あなたは、生徒から信頼されていますか?教師になったからには、生徒指導の力量を向上させたいと誰もが願います。その秘訣をまとめました。
この記事では、「見られている自分」を意識するだけであなたの生徒指導力は確実に向上するという内容を解説します。
私は公立中学校の元校長です。40年の経験をお伝えし先生方や子育て中の親御さんを応援する「ワダチブログ」を運営しています。
学級担任になって学級経営に困っている方や、初めて学年主任になって「どう指導・助言したらいいのだろうか」と、悩んでいらっしゃるかに向けて書いた記事です。
生徒指導の「考え方・進め方」が論理的にわかり、迷いが消えることを目指しました。お役に立てればありがたいです。
信頼される教師への思考転換 「見られている自分」を意識するとは?
日常の一コマです。
先生方は、「宿題を忘れた生徒」に「指導?」をはじめます。先生と宿題を忘れた生徒の「二人のやり取り」が教室内で始まります…
ここで大切な事実を、一緒に確認しておきましょう。
注目してほしい事実、それは「生徒」と「指導する先生」のすべてを、教室内の多くの生徒たちが「聞いている…注目している」ということです。
もしかしたら、背中でも二人のやり取りを聞いている子どももいるかもしれません。
信頼される教師への第一歩!教師の思考転換「教師は常に見られている」
信頼される教師へ2つの視点から解説します。どうか思考を転換してみてください。
1.信頼される「話し方」をしているか
先生の子どもたちへの語る言葉は、大切です。それと同じように意識してほしいことは、
先生が「どんな話し方だったか」という視点です。言葉は大切に違いありませんが、生徒にとっては、「どんな言われ方」をされたか、ここが大きな分かれ目です。
その理由は、
表現の仕方に、その先生の素の自分が、出てしまうからです。先生自身は意識していなくても、生徒にはしっかりと見抜かれています。
素の自分とは、その方の偽りのない本当の姿、本質、人格です。隠し切れない部分です。
仮に、先生が「いつも生徒に話していること」とその先生が「していること」のギャップがあれば、生徒との信頼関係は大きく崩れていきます。…先生自身の言動のギャップの視点です。
その言葉、表情や態度、声の調子…生徒とのかかわり方に、そもそも愛情があるのかという視点です。
「私はお前というような言い方はしたことがありません!」こういう話ではなく、例えば「●●さん」という言い方であっても、愛情が伝わらない言い方もあります。逆に「お前なあ」に愛情を感じることだっておこるのです。
先生方の今の指導に「指導事項と一緒に、生徒への愛情を伝えているか、生徒には伝わっているか」という視点です。
2.信頼される教師の条件「公平かどうか」
また、別の生徒が同じ指導内容なのに「自分の時の指導と先生の態度が違う」場合もあるかもしれません。…公平であるかどうかの視点です。
あれ、同じ宿題忘れなのに、●●さんの時と先生の言い方、
明らかに違うよね!
なんで私には厳しいの?
差別しているよね、そんな先生、嫌い!
もう、信じられない。
先生は、今日は機嫌が悪いのかな?
いつもと違う。 日によって違いすぎ…
あんなふうに言わなくてもいいんじゃないかな?
感情の起伏が激しい先生も信頼されません。教室に入ってきた一瞬で、子どもたちは“すべて”を見抜いています。
信頼される先生の条件「メラビアンの法則」で生徒指導力向上を
(言葉、話し方、表情が矛盾していたという前提の下での実験)コミュニケーションの話の中で、よくでてくる内容です。ご存じの方も多いかと思います。
「言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%」という話、聞いたことありますか。
矛盾したメッセージに対して、人間がどのように受け止めるかを実験してまとめたものです。
その結果が、言葉そのものの影響より、「非言語コミュニケーション」が大事だと考えられるようになったのです。
■聴覚情報とは 声の大きい、小さい、声の調子、声のトーン、話し方、口調
■視覚情報とは 表情、まなざし、視線、しぐさ、姿勢、身振り手振り、態度
足を組んで、腕組みをしながら…鋭い視線(視覚情報)で、大きな声で矢継ぎ早に、問いただしているのか(聴覚情報)…この非言語的メッセージが、言葉で話す内容を惑わすことになります。
逆に言えば、言語、聴覚、視覚の各情報に一貫性を持つ教師の指導は、自然と生徒の心にまで響くものです。
信頼される教師の条件は、優しいまなざしがかかせません。表情に明るさが欠かせません。公平で、毎日の言動が一致していることが前提条件です。
信頼される先生のエピソード!教育実習生との会話の中で
私と教育実習生との会話です。
私から「●●さんは、教師を目指そうとなったきっかけは、なんですか?」彼女の答えが、とても印象に残っています。
私が中学生の頃の話なのですが、
私のすぐ前を、A先生がいらして、階段を上がっている時、上の階から二人の生徒の会話が聞こえてきたのです。
言葉は、もうはっきりとは覚えていないのですが、それは「A先生への、ひどい悪口」でした。
