、相手が話しやすい雰囲気をお持ちですか?日常、気をつけようと意識していますか?
このようなコミュニケーション能力を評価されています。
2.教員に求められている資質とは?チームで働く力:協調性
協調性とは、お互いに「敬の心」を基盤にして尊重し合い、協力しながらチーム全体で議論を進める能力のことを言います。
学校の日常は、生徒との関係をはじめ、保護者との関係、そもそも教員同士でチームワークよく仕事を進めていかなければなりません。教師(社会人として)には、協調性は欠かせない能力です。
集団討論の最中に、もしメンバー同士がライバル関係になっていっては話になりません。
集団討論とは「仲間だという意識」が大前提なのです。
時にはメンバーが話の流れからズレた発言をした場合…あなたならどうしますか?
ここで、相手を完全否定せず、代案を出しスムーズに修正したいものです。これまでの流れを大切にして協力することを忘れないようにしましょう。
3.教員に求められている資質とは?論理的な思考力と正しい知識
1と2では、個人面談では理解しにくい一面です。3では、「論理的な思考力と正しい知識」の重要性についてふれます。
集団討論においては、論理的な発言をすることが求められます。そのため、物事を論理的に捉えて考えることのできる思考力が欠かせません。集団討論では、この一面を評価しています。
特に、「論点がズレていないかな」について強く意識しましょう。集団討論を円滑に進めるためには、ただ積極的に発言をしていればいいものでもありません。
話の流れに沿って話し合いが進むよう冷静に「思考力」を発揮してください。
教員採用の集団討論試験の対策のコツ!落ちる人の特徴
バランス感覚 評価されないことはハッキリしている
集団討論において、積極性は大切です。他のメンバー任せになって発言が少なかったり、消極的な姿勢では合格への道は見えてきません。
何を評価するかは面接官によって若干差があるかもしれません。しかし、これは絶対にいただけませんというポイントはハッキリしています。
- 積極的といっても‥‥自分ばかり好き勝手に発言して他のメンバーより発言回数が極端に多い。張り切りすぎで一人目立っている。
- 発言時間が長い。(要点がまとまっていない)
- 他者の意見を否定する。
- 積極性がないと、下を向いたり、メモが多くなります。
- 話し合いの流れをすぐに切ってしまう。論点がズレた発言。
- 発言している相手に視線を向けない。
- 姿勢が悪い、落ち着きがない、声が小さい。
- 明るさがない。
グループ内のメンバーをなおざりにするような行動は、面接官にマイナス評価を与えてしまいます。メンバー同士で助け合って合格を目指す心構えが大切です。
集団討論をスムーズに進めるために、しておきたいおススメの対応術です。
教員採用試験対策の集団討論のコツ!ポイントで不安解消
対策のポイントは、グループ全体で「合格」を一緒にイメージします。
1.発言しやすい明るい雰囲気を心掛けるアクションを!積極性
面接官が「それでは、集団討論を始めてください」この一言があったなら、あなたがすることは
個人的に積極性を発揮するのではなく、「グループ内でイイ話し合いがしたい」そこへ積極的に関わるのです。
円滑な討論を進めていくためには、グループ内のはじめの雰囲気づくりがなにより肝心です。そのような雰囲気づくりに積極的に自ら関わるのです。
自分がメンバーを活かし、自分も活かしてもらえる雰囲気を目指しましょう。こんな考え方をもって集団討論に臨めれば、合格はぐっと近づきます。
2.他の方との発言を繋いで、自分の意見を論理的に話す
集団討論では「みんなでテーマをまとめて結論を導き出すこと」が求められています。それが共通のGoal像です。
そのゴールに向かって自分自身を表現するわけです。例えば
- 話の流れにそって、Aさんの意見に賛同すると「つなぎ」
- 自分の考えを簡潔に述べ、今までの流れに沿いながら簡潔に「付け足して」伝える
- その考えの理由・根拠・普段の実践等に簡潔に伝える
- 話の流れを切らずに、自然と次につなげていく
このような集団討論で求められている「形」を意識していれば自然と対応できるはずです。「Aさんの○○の視点は●●のことですか?」とフォローを入れることで、流れに柔軟に対応できるでしょう。
3.非言語的コミュニケーションを発揮して❛前向きで明るい雰囲気❜を
すでに、「1発言しやすい明るい雰囲気を心掛けるアクションを!積極性」と「面接官は何を評価するか?」で述べてきましたが、繰り返しこの非言語的なコミュニケーションは集団討論において極めて重要です。
発言回数やメモばかり気にしていては、土俵に上がっていないことと同じです。
4.積極的にポイントをねらいには
- テーマに対してグループの方向性を出す発言をする。
- 柱を確認して話し合いが進むように配慮する。
- 今どんなことが討論されているを確認する。
- 話がそれそうになったら、「修正する言葉」でフォローする。
- 終了時刻から、まとめにもっていくタイミングを見極める。
- テーマに対する知識をしっかりと身につける。
教員採用試験対策の集団討論の過去問題例で不安解消
学力向上関連での予想問題
新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善が望まれています。授業づくりで工夫すべきことについて,みなさんで話し合ってください
「すべての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適化の学び」と「協働的な学び」の実現についてどう思いますか。その推進のためにどうしたらいいかみなさんで話し合ってください。
過去問
- 学力向上のために大切にしたいことについて,みなさんで話し合ってください。
- 現在「オンライン授業」が注目されています。「オンライン授業」を効果的に行う方法について,みなさんで話し合ってください。
教職員の不祥事
教職員の不祥事が絶えません。このことについて、どう思いますか?教職員の不祥事を根絶するためにどうしたらいいか、みなさんで話し合ってください。
体罰や不祥事を根絶するためには何が必要か。
信頼される教員
「信頼される教員」とはどのような教員だと思いますか。信頼される教員になるためにどうしたらいいのか、みなさんで話し合ってください。
- 教員のやりがい
- 教員に必要な指導力
- 安心感を与える教員
- 新任教師に求められる役割とは
- 教師に求められる資質,能力とは
学級づくり、生徒指導
生徒相互に信頼関係を築かせることが大切です。このことについて、どのように取り組むか、話し合ってください。
生徒指導の充実を図るためには、生徒理解が大切です。生徒の理解を深めるため に、どのように取り組むか、話し合ってください。
事例をどう解決するか
不登校の生徒数が増加の傾向にあります。担任している学級から新たな不登校生徒を出さないために大切にしたいことについて,みなさんで話し合ってください。
「学級内でいじめが起きている」と保護者から情報提供がありました。担任としてどのように対応していくか,みなさんで話し合ってください。(2019 仙台市)
働き方改革
今なぜ、働き方改革が大きく取り上げられているのだと思いますか?また、どのように進めたらよいか、みなさんで話し合ってください。
教員採用試験対策の集団討論のコツと流れ!受かる人と落ちる人の違い まとめ
今回の記事は「教員採用試験対策の集団討論のコツと流れ!受かる人と落ちる人の違い」をテーマにまとめてみました。
先生方や子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。これからの教育界を背負っていくみなさんに参考になる記事もあろうかと思います。覗いてみてください。
結果はコントロールできませんが、生き方は自身で定めるものです。努力は裏切りません。
先生という厳しくもアリ、魅力的な職業にぜひチャレンジしてほしいと願っています。
自分らしさをみつめ抜いてください。