いじめ問題をきちんと解決する力量は、すべての教員に欠かせない最重要な能力です。なぜなら、「子どもたちの命の問題」に該当するからです。これ以上の重要性、緊急性はありません。
この記事は、いじめ問題解決までの基本的な考え方、配慮事項、問題解決までの対応例を解説します。
特長は「いじめられた生徒への聞き取り時」の「先生の話し言葉」例を示しています。
「いじめられている子」に寄りそう指導の実際について下記の通りまとめました。
- いじめについて話をしてくれた場合の対応の仕方
- いじめの話しをしてくれない場合の対応の仕方
- いじめの基本的な知識理解の内容
私は元公立中学校校長です。先生方を応援する中学校教育をテーマに「ワダチブログ」を運営しています。様々な実践例に対処してきたノウハウを解説していおりますので、参考にしていただけたら幸いです。
この記事を読んでいただけたら、いじめ問題への基本的指導内容が理解できるようにまとめました。
いじめ問題解決策!教師の対応例「いじめられている人への聞き取り方」の基本
対応例の実際の前にいじめ問題に対応する大前提を確認します。それは次の内容です。
目の前の生徒が「いじめで苦しんでいる」その現実を「自分事」として受け止めることが大前提です。解決モードの前に、共感に徹し寄り添う姿勢を一番とする。
命の問題に発展するケースもあるため、全身全霊で「辛い心情を十分に理解したい」「寄り添いたい」と、教師自身がしっかりと意識することが大切です。
なぜなら、いじめ問題を解決する前に「生徒本人にもう一人にしない、全力で守る、全体解決するから」のメッセージを受け取ってもらうことが先決です。
そのためには、いじめられている子から信頼をえなければなりません。教師自身の受け止める資質がカギを握ります。
子どもは、「自分の辛い気持ちを理解してくれた」「自分の味方になってくれる人:先生」と感じたとき、心を開いて真実を語ろうとするのです。
その時の感情の交流を促進するために、
「非言語的コミュニケーション」がとても大事になります。
優しさを感じるあたたかな“まなざし”をはじめ、“表情”はコミュニケーションの鍵を握ります。
“姿勢や態度、声の調子”に気を配り、体全体で子どもを包み込むような雰囲気づくりを心掛けたいものです。
このような基本的な構えを整えて初めて対応例に入ります。それでは、実際の対応例を示していきます。
いじめ問題解決策!教師の対応例「いじめについて話をしてくれた」時
いじめ問題対応例を三つのステップで解説していきます。
- 辛い気持ちの寄り添い信頼関係を築く
- 正確な事実確認をつかむ
- 指導の見通しを伝える
いじめられた生徒に寄り添いながらいじめ解決に向かいます。その第一歩目は、信頼関係づくりです。
いじめ問題教師の対応例1ステップ 辛い気持ちの寄り添い信頼関係を築く
共感的な態度で「ゆっくり」「ていねい」に聞き取り「信頼関係を築く」段階です。
いじめられている子が「いじめについて話す」とは、「子どもは、思い起こしたくない体験を、思い出して先生に教えてください」と促していることになります。
つまり「やっとのことで話してくれている、その生徒の心情を慮ること」が大前提の心構えとなります。もしかしたら、
等々、「色々な不安と戦っているだろう心情を慮る」教師の構えが欠かせません。
そのような場面で教師の対応と言葉は
などという励ましや唐突な解決さん等の言葉かけに、生徒の心は落胆するはずです。
教師の正解など、いじめられている子どもには委縮と落胆をさせるだけで励ましにはならないでしょう。
第一ステップは、聴くに徹する。生徒の辛い心情に寄りそうことで、話す勇気を引き出すための関係づくりです。こんな話方はどうでしょうか。
共感的な態度で「ゆっくり」「ていねい」に聞き取り、生徒を包み込みながら信頼関係を築くことに専念します。
つぎは、実際の「聞き取り場面」に移ります。
いじめ問題教師の対応例2ステップ 正確な事実確認をつかむ
第二ステップは、事実確認(正確な状況の確認)の場面です。
事実確認のため生徒にいじめの様子を語ってもらわなくてはいけません。十分にその辛い心情に配慮しつつ進めます。
いじめの実態が正確につかめれば、解決へのポイントも明確になっていきます。いじめ問題対応の最初の壁です。聞き取りポイントは三つあります。
- 一つ目は「いつ」「どこで」「誰に」「何を」されたか、この視点からわかる範囲内で確認していく段階です。
- 二つ目は、そのいじめ現場を、そのいじめの現場の映像を見るように聴き取り、詳細をできゆる限り詳細に理解することです。
- 三つめは、そのいじめ現場での、加害側の暴力行為だけでなく、生徒の言葉に注目することです。
等々、生徒の語ってくれた内容を復唱しつつ、正確に聴き取り実態を正確に映像を見るように把握していきます。
いじめ問題教師の対応例3ステップ 情報の共有・指導の見通しを伝える
本格的な指導は「学級担任」が校内生徒指導体制に繋げることで、組織を挙げて解消に努めていきます。
いじめ問題に解決の第一歩は、「情報を報告する」ことです。自分自身で「軽い事案、深刻な事案」と勝手に線引きしないことが大切です。
先ず初めに学年主任や生徒指導主任に情報が届けられ、教頭校長へと情報を校内で共有します。そこで具体的な把握や不十分な情報を再度確認し合い、指導方針と役割分担等を決めていきます。
