こんな先生方に向けて、まとめた記事です。
この記事の特長は、道徳の時間の「考え方」と「やるべきこと」を4つの柱で理解できます。
- 一つ目は、「道徳の授業って何?何を考えさせたいのか」が理解できる
- 二つ目は、楽しく有意義な「道徳の時間」にする基本条件がわかる
- 三つ目は、楽しい時間にする教師の基本姿勢がわかる
- 四つ目は、短時間で準備ができる授業改善の視点(忙しい先生方に必見)
私は、公立中学校の元校長です。定年後は、先生方や子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
現役時代は、「抜群に上手な先生、個性的で○○先生らしい授業をなさる方、生徒指導は得意なのに、極端に苦手意識のある先生」と色々な先生方に出会いました。
この記事で、多くの先生方に、「道徳の授業はこれを押さえれば、いいんだ」という「自分自身の正解」に気づいていただきたくまとめました。
先生方のお力になれたら幸せです。
道徳の授業内容で大切なこと気をつけることは?
道徳の授業づくりで「気をつけること大切なこと」一つ目の柱から解説していきます。まず初めに「道徳の時間に何を考えさせたいのか」をハッキリとさせておきましょう。
子どもたちに考えさせたい価値は、次の3つです
- :道徳的価値を学ぶ時間
- :人間理解を学ぶ時間
- :他者理解を学ぶ時間
順に説明していきます。
1.道徳の時間は「道徳的価値」について理解する
道徳の時間ですから、「道徳的な様々な価値について学ぶ」のは当たり前のことですね。
しかし、ここでは一旦説明を省略します。理解しやすくするために、大変極論ではありますが、ここより大事なことがあります。
2.道徳時間は「人間理解」を学ぶ時間
ここでは、「1の道徳的価値」はすべて大切な価値です。大切な価値観って、授業するまでもなく知識面では、みんな「大切だよねと、知って」いることです。
現実的な問題は
大切であることはわかるけど、実現することは難しいこと!
それが人間じゃない?‥‥そのような人間理解を学ぶ時間が道徳の授業です。
授業は「道徳的価値の理解」をねらいとして先生方は重視します。多くの先生方の意識がそこに向かいます。
目指すGoal像として、大正解なのですが、道徳的な価値の理解だけを目的にすることが、苦手意識をもつ先生方を混乱させていると私は考えています。
道徳の時間を「楽しい時間」「興味深い時間」にするには、
と、ゆさぶりながら…「人間理解の価値を学ぶ時間」の充実に意識をむけることをことをおすすめします。
そして次に来るのが「他者理解の価値を学ぶ時間」への意識です。
3.道徳の時間は「他者理解」を学ぶ時間
他者理解とは・・・
- あっ、その感じ方私とおなじ…みんなもそう感じるんだ
- えっ、そんな感じ方もするんだぁ…自分の見方と違う…おもしろいな
ひとそれぞれに、多様な感じ方や考え方があることに気づき学ぶこと
道徳の時間の意見交換を通して、いつも一緒にいる仲間の存在に
仲間の「こんな発見」を大切にする道徳の時間って、きっと子どもたちも「楽しい」と思います。だって、自分の考えを自由に安心して発表できる「仲間がいる教室」って楽しいですよね。
発表したら…聞いてくれる仲間がいるって「安心できる」「嬉しい」ですよね。仲間の自分とは「違う意見を聞くことができる時間」って、刺激的です。
この3つの「道徳的価値」「人間理解」「他者理解」価値観が重なり合うと、基本的な道徳の時間の構成がこうなります。
教材から(本日の取あつかう)道徳的価値にふれる
- 自分の「感じ方」「考え方」を持つ
- 人間理解では、「今までの自分の感じ方」をゆさぶられます
- 他者理解では、「仲間の意見に共感したり、新しい感じ方に気づいたり」します
- (2の段階の)自分自身の「考え方」が変化 豊かに 広がり を目指します
- 結果…(本日のねらい)道徳的価値の理解が深まる
- 自分事として学べる
ねらいとする道徳的価値にかかわる事象に対する感じ方、考え方を「生徒が自分自身との対話、仲間との対話」の中で
考え方、感じ方を広げられるようになる授業を目指してください。
「学級内で仲間との意見交換で語り合う」ことで、人間の弱さを含めた「人間理解」人間の多様性を考えさせる「他者理解」を深めていくことが大切です。
その結果
最初の「自分自身の感じ方、考え方」が「広がったり、深まったり」できるような道徳の授業を目指したらいいのではないでしょうか。
道徳の授業内容で大切なこととは?小中学校の授業づくり基本条件
楽しい道徳の授業とは?こどもたちが、意欲的に授業に参加したくなる授業とは?道徳の授業づくりで気をつけること大切なこと2本目の柱を解説していきます。
自由に自分の「感じ方、考え方」について意見を発表できる学級であること!
