こんなふうに母親が感じたことありませんか?
それはまさに青天の霹靂という感覚で、その日から親自身に焦りと不安、様々な心配事で感情が入り交じり、戸惑いの日々が始まります。
こればかりは、当事者でないと理解できない不安と苦しみです。この記事は、「いじめかも?」と気づいた時の「親の正しい賢い対処法」をまとめました。
子どもの大ピンチを支えることができるのは親御さんです。お子さんを支える盾になるには、いじめ問題を正しく理解して賢く対応しなければなりません。
そこで、この記事では
- 「お子さんに話しを聞く時の心構えと配慮事項」
- 「いじめられている」と話してくれた場合の対応術
- 「いじめについて話をしてくれなかった場合」の対応術
- 学校への「いじめ解決への対応」の相談の仕方
以上4視点から解説します。「いじめかも?」と気づいたときの親御さんの賢い対応法がわかります。逆に、事態を悪化させる間違いの対応例も解説しています。
私は公立中学校元校長です。これまでに様々ないじめ問題に向き合ってきた経験を記事にまとめてみました。子育て応援、中学生の生き方や先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。悩める親御さんの力になれましたら幸いです。
いじめかも?と気づいた時の「賢い親」と「事態を悪化させる親」の対応の違い
ここでは、親御さんの基本的なスタンスを解説します。
1.いじめ問題を解決する親子の基本的な関係性
結論から
定期的な「お子さんとの会話」を持てる良好な関係性を築いてください。ここでいう良好な親子の関係性とは
- お子さんが本音で話せる
- お子さんが気楽に話せる
- おこさんが弱音もはける
「お子さんが主役」のお子さんにとって最良の関係性のことです。その基本姿勢は「母親、父親の温かくも冷静な態度」です。
なぜなら、お子さんの想いを尊重しつつ「子どもを支える」わけです。お子さんの感情の起伏も日々状況に応じて変わっていくこともあります。
「お子さんが考える正解」に近づけていく視点が大切になるからです。
2.いじめ問題に 事態を悪化させるNGの親の対応例と考え方
まず賢い親になるには、自分自身が舞い上がらないことです。
- 「自分がいじめられている」ことに、親が怒りですごく興奮していたり、逆に極度に落ち込んだりしていたら、「思春期」のお子さんは、「いじめられている自分」を、親御さんに話すことは辛いことです。どんと構えてくれないと話しづらくなりませんか? 本心では話せてこそ力になるのです。
- 親御さんは、話しをする側ではなく、話しを聞く側に重点をおきます。親が考えるいじめ解決への正解に向かって勝手に走り出す親はNGです。
- (親が学校や相手方に話をつけに行くケースも皆無ではありませんが…)ここでは、親が先頭で解決する道筋を決めるのではなく、子どもの気持ちを中心に解決方法を探るイメージを優先します。
ここまでのいじめ問題に向き合う賢い親の対処法をまとめます。
いじめかも?気づいたときの賢い親の対応法
- 親自身が冷静になる。怒りを鎮める。落ち着いて対処していこうとする心構えです。親御さんも大変な心情は察しできますが、「もう大丈夫、私がついているよ」とどっしりとかまえてください。
- 特に、いじめの事実を知った段階では、親が子どもの声をしっかりと聴く、聴き役に徹するのが一番。「うなずいたり、それは辛かったね、よく話してくれたね」こんな言動を中心にします。子どもの言葉にいちいち、自分の意見を挟まないことです。
- 子どもの望む解決法(子どもにとって負担が少ない解決法)をお子さんと一緒に探っていく。今の辛い現状が解決に向かうことを考える。お子様抜きの親の考えた正解の解決法を目指さないことです。
「いじめられている」と話してくれた場合の対応術
