学校の先生

中学校3学期始業式の校長挨拶文例!式辞に込める想いと生き方指導を解説

お正月は初詣などで家族で過ごし、楽しい冬休みが終わり、学校が再開される3学期始業式。

子どもたちは、学校の再開を楽しみにしている一方、年末年始の不規則の家庭生活から規則正しい集団生活に不安や不適応をおこす生徒もいることでしょう。

始業式の校長の言葉は、全校生徒の目指す方向性を示すとともに、教職員にとっても方針を確認する言葉となります。具体的でわかりやすく語りたいものです。

この記事では、3学期始業式に全校生徒に語り掛ける校長挨拶について「話のネタや伝え方」について提案します。

私は公立中学校の元校長です。子育て中の親御さんと先生方を応援する「ワダチブログ」を運営しています。

校長式辞の考え方は、小中学校共通です。実際にお話した式辞から「指導内容」についてご紹介しています。参考にしていただけたら幸いです。

全校集会の校長講話「話ネタ」例文!中学生の日常生活から活躍を伝える毎月一度の全校朝会や様々な集会で、校長が話す時間は数分です。されど、全校生徒に直接語り掛けることができる貴重な時間でもあります。 ...

中学校3学期始業式の校長挨拶の文例!式辞の実際

2年分の実際の式辞の一部をご紹介します。

1.3学期始業式の校長挨拶 ~式辞の実際

おはようございます。そして、新年あけましておめでとうございます。こうして、また、みんなが揃い始業式が出来ることを嬉しく思っています。今日は、皆さんに詩を紹介します。「バスのなかで」という詩です。聞いてください。

「バスのなかで」  坂村真民

この地球は 一万年後 どうなるかわからない
いや明日 どうなるかわからない
そのような想いで こみあうバスに乗っていると
一人の少女が きれいな花をさしあげて 乗り込んできた
その時 わたしは思った  ああこれでよいのだ
たとえ明日 この地球が破壊されようと
このような愛こそ 人の世の美しさなのだ
たとえ核戦争で この地球が破壊されようと
そのぎりぎりの時まで
こうした愛を 失わずにゆこうと
涙ぐましいまで 清められるものを感じた
いい匂いをはなつ まっ白い花であった

先生はこの詩を読んで、こんなイメージを膨らませました。

この少女は、きっと大切な人に この花を届けるのだろうと思います。

それは、お母さんか、お父さんか、おじいちゃんか、おばあちゃんか、お友達なのか、わからない。でも、きっと自分に買った花でなくて、大切な誰かに届けたい花なんだろうなあと想像しました。

だからこそ、混み合うバスの中で 花を高くかかげて花を守り、届ける相手の喜ぶ顔を想像しているのかなと思いました。

人間って、「自分のために頑張ること」は言うまでもなく大切なことなんだけれども、

「誰かのために」と考えてとる行動は、本当に美しいし、本当に強くなれるし、本当に頑張れるんです。美しい思いやりや愛は強いし、自分を大きく成長させることができます。

自分を大切にすると共に、自分の身のまわりの全ての人達に、この詩のような「思いやりや愛が、私たちの○○中学校にたくさん広がるといいなあ」と新年を迎えて、心からそう思いました。

この学校は、みんなでつくる学校です。

目標を持たないで、なんとなく学校に登校し、なんとなく受け身的な生活をしてはいけません。

私たちの○○中学校を「どのような素晴らしい学校にするか」「私たちの誇りある○○学校にするか」学校づくりの主人公は、みなさんです。

私は、この○○中学校が大好きです。みなさんはどうですか?自分の学校、私たちの学校です。何事も他人事ではいけません。学校づくりに自ら参加することで「自分事」として考えられるようになります。

もっともっとみなさんが活躍する姿が見たいです。学校づくりに自分から関わると、もっともっと○○中学校や仲間のことが大好きになって、みんなが誇れる○○中学校にしたいですね。

さあ、3年生はいよいよ卒業の学期です。1・2年生は進級につなげる大切な3学期の始まりです。

○○中学校が皆にとって誇りある母校になるように、そして、人を思うやさしい笑顔があふれる学校になってほしいことを願い、「バスのなかで」という詩を紹介し3学期始業式の式辞といたします。

2.3学期始業式の校長式辞の実際

おはようございます。新年明けましておめでとうございます。また、みんな揃って始業式が迎えられることを「当たり前」とせず、心から喜びたいと思います。

さあ、新年は始まりの時ですが、3学期はそれぞれの学年のまとめの学期の始まりです。

この学校の素晴らしい伝統と文化についてお話しします。

○○中の誇れる伝統と文化は「1年1年成長を積み上げていける学校」だということです。

具体的に言えば、合唱でも何でも3年生が最高レベルということです。3年生が手本を示してくれるということです。これは素晴らしいことだと思います。

どうして、そういう学年ができたかと言えば、皆さんと先生方が一緒になって努力し創り上げたからです。でも、忘れてはならないのは、3年生の前には24年度を引っ張ってくれた立派な先輩である卒業生がいたからです。その伝統を引き継ぎ、それを乗り越えて今があるんです。