これが「楽しい」「有意義で、新しい学びのある」道徳の時間の絶対条件です。
道徳の授業が成立するには
- 安心・安全な自分の居場所がある学級
- 意見を発表しても「バカにされる」ことなく、望ましい人間関係が育まれている学級
これが欠かせないのです。この意識なしで「道徳の時間」の充実はありえません。
多様な意見を引き出すには、「対立する考え」が出るような中心発問や補助発問を用意したり、隣の席同士や4人程度のグループで気楽に意見交換ができたり、できる雰囲気が大切になります。
誰もが、安心・安全な居心地いい人間関係を基盤にする学級経営が不可欠になります。
「ハッ」とさせられた意見
「なるほど~」と思った意見
仲間との関わり合いこんな意見との出会いが「道徳の時間を楽しく意欲的」になり、道徳的な価値の深まり、広がりに繋がるはずです。
学級内で、自分らしく発表できたり、友だちに認められたりすることは、きっと喜びとともに道徳的価値の理解も一段と深まるでしょう。
友達の考えとの出会いは学びを深め、楽しいものです。そのことで、新しい自分自身の考え方、感じ方にも気づき、自分らしい生き方の学びに繋がるはずです。
道徳の時間とは?小中学校の授業の基本姿勢は「何を学ぶ時間か」
道徳の授業づくりで気をつけること大切なこと3本目の柱「教師の基本姿勢」から解説していきます。
1.目指す道徳の時間の姿をクラスで共通理解を図る
道徳の授業のGoalを「本時の道徳的な価値の深まり」と考えると、身構えてしまう先生は多いように感じます。つまり、まさしく「特別な時間」の授業という感覚。
普段と違う先生では、子どもたちもなかなか「素の自分」を出しにくいのではないでしょうか。
道徳の授業のGoalを「学級でレクでもするような、“みんなで”“楽しい”時間にしたいな」このくらいの意識がいいのです。
その実現には、「先生は、道徳の時間を…そんな時間にしたい!!」と子どもたちに語り、伝えなければなりません。
「本時の道徳的な価値の深まり」より大切なことがあります。それは、そもそも1年間35回も何を目的として「道徳の時間」があるのかについて、語る必要があるとは思いませんか?