思春期の子どもが「自分がいじめられていること」を、親に話すということは相当なプレッシャーがあると考えてください。(もちろん人さまざまですが…)
このような思春期の複雑な思いが、交錯していると考えてください。そのような状況でも親にいじめの辛さを語りはじめるのです。
第一段階 子どもの話をゆっくり丁寧に聴く
このような言葉かけは、いじめられていることを話したことへの後悔したり、ダメな自分を突きつけられてしまい委縮していまったりすることもあります。(もちろん、励まし自体が悪いわけではありませんが…タイミングです)
子ども側から見れば、そうできないから苦しんでいるわけです。まず子どもの話を受け入れ共感的に聴いてください。すぐに母親が自分の考えを伝えないことです。
第二段階 実態の正確な把握を目指す段階
重い口を開いて「いじめられている」事実を話し始めたら、次はその実態の解明です。こんな感じで聴かれたらどうでしょうか。
いじめられている内容を話すということは、「過去の今続いている忌まわしい現実を思い起こしなさい」ということになります。
お子さんには、辛い感情が再現されることを察して、「ゆっくりと丁寧」に「できる範囲」で聴いてください
内容は
- 「いつ」…毎日なのか、特定の条件のケースなのか、最近のいじめはいつ、いつごろから始まったのかの情報です。
- 「どこで」…場所です。教室、放課後、休み時間、授業中、部活動の時間、下校中のこと
- 「だれが」「なにを」…誰がどんなことをしてくるのか、いじめの内容です。誰がとは大抵一人ではないケースが多いです。「Aがぶってくる。Aといつも一緒にいるBとCは、すぐそばで口で嫌がらせをしてくる」等々
思い出させるお子さんにとっては辛いですが、できるなら「いじめ現場の映像のように理解」することが肝心です。
言葉って感じ方が人それぞれです。具体的にきけたらいいのですが。
トイレの一番奥でAが右手でグーで拳でお腹を3回、BCは入口にいた。Aは「・・・」Bは「…」と言ってバカにしていた。
「どんな言葉でどんな様子」でいじめが行われているのか、状況がわかります。
- 補足の状況「いじめられていること」を周りの友だちは知っているのか。助けてくれる人はいないのか
- 先生には事実を話し相談したのか、していないのか。相談した場合「先生は何言ったのか」
- その他、仲のいいお母さんからの情報やいじめにより壊されたとおもわれる勉強道具や汚れた洋服、担任との「やりとり帳」的な日記類などから情報収集をお勧めします。
これは、学校を「いじめの証拠」で攻め立てるためでなく、いじめの実態を正確に把握することが解決への道筋だからです。学校側も正確な証拠(事実)は、解決への糸口になります。くれぐれも、あせらず聞ける範囲内でいいのではないでしょうか?
学校側とのいじめ問題解決に向けての連携協力には事実関係を大体は押さえておきたいところですが‥‥実際は真実はなかなか複雑なときもあります。
話し始めた初期の段階では、お子さんの様子に合わせて細かすぎずとも大丈夫です。
「してほしいこと」「してほしくないこと」を確認する
ここまで事実が確認されたら、お子さんに聞いてください。ここが大事です!
場合によっては、「学校の先生には話さないで…」等いろいろと言ってくるかもしれません。そこは、じっくりと少しづつ話を進めてください。
「いじめについて話をしてくれなかった場合」の対応術
いじめられている子どもは、「先生にいじめの事実を話すと余計にいじめがひどくなるのではないかという恐怖心」から、なかなか話せないことも多いです。
子どもから「いじめられていない」と答えたときの対応術を解説します。
話しを聞き出す具体的な話しかけ
明らかにお母さんは「変」と感じたのなら、何かが起こっていて「変」なのです。母親の勘は当たっています。
子どもが「いじめはない」と答えたからといって、そのままにしないことが肝心です。こんな感じはどうでしょうか?
