【時を守り 場を清め 礼を正す】は教育学者、森信三(もり、のぶぞう:通称しんぞう)先生の名言として知られ、多くの学校で実践されている指針となる有名な言葉です。
この記事では、森信三先生の【しつけ3原則】【時を守り 場を清め 礼を正す】の教育的意義や価値観を解説して、学級づくりへの活かし方についてまとめました。
さらに、「学級担任」として生徒に何を語り掛けるのか、「指導のポイント」を「具体的な話し言葉」でまとめてみました。
学級経営の力量を高めたい学級担任の先生をはじめ、管理職の先生方や生徒指導部会を担当する先生方に向けて「先生方が先生方にどのような視点で語るのか」について理解する記事にしました。
私は公立中学校の元校長です。これまでの経験を活かして先生方と親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
「時を守り、場を清め、礼を正す」の言葉は
- 時間も守りなさい!
- 掃除をしっかりしなさい!
- 挨拶をしなさい!
だけを指導すればいいようなことではありません。
この記事の特長は、行動目標から「生き方指導」への進め方を理解できるようにまとめてみました。日頃の生徒指導や学級経営の進め方がわかります。
森信三の名言「時を守り場を清め礼を正す」の学級経営の活かし方
1.「行動目標」として基本的な生活習慣の根幹にすえる
「時を守り 場を清め 礼を正す」の言葉そのものは、行動目標です。求めている行動が、「できているか、できていないか」がハッキリとわかります。
- 時間を守れることができる生徒 … 守ることができない生徒
- 掃除をしっかりできる生徒 … いつも怠けてしまい掃除ができない生徒
- 挨拶がよくできる生徒 … 挨拶ができない生徒
教育的意義
この言葉を掲げ「できない行動・生徒」は指導することで「できる行動・生徒」を目指す指針となる言葉です。
日常の基本的な生活習慣を「当たり前レベル」に整えていくことは、学級づくりの大切な要になります。
2.行動目標から「生き方の目標」へ
「時を守り 場を清め 礼を正す」の価値観を丁寧に伝えることで「生き方指導」に進化していきます。
教育的意義
人間の行動力の根っこには「心のエネルギー」が関係してくると考えるからです。
◆「どんなふうに考えて」
◆「どんな行動をとることが自分にとってカッコいいのか」
について自身をみつめる「生き方の指導」へと充実させることにつながります。
森信三の名言「時を守る」を生き方指導へ(語り掛けの実例)
「時を守り」は、文字通り「時間を守る」行動目標です。具体的には
学校生活全般の中で、登校時間、授業開始時間(チャイム着席)、清掃時間、委員会や部活動の時間、下校時間、期日が決まっている提出物等が考えられます。
ここで行動目標を「生き方」目標としての実践例を挙げてみます。
生き方指導のポイントは、
子どもたちが、しっかりと守れている時こそ、伝えるべき価値について(ここでは時間を守ること)の大切さを語っていこう!
ほぼ100%の先生方は、
遅刻をした生徒や提出期限を守らない生徒に対し、声をかけ指導を行います。
ここでの私からの提案は「できている生徒にこそ、声をかけましょう」です。
こんな感じて語り続けると「行動目標」に「生き方」目標が加わって、生徒指導が深みを増していきます。つまり、子どもたちに「自分の進むべき正しい道」を歩いていることを示しているのです。
生き方指導のキーワード「よき習慣は第二の天性」と「当たり前が光る」
毎日のよき習慣の積み重ねは、人を成長させます。当たり前が、苦も無く普できる生徒は、レベルが高くなります。
生き方指導の「時を守り 場を清め 礼を正す」は、「時間を守る」ことができる人=「信用できる人」につながります。
時を守ることは、相手を尊重することにもつながります。そして、自分の信用を積み重ねていくことです。
時間を守ることは「時間を大切にして活かすこと」つまり、時間を守ることを意識することは、自分自身の生き方の問題なのです。
「よき習慣は、第二の天性」は、
中学生時代は、一般的に周りのできる人の能力と自身を比べるものです。よき習慣は自分自身の能力です。