この段階では、注意事項は2つあります。
- 一つ目は「解決を急がないこと」です。
- 二つ目は「生徒の望む方法を優先して解決策を探る」しかし、解決に道筋が描けない時は、丁寧に事情を話し指導方針を伝えて理解を働きかける。
いじめられている生徒の立場に立って解決法を探ります。特に聞き取りの最後の場面では
仮に生徒の望む方向で「加害者側に指導を入れないでください」とかの希望がある場合には
こんな感じて対応するのはいかがでしょうか。
対応に失敗は許されません。適切な対応には。事態の正確な把握が欠かせないわけです。そこで一般的な「いじめ構造の4層構造」を解説します。
いじめ問題解決策!いじめの基本的な4層構造の理解
いじめ問題の解決のポイントは、「現状の正確な実態把握」です。人間関係の実態をつかむには、次の4層構造に当てはめていくといいです。
- 1:被害を受けている生徒
- 2:加害者側の生徒 加害者側が複数のケースは、それぞれの生徒の「関わり具合の見極め」が重要になってきます。
例えば、直接暴力をした生徒は一人でも、その周りを取り囲んでいた役割、ある生徒は、口だけで威嚇や嘲笑をしたり、一回だけ蹴った、胸倉をつかんだ‥‥等々
さらに、いじめが教室内や学校生活中に発生している場合、「いじめの現場」を多くの生徒が目撃をしている場合があります。いじめの事実を前にして、大きく二つの行動に分かれます。
- 3:観衆の立場の生徒…「もっとやれ!やれ!」とばかりに声を出したり、笑ったりして加害者側の立場に極めて近い立場の人たちがいます。いじめ側を支持する側にいる人
- 4:傍観者の立場の人…いじめを認識している人たち。好ましくないこと程度の感覚だったり、かわいそう、怖い、私は関わりたくない等、その心情は人それぞれです。
この4層がどのような力関係で教室の雰囲気をつくりだしているのかを見極めます。
「観衆」の陰湿な笑いや視線、「傍観者の存在」が「陰湿ないじめを支持する温床」になっていることが大です。
保護者への報告の仕方
自己肯定感を育む親と育めない親の違いは?子育てを迷わない「幸せになる力」を解説!
「元気に、生まれてきてね!」わが子へのたった一つの願いは、お子さんの成長とともにあれもこれもと“母や父の期待”が大きく随分と増えていませんか?それとともに、親の悩みやイライラも本当に尽きませんよね。この記事では…この質問から考えていきます。
仮に、「わが子への親の願い」をたった“一つ”に絞ったら、あなたはどのようにそれを表現しました?
私だったら、一言だけです。
これだけです。この答えに、賛同していただける方には大変参考になると思います。
言葉を換えれば「幸せになる力を身につけてほしい」です。それでは「幸せになる力とは何か」について納得していただけるようにまとめてみました。
いじめ問題解決策!いじめられている人が話しをしてくれない時の聞き方
教師に話すと余計に「いじめがひどくなる」のではないか、こんな恐怖心から、なかなかつらい現実を話せない生徒は多い。
子どもが「いじめはない」と言ったとしても、そのまま事実として受け止めるわけにはいきません。生徒の言葉を鵜吞みにすることなく、粘り強く働きかけ続けてください。
例えばこんな促し方はどうでしょうか?
こんな対応はいかがでしょうか?
「いじめ」について一言も話さない場合は
こんなふうに意図的な声掛けを「予約」して関わり続ける姿勢を伝えます。
いじめ問題解決策!教師の対応例「被害者生徒と親への対応」の仕方は?
親がわが子のいじめを知った時、「驚きや怒り」が込み上げ感情的になることもあります。
子どもかわいさが先走り、相手のうちに乗り込んだりして、問題がこじれていくこともあります。いきなり乗り込んできて学校側を徹底的に攻撃し、即時の解決を求める親もいます。
どちらにしても、親御さんとの意思疎通を速やかに測り協力支援体制の信頼を価値炉らなければなりません。
特に初回の面談での対応がカギを握ります。
面談成功のカギは
- 親の感情に注目して面談を進める。
- 聞き取りの事実を正確に伝える。
- 重大な問題として考えていること伝える。基本方針をしっかりと理解してもらう。
- 子どもの気持ちを第一に考えて進めていくことを確認する。
- 連絡を密にとり合うことを確認する。
短期間で相手側を謝らせたりする等、一気に解決しようとする行動には、注意したいものです。いじめが解決したように見えても、いじめの形を変えて継続することもあります。
子どもの希望する想いを察しつつ、反対のことを指導せざるを得ない時は、事前によく話納得してもらうように充分な説明を行うことが大事になります。
いじめ問題解決策!教師の対応例「いじめられている人への聞き取り方」の実際 まとめ
今回の記事では「いじめ問題解決策!教師の対応例「いじめられている人への聞き取り方」の実際」についてまとめてみました。
実際の話し言葉でご紹介させていただきました。参考にしていただけましたら幸せです。
いじめは完全に解決したと見えても、形を変えて根強く残ることもありますし、現象は解決していても、いじめられた側は心が癒えずに深く傷ついているケースもあります。
長期にわたり経過観察を入念にして、根絶を目指したいものです。
中学校教育を中心にした先生や生徒を応援、子育てを応援する「ワダチブログ」を運営しています。参考にしていた抱けたら幸いです。