今回の記事は、中学生から5年10年後の近未来に視点を置いて考えていきます。つまり、就職、大学入学、20歳等「子育ての一般的なゴール時期」から逆算して、今修正すべき点について考え方を進めていきます。
もしかして、日常のあわただしさに心を奪われて、子育ての一番肝心な点を置き忘れているかもしれませんよ。
勉強しない子供にイライラ!嘆く前にかんがえてほしい「幸せになる力」
もし、幸せになる力があるとするなら、それはどのような力だとお考えですか?
もしかしたら、「夢中になって遊んじゃう力」なんて、あってもよくないですか?「何でも、●●力とつけるな!」と思われるかもしれませんね。
でも、夢中になって遊んじゃうことができたら、人生楽しいですよね。一人で「楽しめる時間をもてる」こともいいけど、「人と一緒に楽しめる力」も素敵じゃないですか?
言い換えれば「コミュニケーション能力」
人と関わり合っていこうとする力。力というより「意欲」です。
心のエネルギーです。私が考える心のエネルギーの源が、自己有用感です。
「自己有用感」のはぐくみについては、最近の教育現場ではよく語られます。みなさんには、聞きなれない言葉と思います。今日は、この言葉からご紹介していきます。
勉強しないを嘆く前に!外せない子育て最重要ポイントは「自尊感情と自己有用感」
自己有用感とは、一般的には自尊感情のこと。自尊感情はよく言われますよね。
自分に対して肯定的な評価を抱いている状態をさすSerf-esteemの日本語訳です。
思春期に入った中学生には「自分に自信が持てない、人間関係に不安を感じている」傾向が一般的に見受けられます。
その対策の一つに、「自尊感情を高めることが大切」という考え方は以前よりありました。
「褒める教育」もその流れから来ています。「褒めることで、自信をつけさせたい」という願いです。
「褒める」ことは、子育てにとても大切な視点です。しかし、何事もバランス感覚が大事。
親や教師が誉めて自信をつけさせたいと考えても、
学校では周りの子どもから肯定的な評価が得られなかったり、そもそも実力以上の過大評価であったりして、自他の評価のギャップに戸惑う生徒もいます。
誉めれば育つわけでもありませんよね。叱ることもたくさん出てきますし……
そこで、この自己有用感が大事になってくるわけです。
文部科学省 国立教育政策研究所の生徒指導リーフナンバー18から引用します。
人の役に立った、人から感謝された、人から認められた、人に喜んでもらえた、という自己有用感は、
自分と他者(集団や社会)との関係を自他共に肯定的に受け入れられることで生まれる、自己に対する肯定的な評価のこと
自己有用感は、他人の役に立った、他人に喜んでもらえた、…等、相手の存在なしに生まれてこない点で
「自尊感情」や「自己肯定感」等とは異なります。
単に「クラスで一番足が速い」という自信ではなく
「クラスで一番足が速いので、クラス代表に選ばれた。みんなの期待に応えれるように頑張りたい」という形での自信です。
その意味では「クラスで一番、足が速い」かどうかは、さほど重要ではなくなっている、とさえ言えます。
「褒めて自信を持たせて育てる」という発想よりも
「認められて、自信をつかませ育てる」という考え方のほうが、子どもの心に生き続ける心のエネルギーになります。
この考え方を応用すれば、ご家庭でも
■■のおかげで、
〇〇をしておいてくれて、お母さん助かったあ。
ありがとうね。
本当によく気付いたね。
頼りになるなあア。お母さん、うれしい。
こんな言葉の表現とお母さんの笑顔は、
子どもにとって、自分の行動が家族の一員として前向きに評価されています。
子ども自身が「家族のかけがえのない一員である」という意識と同時に、自身の成長をも実感できる場面になることでしょう。
子育てのなかで
「自分のできること」と「家族が喜んでくれること」を、つなげる一工夫を考えてみてください。
きっと、「認められて、自信をつかむ」流れができますよ。
学校教育の中で、学校行事に学級一丸となって燃えることや部活動で仲間と一緒に活動することが、単なる思い出作りではなく、
大切な「人生勉強」になっていることが、理解していただけたでしょうか。
勉強しない子供にイライラ!「自分に合わない」が、引きこもり現象に
「合わない」とは、言い換えれば、自分には無理!ということ。
判断基準は自分です。(それ自体が悪いことではありませんが…)仮に
- 「自分に合わない」会社だから、
- 「自分に合わない」大学だから、
- 「自分に合わない」人だから、
- 私には、できない。私は嫌。
これって、自分の感覚が絶対だから、「自分に合わせてくれない会社」が悪いということにもつながりますよね。
上手くいかない原因は「自分に合わせてくれない相手のせい」という考え方です。
この考え方や価値観では、いつも自分の方からしか見ていないことになります。これでは、様々な個性彩る人間関係を楽しむことはできませよね。逆に苦痛になっちゃう。
自分から、置かれた環境に合わせていく、多様な個性に歩み寄っていくことが、必要な力なのです。
人と関わり合っていこうとする力と意欲です。これも、「幸せになる力」に入りませんか。
高校、大学に進学すれば、社会に出れば…これが子育てのゴールではありません。そこで経験するであろう、様々な場面に対応できる力を身につけさせたいものです。
■感覚的に合わない人が、きっといるでしょう。
■悪口を言う人もいるでしょう。
■社会に出ればさらに、上司との関係に悩むこともあるでしょう。
■顧客の苦情や無理難題もあるかもしれません。
■価値観の違う部下の指導まで加わります。
きっと、荒波や壁が立ちはだかることになります。
だからこそ、「たくましさの育み」が今から必要になってきます。
心のエネルギーのため方を教えることが、親の子育てに欠かせない視点と思います。どうお感じになりますか?