または自分の可能性を引き出す土台になります。このことを語っていくことが学級づくりの基盤となり大事に考えています。
「当たり前が光る」は、
時を守る等の基本的な生活習慣のレベルが優れている学校・学年学・生徒は、互いに学び合い刺激し合い自身の能力を伸ばしていきます。
逆に、基本的習慣レベルが低い集団は、個々が学ぶだけで何事も高いレベルにはなりにくいものです。「当たり前が、光る」が子どもたちの誇りになる学級づくり(集団作り)が大事であると考えています。
生き方指導の発展形
さらに生き方指導の発展形には、
他人の大切な時間を奪う行為を「時間泥棒という言葉」という行為として考えさせることもできます。
中学生ぐらいになると 『モモ』ミヒャエル・エンデ著も参考になります。
「無駄な時間をなくす」一般的にはムダな時間を過ごしてしまう原因となる「SNS、テレビ、ゲーム等に気を取られあっという間に時間が失っていること」
「時間帯を構わずLINE等のSNSをしてくる」「相手の都合を考えずに、自分中心に
人の時間を奪う人行為」等を考えさせ、時間の持つ意味を学ぶことは人生の生き方を学ぶことに通じています。
こんな生き方の話は、大人になりたいと願う思春期の中学生には受け入れられます。しなければならない行動目標に、きちんと生き方を語れる先生は、信頼されます。
森信三の名言「場を清め」の生き方指導への活かし方
学校生活に直結するのは「掃除の時間」です。
場を清めるとは「3S」で表現されます。「掃除 整理 整頓」のことです。
場を清めるを「行動目標」でとらえるなら、「清掃をしっかりとできる」生徒を目指せばいいわけです。
できる人、できない人で考えると、「清掃をまじめにやる人、やらない人、先生がいる時だけやる人、先生がいなければ怠ける人」がいるように実態は人それぞれです。
仮に生き方指導に重点をおくと(挨拶と同じ価値観ですが)
人が真面目に掃除をしていても、していなくても、「自分は限られた清掃時間内は、責任をもって掃除に打ち込む人になりたい」となります。「そんな自分を目指さないかい?」と働きかけてみてはどうでしょうか。
こんな視点から迫ると、清掃指導にも「生き方」指導になっていきます。
清掃の意義・意味は「5K」でたとえられています。
- 気づく人になれる
- 心をみがく
- 謙虚になれる
- 感動の心を育む
- 感謝の心が芽生える
わずかな時間でも、嫌々やる時間にするのか、自分で考え気づきで行動する時間を積み重ねるかでは、成長に大きな差がうまれることでしょう。
森信三の名言「礼を正す」の生き方指導への活かし方
学校生活に直結するのは「挨拶」です。これは「あいさつをする、返事をする」ということです。
「挨拶」は、相手に敬の心をもっていることが大切。
率先して自分から積極的に心を開くことを大切にする挨拶を「自分の在り方、生き方」として伝えたいものです。
森信三の名言「時を守り場を清め礼を正す」を活かす学級経営 まとめ
今回の記事は森信三の「森信三の名言“時を守り場を清め礼を正す”を活かす学級経営!担任の語り掛けの実例」についてまとめてみました。
森信三先生の「教育」について表現した言葉です。
教育とは、流れる水に文字を書くようなはかない仕事なのです。
しかし、それをあたかも岸壁にのみで刻み付けるほどの真剣さで取り組まなければならないのです。
森信三先生のプロフィールです。
◆1896年明治29年9月23日 哲学者・教育者
◆愛知県 知多郡武豊町
◆平成4年11月21日逝去 享年97歳
◆出身校 京都帝国大学文学部哲学科
◆昭和13年旧満州の建国大学教授、28年神戸大学教授。「国民教育の師父」と謳われ、86歳まで全国を講演、行脚しました。
含蓄のある深い言葉です。
森信三先生の言葉「時を守り 場を清め 礼を正す」は、それを「自分事」としてとらえれば、自身の成長への指針となる生き方指導にもなります。
これからも、生きる知恵となる「言葉」をお伝えしていきたいと考えています。
先生方や親御さんを応援する「ワダチブログ」には、多数の教育関連記事を掲載しています。参考にしていただけたら嬉しく思います。
お体を大切に、思う存分子どもたちに、熱い想いを語り掛けてください。