「よき人間関係を目指す学級経営」の考え方です。年間を通して、「自分の意見を表現する」ことの大切さと「聴く構え」の大切さを指導することが大事になります。
意見を持つことの大切さ、それを表現することの大切さ、仲間の意見を尊重してを温かく受け入れることができる「聞く力」の大切さを、学級全体で共通の考え方にするのです。
そして、その基盤には「一人一人の良さ(個性)が違っている」ということの正しい理解です。つまり、違いを「変」ではなく、「違い」を認め合う価値観を育まなければなりません。
学級内の基本的な考え方を…学級文化という言葉で表現できます。
楽しい道徳の時間を目指す教師の基本姿勢
教師の基本姿勢は4つ。簡単すぎる表現に本質がつまっています。
仲間と安心して自分の感じ方を表現できる人間関係の大前提は、先生自身が心を生徒に開き「わたしたち」を受け入れてくれていると子どもが感じることをめざしましょう。
教師は、子どものよきモデリングの対象なのです。そう自覚してください。先生が道徳の時間にどんな表情で、どんな様子で授業しているのでしょう。
細かな技法やテクニック、授業の流し方(もちろん大事なのですが)より、ぜひ次の項目に集中してください。生徒は、絶対喜びます。
- 先生自身が‥‥明るく
- 楽しそうにイキイキと
- 嬉しそうに
- 笑顔いっぱいで‥‥授業していたら子どもたちのとって最高!なのです。
コミュニケーションの成否の鍵、第一は「非言語コミュニケーション」です。つまり
「声の調子 表情 目の輝き、まなざし 姿勢や態度等」が大事です。教師の笑顔が生徒にとって一番の安心感を与えるものです。
どんなに価値あることでも、無表情で淡々と進められても「意欲は高まらないし」「思考は働きませんよね」
そして、想いを熱く語ってください。道徳の授業では、先生が自身の価値観を語ることはありませんよね。でも私は、先生が語る意義は年間を通して伝え続けていいと考えています。
子どもたちの思考にも変化が期待できます。
このような「変化」を道徳の授業に期待したいと思います。
道徳の時間のねらいって私なら、「どんな道徳の時間にしたいのか」その価値観を子どもたちに語り続けます。それが基本姿勢です。
道徳授業って、この3つ!が大切!
- 自分がわかること
- 仲間のすばらしさがわかること
- 大切なことがわかる
そして、1年間の授業を通して、「こんな生き方が自分らしい生き方なのかな…」こんなことを考える時間にしたいです。仲間と語り合いながら楽しい時間にしたい。
繰り返し口癖のように、話してあげてください。
道徳の授業で気をつける教師の考え方と授業改善の視点
道徳の授業づくりで気をつけること大切なこと4本目の柱は「授業改善の視点」から解説していきます。
1.意見を広げる問いかけ
教師は、子ども同士の「交流」をサポートする役割を果たします。
先生とのやり取りではなく、子どもたちの発表が「仲間」に対して、伝えようとしているか。この視点で支援してあげてください。
子どもたち同士の意見交換です。
2.一人の考え方を多面的・多角的に広め深める
考えを述べる時には、「自分の立場を明らかにする指導」を意識してみてください。
3.論点を整理し絞る
意見が言いにくいときは、論点をしぼりましょう。
といった論点を明らかにするような補助発問もしてみてください。自分の意見をもちやすく,他者との違いもはっきりとして、自然と考えを深めていけます。
4.発問の言葉の精度を高める
「友情について考えよう」と言われても、「友情」のとらえ方が人によって違います。つまり抽象過ぎるのです。
ここでは「忠告し合える友情って、どうだろう」と言い換えると、考える焦点が絞られ、意見の交流が期待できます。
5.「書くこと」で思考を深める広げる
授業の中で「書く活動」の充実を図ってみてください。気付いたことや感じたことを書かせるといいと思います。
子どもの振り返りには、自身の考え方の変化や仲間の参考になった考え方や感じ方にも注目させてもいいと思います。
「書く活動」中に子どもの様子を丁寧に観察して、クラス全体に取り上げるのもいいです。
挙手しない子どもを活躍の場面を認める言葉かけをするなどして、授業への参加意欲を刺激していくことも大切です。
道徳の授業内容で大切なこととは?小中学校の授業づくりの考え方と基本姿勢 まとめ
今回の記事では「道徳の授業内容で大切なこととは?小中学校の授業づくりの考え方と基本姿勢」についてまとめてみました。
私の提案は、「こんな道徳の時間にみんなと作りたい」想いを熱く語ってください。
道徳の授業では、先生が本時のテーマについて自身の価値観を語ることはありませんよね。
私は、「クラスが目指す道徳の時間の共通理解」を先生が年間を通して
伝え続けていいと考えています。
こんな感じです。
学級経営の基本である
授業を「楽しく学べる」望ましい人間関係とは
自分の考えを発表しても「バカにされない」…安心できる人間関係です。聞き方の指導も大切ですね。「自由に意見を言えるって楽しい」という価値観が共有されている学級づくりを目指してください。
そんな学級づくりとともに、道徳の授業も“自分らしさ”を発揮していきましょう。先生の笑顔で認めてくれたら、子どもたちもきっと喜びます。
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