新年度のクラス替えで伝えたい願いや想いはあるけど、どうやるのかはわかりにくいものです。この記事では、二つのことについて解説します。
- なぜクラス替えするのか?クラス替えの目的と決め方
- 保護者の要望の仕方、正しい伝え方
保護者として、学校が何を大切に考えて「クラス替え」をしているのかを正しく理解すれば、おのずと保護者の願いの適切な伝え方もわかります。
私は公立中学校の元校長です。子育てに奮闘する保護者の方と先生方に元気に頑張ってほしいと願い教育関連専門の「ワダチブログ」を運営しています。
あなたの伝えたい願いは、わが子への愛情です。この記事を読むと、正しい認識の下でその伝え方が理解できます。わがままな願いでない限り、礼儀正しくアクションを起こせば、きっと学校側もあなたを理解してくれると思います。
なぜクラス替えするの?その目的と学校が大切に考えていること
学校側が大切に考えていることを理解できれば、それをふまえて親側の要望の仕方ができるようになります。
良い人間関係を築きお友だちと楽しく学校生活をしていれば、ずっとこのまま同じクラスで生活したいと考えるのは当たり前です。
新しい環境は大人でも緊張しますし、ストレスを感じるものです。それでもなぜクラス替えをするか、クラス替えの目的は、大きく二つあります。
- 一つ目は、また始めから新しい人と関わり、よき関係性をつくりあげ、社会性を身につけることを目的にしているからです。
- 二つ目は、別の視点から、クラスの人間関係が居心地の悪いものであったおこさんもいることでしょう。その子どもには、人間関係をリセットするタイミングでもあります。
次は、「いつ」「誰が」「どのように」クラス替えをするかについてです。
クラス替えの決め方は? いつから誰が決めるのか
クラス替えは、いつ、誰が決どのように決めるのかについて、その決め方を解説します。
いつ決めるの?
クラス替えを決めるのは、2月から準備をはじめ3月頃が一般的です。
ご相談の時期は、特にきまりはありませんが、3学期がスタートして落ち着いた1月下旬あたりから先から2月がいいのではないでしょうか。遅くても3月に入いると新学年への準備も本格化します。
願いは、早めに先生方に一報をいれておきましょう。
誰が決めるの?
新しいクラス編成を決めるのは、その学年を担当している先生方です。学年主任のリーダーシップの下、決めているのが一般的です。
例えば、新3年生のクラス編成は、現2年生の担当する先生方が決めています。
学校での決定事項は、すべて校長先生の責任で行われます。なぜ学年担当の先生方が決めるのかというと、約1年間の指導経験を活かし、子どもたちの特性、子ども同士の交友関係等を一番よく理解しているからです。
中学校1年生のクラス替えは?
では、中学校への進学の場合はどうでしょうか。
一般的ですが、小学校6年生の先生方が編成しておきます。
また、中学校の新1年生を担当する可能性がある先生方(不確実で確定は4月ですが、例えば中学校3年生を担当した先生方)と卒業生を送り出した6年生の先生方で3月中旬以降に情報交換の場が設定されています。
中学校側からの視点では、お子さんの生徒理解を進めておきたいところですし、小学校の先生方も、うまく適応してほしいと願っているわけですから、必要な情報交換の場なのです。
その情報をもとに、最終的に中学校側でクラス編成を行います。
どうやって決めるの?