その最後の土台作りが、中学時代です。私は、親御さんと教師の共通の役割であるように考えてきました。
せっかく希望校に合格できて、高校1年生になれたのに5月には、学校に行きたくない…そのような生徒もいます。
せっかく希望大学に合格したのに、いつの間には親に内緒で退学していた…こんなケースもあります。
せっかく就職したのに、自分に合わないと辞めてしまった…7・5・3という現象です。「自分に合わないから」を理由にして、立ち止まらせたくはありません。
そのためにも、親の関心ごとが、目先の学習の成績や進学だけに心を向けているだけでは不十分です。
その子ども特有のよさに気づけて、認めることができるように、私たちは、多様な尺度を持ち合わせることが大切と考えます。
自分に合わないから…
ここでは、考える視点の一つの傾向として紹介しています
自分に合わないから…どんどんと行動に移し、自分に合う場所を探す生き方が悪いわけがありません。
方向を転換させる力も、生き抜くために大切な視点です。生き方ですから。
全否定している考え方はしていません。
正しい生き方を説いているわけでも、ありません。
ここでは、「エネルギー切れ」になってしまう諸課題や考え方に重点を置いています
今の時期のお子さんの急激な変化は
「親にとっては、苦しみ」ですが、「子どもにとっても、通るべき苦しみ」に違いありません。
そう考えていくと、中学生時代の思春期に「自分の思うようにならないこともある」苦労を経験しておくことは、決して悪いことばかりではありません。
とても必要な人生勉強をしているのかもしれません。
- 学力だけに一喜一憂するお母さん、お父さん。
- 結果だけに一喜一憂する親の考え方・価値観を、お子さんもまた❛学習❜します。
- 親が何を大切にして生きているのか。しっかりと学習しています。
近未来を見据えて、どんなことが大事なのか、少しだけ考え直してみることもいいかもしれません。
目の前のお子さんの真の姿、真の課題が見えてくるかもしれませんよ。
勉強しない子供にイライラ!嘆く前に外せない子育て最重要ポイント「先生が行う生徒指導とは」
文部科学省 国立教育政策研究所の生徒指導リーフ1から引用します。
生徒指導とは、
社会の中で、自分らしく生きることができる大人へと児童生徒が育つように、
その成長・発達を促したり支えたりする意図でなされる働きかけの総称のことです。
親にとっては、子育て。教師にとっては、生徒指導。
ゴールは共通です。
生徒指導も子育ても、子どもが、自分自身で自分を成長させていく過程を、応援していく。
子どもが、集団や社会の一員として自分らしく生きる大人になれるように、応援していく。
つまり、子どもの未来に視点をおいているのです。
「自分の足で歩いて、自分らしい幸せな生活をおくる力」を身につけさせたいわけです。学校では、学級活動や生徒指導の進め方で、3つの留意点があります。
それは、
■1:自己存在感を与える工夫…自己有用感で説明しました。
■2:共感的な人間関係の育成の工夫…これはお子さんの心情面を慮って寄り添っていくことです。
■3:自己決定の場を与える工夫です。…これについて説明します。
自己決定の場を与える工夫
自分のことは自分で決めさせる!ことです。
「自分の人生の主人公」は、自分です。
自立という子育てのゴールに向かうには、自分のことは自分の責任で、決めていくことが欠かせないのです。
そこで、自己決定の場面設定の仕方の一例です。
小さな男の子が、高い台の上に登ってしまったとします。
親として「そこは危険」と、教えなければなりません。そこで、
お母さんは「そこは昇るところではありません」と注意。
●自分で、降りられる?…A
それとも
●お母さんが、抱っこしてあげようか?…B
どっちにする?
子どもに自分で決めさせる。これが自己決定。
しかし、子どもが、ずっと台の上にいるという自由はありません。危険ですから。
だから、AかBか、どっちを選んでも子どもは、「降りる」ことになるのです。親として譲れない点はあるからです。
しかし、親や教師が「しなさい」と言われてするだけの生活から、
小さなことでも、「自分で決めて、自分で行動する」習慣を身につけさせる観点から、とても大切な手法です。
ポイントは
「自己決定」とは、子どもに自由に決めさせることではありません。
親として、教師として「譲れないこと」も当然あります。
だから、譲れる範囲内での、子どもの自己決定です。
しかし当然、お子さんの成長とともにその制限は徐々になくなっていきますが…
少なくても、
わが子は、もう自己決定できるのに、親が先回りして
「親にとっての安全」「親にとっての希望」を「子どものために」と選んでしまい、子どもは、親の決めた道を歩くだけの中学校時代では、
私は、子ども自身が「将来にその付けを支払うことになる」と考えています。
https://wadachiblog.com/p-sansya-mendan/
人として大切な「思いやり、やさしさ等の心の豊かさ」と同じように
「困難に出会っても、自分て人生を切り開く、たくましさ」も大事に育んでいってほしいと願っています。
今の子育ての大変さは、もしかして将来に生きてくるかもしれないし、そんなに悲観することでもないかもしれません。
逆に、今何も問題がないと考えていても、本当は大切な視点が抜け落ちているかもしれません。
少なくても「学力がある」ことだけで、将来を保証されたわけではないのですから、安心はできないと思います。
お子さんを、肯定的に評価できる多岐にわたる視点を身につけていきたいものです。
今日も、読んでいただきありがとうございました。