「だから、2年生には今の3年生のよさを吸収して成長していってほしいなあ」と思うのです。1年生2年生から「先輩のようになりたい」と「憧れる」学年となって、この○○中の「顔」となってくれると信じています。

3学期はそんな学年へのまとめとスタートの時なのです。

1年生は、あと3ヶ月で新入生を迎え、先輩として手本を示して欲しいと思います。この1年間で本当にたくましく成長してきました。「先輩って、そごいなあ」って思われる実力をつけてほしいなあと思います。

きっと今の3年生と2年生のよさを学んでいけるのだから、みんなが最高の学年に成長していくんだろうなあと先生は思っています。

みんなにとってこの○○中学校は「母校」です。この学校で素晴らしい仲間と先生と一緒になって成長してきたんだと「誇れる学校」「自分の心の中での日本一の学校になれるよう」頑張ってください。

今日皆さんにお配りする学校だよりの表題は「積小為大」という言葉が書いてあります。

積は積み上げるという字、小は小さいという字、為はなすという字、大は大きいです。「平たく言うと、小さいことを積み上げていけば、大きい成果があがりますよ」ということ。塵も積もれば山となるですね。

夢や目標、なりたい自分にむかって、コツコツと積み上げていくことの大切さを新年の始めに確認し合いたいと思います。

ファンモンの歌詞に「不平不満をいう前にまず一歩  凹む前にまず一歩  ほら気づいたらもう二歩目」「片足でも明日に放り込め」そして、「誰と競っているんだよ」「一番のライバルは 目の前の鑑に映っているだろう」とあります。

「積小為大」一人一人の小さな努力、そして、優しさ、思いやり、おはようの挨拶、そして、互いを認め合う明るい笑顔の一つ一つが、この○○中学校に積み重ねられ「こだま」のように広がり、大きな、大きな力となるのです。

だれと競争しているわけではない、私達自身の誇れる○○中学校なれるよう皆さんの力を一つにして頑張っていきましょう。

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3学期始業式の式辞に込める「想いと考え方」を解説

目指す理想の学校づくりは、「みんなでつくる笑顔あふれる学校」としました。

目指す学校像の「みんな」とは、4つの視点があります。

  1. 子どもたちの笑顔です。子どもたちがつくる学校です。つまり、子どもたちの「自治の力」を育むことです。自治の力とは生徒会、専門委員会、係活動の他、生徒の活躍する機会がたくさん用意されている学校を目指しました。
  2. 保護者の笑顔です。PTAをはじめ保護者の力をかりて「ともにつくる学校づくり」です。
  3. 地域の方々の笑顔です。地域人材の教育力を活用して進める学校づくりです。
  4. 先生方の笑顔です。先生方一人一人の活躍と成長が学校づくりに欠かせません。

今回の校長挨拶では、「1」の子どもたちの「自治の力」を話ネタにしました。

校長として「生徒の実態の事実を述べて、賞賛する」ことを心掛けます。校長として「何を“よし”として紹介するのか」子どもたちも、先生方も注目してます。

この学校の素晴らしい伝統と文化について、事実として取り上げたことが

○○中の誇れる伝統と文化は「1年1年成長を積み上げていける学校」だということです。具体的に言えば、合唱でも何でも3年生が最高レベルということです。

何事も3年生が手本を示してくれるということです。これは素晴らしいことだと思います。

☆校長として選んだ「事実」が3年生の実力を認めることでした。

これも「1」の子どもたちの「自治の力」を話ネタにした例です。3年生を先頭に、2年生がそれを追い抜いていく、さらにその次には1年生が続いている学校像です。

自分たちの学校教育の3年かの積み重ねの成果が「3年生の姿に表現」されているのです。

中学校3学期始業式の校長挨拶文例!式辞に込める想いと考え方 まとめ

今回の記事は「中学校3学期始業式の校長挨拶文例!式辞に込める想いと考え方を解説」についてまとめてみました。

私は「言葉の力」を信じています。教師の指導力とは、子どもたちに「言葉を丁寧に伝える」ことだと考えています。

 

子どもたちの将来の自立に向けて「正しい価値観」を提案していくことだと考えています。

わずか7分程度の与えられた時間。

言葉を届けることへのこだわりを持ちたいと考えて、ささやかな実践を積み重ねてきました。教師である以上、自身の影響力を自覚して「豊かな言葉をたくさんの子どもたちに届けてほしい」と願っています。

「ワダチブログ」では、中学生に向けた「生き方」をテーマにした記事もあります。先生方の話ネタとして生き方指導の参考になりましたら嬉しく思います。

ここまで、お読みいただきありがとうございました。