進学年に向けて新しいクラス編成を決めるのには、いくつか大切にする考え方があります。どうやって決められていくか見ていきましょう。一般的な一例です。
一番大切にしたい考え方は「クラスごとのバランス」です。考えてみれば当たり前の話です。あまりにも偏っていては、よき教育活動が成立しませんね。この大原則の下、クラス編成が行われます。
1:おおもとは学力の平均化でクラス編成を行う
基本的には、どのクラスも学力が同じくらいになるように子どもたちを分けることを最優先させます。前年度の成績をもとに新クラスごとの学力・成績から平均化されます。
学力からのクラス編成が原案となります。
2:人間関係の様子から考える
そこから次々と諸条件を当てはめて編成していきます。クラスによって偏りがでないようにするために人間関係は特に大切な要素です。
- 学級をよき方向にリードするリーダー的な資質のあるお子さん(学級委員や生徒会、部長や委員会委員長等の経験者など)
- 授業態度が積極的であったり、いつも笑顔で明るいムードメーカー的な資質のお子さん
- 運動面での活躍やリーダーシップを発揮できるお子さん
- 音楽的な行事では特に光るお子さん、ピアノ伴奏ができるお子さん
- 不登校傾向やアレルギー対応や特別支援的な対応を要するお子さん
1つのクラスに個別対応を必要とする子どもが集まってしまうと、学級担任の先生が一人で対応しきれず教育効果も減じてしまいます。
3:一緒のクラスにできない事情がある子たちは、クラスを離す
関係性をリセットしたほうが良いを判断すれば、同じクラスにはしません。
- 過去にいじめのトラブルがあった子ども(加害側、被害側、とりまき)
- 保護者同士がトラブルになったことがある子ども
- 一緒のクラスにするとお互いに引きずられて問題行動を起こす可能性がある関係性
などの事情がある場合は、特に重視します。
また、双子等兄弟姉妹や親戚関係がある場合は一般的には同じクラスではなく、別のクラスにします。
4:一緒のクラスにしたほうがよい影響を引き出すと判断する場合は、同じクラスにする
例えば、
- リーダーをそばで支え、一緒にいることでお互いのパワーが発揮できる関係性
- 配慮を要するお子さん(いじめ関係や特別に支援を要するお子さん)にもきちんと支えてくれるお子さん
クラス替えで「保護者(児童)からの要望」は通るか
ここまでの解説で学校がすべてのお子さんの成長を願い、きめ細かな配慮を重ね妥協点を探り学級編成を行っています。単に、「仲良しの○○さんと新しいクラスでも一緒にしてほしいなあ」という要望は、控えた方がいいのではないでしょうか。
個人的な要望を全員からきいていては、クラス替えは不可能になります。「あなたの要望は叶えます」と「あなたの要望はダメです」があっては、不公平ですよね。従って、基本は学校に任せるしかありません。
クラス替え時の保護者の要望とは
クラス替えが行われる前に、保護者から先生に相談することで、配慮してもらえる可能性もあります。
すべての子どもたちの充実した学校生活と成長を願ってのクラス替えです。「学校側が納得できる願いなのかどうか」がカギです。
また、学校で把握していないもめ事があるかもしれません。わが子にとって大切な事柄は、しっかりと伝えたいものです。
相談の内容の一例は
このケースはどうでしょう。
願いが叶うこともあるでしょう。しかし、「○○さん」自身がそのサポートに負担感が増していることもよくあるケースです。「〇〇さん」が別のクラスにしてほしいと願っていることもあります。つまり、その状況をしっかりとつかまないと判断できません。
自分の願いが必ず叶うとは言い切れませんので、この点は理解しておいてください。
親は誰でも、わが子がスムーズに新学級に溶け込んでもらいたいと願います。わが子の性格や状況を一番知っているのも親です。まずは、先生方と顔をあわせてご相談してみるのがイイのではないでしょうか。
クラス替えの要望は誰に相談するか
担任の先生や学年主任の先生、教頭先生などに相談してみるとよいでしょう。なお、相談は、直接会って話をするほか、電話でもかまいません。
ちなみに、「担任の先生を変えてほしい」「引き続き担任の先生になってほしい」という要望も、相応の理由と判断されることが必要で、簡単に通るものではありません。
しかし、表面から見えにくいトラブルは、学校も把握できていないことがあります。後にトラブルになったりすれば、子どもたちが苦しい思いをすることになります。誠実にご相談する姿勢を親御さんが持っていれば、話しは理解されると思います。
もし、学級担任との相性が課題の場合は、校長先生に相談することをおすすめします。
中学生のクラス替えの配慮とお願いはいつ?決め方と要望の仕方 まとめ
今回の記事は「中学生のクラス替えの配慮とお願いはいつ?決め方と保護者の要望の仕方を校長が解説!」をテーマに解説してきました。
学校側は、きめ細かく子どもたちの特徴を理解して、みんながスムーズな新学期が迎えられるようにクラス編成を行っています。
しかし、安易な要望を叶えることは、難しいことが理解していただけたでしょうか。しかし、親御さんのわが子への心配事は、誠実に伝えて相談するいくことをおススメします。
全てのお子さんの成長を見守る学級担任です。わが子を思うがために横柄な態度にならないよう気を付けていただけたらと思います。
ワダチブログでは、子育ての悩みなど親御さん応援の記事が多数ありますので、参考にしていただけたら有難いです。