私は、絶対に怒られる! このタイミングの悪さに胸が苦しくなりました。
そしたら、私の予想は大きく違っていました。A先生が、何を話したか全く覚えていないのですが、ともかくA先生は、まったく怒らなかったのです。
そして、しっかりと生徒たちに話しかけていました。私には、その時のシーンが強烈に残っています。
そして、「先生って、すごい」って、心から感動しちゃいました。
わたしには、先生という職業に憧れるきっかけになった出来事でした。
その先生の素の言動(先生の人間性で精一杯指導する姿)が、彼女の心に火をつけ「教師を目指すきっかけ」となったそうです。
とても意外なお話でしたが、すぐに「なるほどなあ」と、子どもたちのするどい感性に納得しました。
中学生を侮ることなかれ!もう本物かどうかをしっかりと、見抜いています。その時の先生の言葉は、何も覚えていないことも、おもしろいですね。
彼女を感動させたのは、先生の言葉ではなくて…
先生の温かさか、真剣さか、そのまなざしや表情、体全体から醸し出される雰囲気に「本物の教師の姿」を感じ取ったのではないでしょうか。
一瞬で、(素の自分で)子どもたちのことを想って、指導している事実を見取ったのだと思います。
その先生は、彼女にこんな影響を与えていたなんで、夢にも思っていないことでしょう。ただ誠実に、目の前の生徒に真剣に向き合っていただけなのでしょう。
「A先生、背中で本物の教育を示しめしたね。あなたの教え子が、あなたが歩んできた道を今、歩き出そうとしていますよ」と心から伝えてあげたいですね。
教師の影響力は、すさまじいです。
本人が意識していない中、日常の一瞬の立ち振る舞いで、目の前の子の生き方を変えてしまうのですから。もしかしたら、逆のパターンがあったら、とてもとても、怖いことです。
生徒指導力量アップのカギ!教師の影響力を、日常に活かす
見られている自分を意識すると、生徒指導が楽しくなります。
教師の思考転換です。
指導は、悪い行動をとったときにするものではなく、善い行いをしている時にする方が断然コストパフォーマンスが高くなります。
「その先生」が「何に反応」しているかを、生徒は見ています!
よい方向への変化は、すかさず、タイミングを逃さず「言葉掛け」「成長」を伝え、喜びを表現しましょう。
生徒を「どんな場面で、どんな行為を」認めているのか、教師としての自分の価値観を表現して示しましょう。
悪い行いは、是々非々です。
きちんとそのに反応して、指導します。こちら側は100%、どの学校も先生も反応できるのです。「これは、乱れのきっかけになる」ここには、先生方の意識が集まっているのです。
だからここでは、はぶきます。
提案は、善い行い、日常の些細な場面で、先生ご自身のアンテナを全方位展開して「気づく目」を養ってください。
清掃場面や給食の配膳場面の係の仕事面は、気づきの宝庫です。
●●さん、盛り付けうまいね。家でもお手伝いしているの?
どうしたら、うまくスムーズに配膳できるか、考えているでしょ。
そこが、すごい!
イヤイヤやっている人と自分で「どうしたらうまくいくか」を考えている人では
大きな差ができるよね。
○○さんが、さりげなく欠席者の椅子をㇲって机に上にあげてくれるの。
当たり前のように…当たり前が光っていたなあ~
そんな気づきに、○○さんや、クラスの成長を感じて、うれしいな!
「生徒のよき行動」を当たり前として、受け流さないでください。よき変化に気づける教師を目指そうではありまあせんか。
ツボは、見られている自分を意識する。そして、成長面に言葉を発していく。
私は、「生徒のよい面、ここに先生は反応していますよ!」と、意図的・意識的に発信していくのです。
この指導方針を続けていくことで効果は、「生徒が、どこに向かっていけばいいのかが、ハッキリとわかるということ」です。
「自分は、このまま進んでいけば、いいんだ」と自覚できることです。そして、一番いいことは、生徒の気分がいい。だから「教師の伝えたいこと」をよく理解できるし、理解しようとすることです。
人間だれしも、注意させて凹んでいる時の「言葉」と誉められ、認めらて、期待を掛けられている時の「言葉」と、どちらが効果的かわかりますよね。
“教員採用選考を受ける方はもちろん、現職の先生方も今何が教師に求められているのかがわかる記事” https://wadachiblog.com/t-education/信頼される教師とは?生徒指導力向上への秘訣「見られている自分」まとめ
今回の記事は 信頼される教師とは?生徒指導力向上への秘訣は「見られている自分」を意識すること
についてまとめてみました。先生が生徒を認めようとする時、先生は笑顔です。褒められた生徒も笑顔です。先生に認められると、生徒は伸びます。
是々非々、悪いことは悪いとしっかり叱ってあげてください。そして、よい行動をしっかりと伝えてください。そんな地道な触れ合いが信頼を築きます。
小さな信頼を一日一日積み上げて行かれることを応援しています。
「ワダチブログ」では関連記事が多数ありますので、参考にしていただけたら嬉しいです。ここまでお読みいただきありがとうございました。