こんなメッセージを送っておきます。思春期もありますので「うるさい。ほっておいて」と言う場合もありますが、基本、上記の母親のメッセージはしっかりと「想い」を受け止めて聞いているものです。
鍵は、ともかく「心配しているよ、力になるからいつでも話してね。待っているよ」このメッセージを伝えることです。手紙で机の上に置いておいても…ともかく伝えたいことは伝えておきましょう。
学校への「いじめ解決への対応」の相談の仕方
先ほどポイントで揚げた、お子さんに「どうしてほしいか」「どうしてほしくないか」は大事に判断します。
仮に担任の指導力を疑い、余計いじめがひどくなるケースを心配していることは多々あります。
お子さんとの繋がり具合で静観しながら様子を見ていく段階もあるかもしれません。しかし、基本的にはいじめ問題は、静観しても解決しない場合がほとんどです。なぜなら、いじめてる側の当事者には何の自覚もないからです。
いじめ問題解決への第一歩! 学校側の誰に相談するのか
いじめの内容によっては、「誰に話すか」が重要な判断の分かれ道です。
一つの提案は「学年主任」と「学級担任」のセットです。もしくは「教頭先生」の入ってもらうかの判断です。どちらにしても複数がイイと思います。
理由は、いじめ問題の解決には組織的な対応が不可欠だからです。親が気づいたときは、いじめの関係性からすでに「いじめ関係に発展」してかなり日数が経過していることも考えられます。その対応は、実にデリケートです。
ここでいじめがどんな構造になっているか、一例を紹介します。
いじめの4層構造
いじめ問題は単純な構造ではなく、複雑な人間関係が背景にあります。
- 加害者… いじめをする生徒・グループ
- 被害者… いじめられる生徒
- 聴衆 … 「やれー」「おもしろいぞ」といじめに直接かかわらなくても、いじめ る側を支持している
- 傍観者… できるだけ、関わりたくない。この中には様々な感情がうごめいていて、助けてあげたいと考えている人も、全くの無関心の人もいます。
学級担任だけで解決するのではなく、学校を上げて組織的な対応が不可欠になります。従って複数の先生に聞いていただくことは、その回答は学校としての回答になります。
いじめ問題を相談するうえでの配慮事項
一つ目は、「丁寧に、真剣に」いじめ問題解決をお願いし伝えることです。その際「お子さんがしてほしいこと、してほしくないこと」を確実に伝えてください。王道は生徒の願いを叶えつついじめ解決を進めるわけです。
仮に指導の限界があり踏み込まなければならないと考えられるなら、つまり「してほしくないことも、しなければならない時」は、先生方とよく話し合ってください。
★「直接的な指導はしない」ままでも、いじめの実態をよりきめ細かく多くの目で探すことはできます。
話した段階では、お母さんがお子さんから聴き取った内容を把握していないわけですから、一定期間後、報告を待つわけになります。
二つ目は、学校側とは冷静に具体的に一つ一つ解決に向けて話を詰めていくが肝心。具体的には連絡を密に取り合うことを確認してください。例えば、「〇〇の学校の様子が気がかりなので、明日連絡いただけますか?」と話します。
三つ目は、学校側の指導不備を攻め立てたり、被害者意識を前面にした完全解決にこだわらないことです。
いったんいじめが発生しているということは、4層構造的な人間関係の現象があることが考えられます。学校も情報収集と指導を組織的に慎重に進めていくと思われます。その進捗状況を見守り続けてください。
どこが落としどころなのか、探ってください。もちろん、いじめる現象がなくなること、子どもを守ることは譲れません。
学校は「いじめた側」「いじめられた側」どちらも同じ学校の自分たちの生徒なのです。どちら側に偏ることはしません。 できないのです。
そのため、いじめられた側にとっては、スピード感がないように映ることもあるでしょう。
学校のスタンスに理解を示し、保護者としてどのようにすれば「わが子の安全を守り、安心して学校に通えるか」を考え、学校と気持ちを一つにするのです。
疑問点は遠慮なく声にして相談するのです。保護者の真剣な気持ちは伝え続けるのです。
いじめかも?気づいたときの「賢い親」の対応と「事態を悪化させる親」の特徴 まとめ
今回の記事は「いじめかも?」と気づいたときの「賢い親」の対応と「事態を悪化させる親」の特徴について解説してきました。
詳しく書ききれず不十分な面もありますが、いじめ対応における親御さんの基本姿勢を解説しました。
学校に行くだけが人生ではありません。一時学校への登校を「回避」することも視野に入れて、お子さんの心情を第一に考え支えてあげてください。
親が完全に自分の辛い気持ちを理解してくれている、理解しようとしてくれている姿勢は、お子さんに勇気がうまれます。
お子さんがピンチな時、母親にしかできないことが、きっとあるのです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事は中学生の子育てを応援する「ワダチブログ」です。カテゴリーは「子育て相談」「中学生の生き方授業」等いろいろです。参考にしていただけたらありがたいです。